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2024.05.25

断末魔とは?実は魔物じゃなかった!触れると死に至る意外な語源

この記事を書いた人

断末魔の叫び、などという表現を小説や漫画などで見かけたこと、ありませんか? だいたいちょっと怖い場面だったりします。
それもそのはず、息を引き取る間際、あるいはその際の苦しみのことを「断末魔(だんまつま)」と呼びます。

私は出産の時、断末魔の叫びをあげました……。死ぬかと思った!

でも、「断末魔」ってなに? どんな魔物なのでしょうか?
調べてみると、まったく想像もしていなかった語源だったんです!

断末魔は魔物じゃない!その由来とは?

魔物の一種かと思いきや、実は魔物とはまったく関係のないもの。しかも、断末の魔物ではなく、末魔を断つ、だったのです。

なるほど、「断★末魔」ってことなんですね。

末魔とは古代インドのサンスクリット語marmanを音訳したもので、「死節」や「死穴」と訳されます。体内にあるごく小さな特殊な急所で、これが分解して苦痛を生じ、死に至ると考えられていました。また、なにかがここに触れると死んでしまうとされます。

この末魔という急所を断つ、というのが断末魔の語源でした。

ちなみに「断末摩」という別の漢字表記もあります。

ちょっと変わった「断末魔」

本来の意味そのものではないのですが、ちょっと変わった断末魔関連、ご紹介いたします!

断末魔の念仏?

死苦から逃れるために、不動明王の呪文の護符(ごふ)を首からかけて行う念仏法があります。平安時代中期の高僧・恵心僧都(えしんそうず)が始めたとされる「断末魔念仏」というもので、100日に100万回の念仏を唱え、病気で亡くなるときにこの護符を飲むのだそう。

不動明王の呪文は主に3種類あるのですが、このときに唱えるのは、1番長くて複雑なもの。これを100万回、と考えると、その大変さがちょっと想像できるような気がします……。

100万回唱え、しかも護符を飲む……。ハードル高っ!

断末魔という人

断末魔、という名前を持つ人が安土桃山時代にいました。
本名ではないのでしょうが、名人と評された能面師で、主に狂言の面を作っていたと伝わっています。

どうしてこの名前を名乗ったのか、いろいろ想像がふくらみますね。

すごい!妄想の余地がある!!ここは「断末魔を叫びたくなるほどイケメンだった」でお願いします!

アイキャッチ画像:『不動明王像』メトロポリタン美術館より

参考文献:
・『日本大百科全書(ニッポニカ)』小学館
・『デジタル大辞泉』小学館
・『日本国語大辞典』小学館
・『故事俗信ことわざ大辞典』小学館
・『日本人名大辞典』講談社

書いた人

人生の総ては必然と信じる不動明王ファン。経歴に節操がなさすぎて不思議がられることがよくあるが、一期は夢よ、ただ狂へ。熱しやすく冷めにくく、息切れするよ、と周囲が呆れるような劫火の情熱を平気で10年単位で保てる高性能魔法瓶。日本刀剣は永遠の恋人。愛ハムスターに日々齧られるのが本業。