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2022.03.17

「越後の龍」上杉謙信とは。城、性格、戦い、実は女性説まで3分で解説

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上杉謙信(うえすぎけんしん)といえば、戦国時代最強と称される武将。強いだけでなく、「実は女性だった」など、謎めいた俗説も存在し、歴史ファンのハートをわしづかみしている。

たしかに、上杉謙信ってなんとなくミステリアスなイメージが。

ここでは、謙信にまつわるエピソードをまとめる。

「越後の龍」こと、最強武将の上杉謙信

上杉謙信は、永禄3(1530)年、越後国(現在の佐渡を除く新潟県)の春日山城で誕生。越後守護代で、春日山城の城主であった長尾為景(ためかげ)の子である。

長尾一族なのに上杉姓なのは、のちに関東管領山内(かんとうかんれいやまのうち)上杉家の養子になったから。幼名は「虎千代」で初名は「長尾景虎(かげとら)」。その後、上杉家の養子になって「政虎(まさとら)」、さらに京都の将軍足利義輝より一字を与えられて「輝虎(てるとら)」と名乗った。法名が謙信というわけだ。

越後の龍、と言われるけれど、名前はほとんど「虎」さん!

※以後、謙信で統一して記述。

守護代とは、守護に代わって統治を行う役職のことである。守護は中央の政務に関わることが多く、任国を留守にしがちで、特に任国が複数の場合は手が回らなかった。

しかし、時は戦乱の世。下剋上が当たり前の風潮においては、「守護代」が「守護」に取って代わることもあった。為景はその代表例であり、守護である上杉房能(ふさよし)を滅ぼし、その養子を傀儡(かいらい)の守護にして、実権を握った。

為景は、謙信を林泉寺というお寺へ預け、謙信の兄である晴景(はるかげ)に家督を譲った。家を継ぐ予定のない男子は、他家に養子に行くか、寺に入るのが当時のならいであったからだ。

軍神・毘沙門天の加護を信仰

林泉寺で謙信は、生涯の師となる天室光育(てんしつこういく)という僧侶と出会い、学問や兵学を学ぶ。その後、仏教を深く信仰し、義の心を育み、助けを求める者に手を差し伸べた。

なかでも、毘沙門天(びしゃもんてん)の加護を信じたという。毘沙門天は、甲冑 (かっちゅう) を身に着けた姿で表される軍神。謙信だけでなく、多くの戦国武将からも厚い信仰を集めたという。

以前、展覧会で上杉謙信のものだったという毘沙門天像を見たのですが、小柄でありながらものすごい迫力で、見とれてしまいました!

謙信の「敵に塩を送る」逸話の真相

為景の死後、晴景は、兄弟で協力して敵対勢力を鎮圧すべく、謙信を還俗させ、栃尾城に入ることを命じた。謙信は14歳という若さであったが、初陣を勝利で飾る。その手腕が認められ、謙信は、病弱な晴景から長尾家の家督を譲られた。

謙信は生涯で多くの合戦を重ね、その回数は確実なものだけで70余りといわれる。謙信の姿を見ただけで逃げ出す敵もいたほどだったとか。

『芳年武者无類 弾正少弼上杉謙信入道輝虎』 大蘇芳年 国立国会図書館デジタルコレクション

なかでも有名なのが、宿敵・武田信玄との「川中島の戦い」。甲斐の信玄と越後の謙信が、北信濃の領有を巡って対戦した合戦の総称で、足掛け12年も続いた。

川中島合戦が終結してから5年後、「窮地にある敵の弱みにつけこまず、逆に救う」といった意味合いで使われる「敵に塩を送る」の故事が生まれた。「海のない甲斐の信玄への塩の輸出停止制裁に参加せず、謙信は塩を送った」と伝えられる。しかし、史実は「実際に塩を送ったのではなく、塩商人の往来を止めなかった」ということらしいが、義に厚い謙信らしいエピソードである。

どちらにしても、義に厚い!

謙信は独身で生涯童貞?まさか女性?

このように伝説的エピソードに事欠かない謙信だが、素顔は謎だらけ。特に、生涯独身どころが生涯不犯(ふぼん)、つまり性交渉を一度もしなかったとされる点だ。子を残した記録もない。

これらのことから、宗教上の理由からではないか、同性愛者だったのでは、さらには、謙信は女性だったのではないかなどと、さまざまな憶測を呼んだ。

実際のところは、「兄の子が成人すれば返上するつもりであることを、自らの子をなさないことで示し、その可能性がなくなっても、謙信は姿勢を貫いた」という説が有力であるようだ。

▼上杉謙信について、もっと知りたいかたはこちら!
上杉謙信とは何者だったのか? 乱世に挑んだ越後の龍!【武将ミステリー】
上杉謙信はまさに戦国最強だった! 「毘沙門天の化身」が駆けた数々の戦場とは【武将ミステリー】

アイキャッチ画像:
『役者錦絵帖 上杉謙信 坂東彦三郎』 守川周重 国立国会図書館デジタルコレクション

参考文献:
デジタル版『日本大百科全書(ニッポニカ)』
デジタル版『世界大百科事典』
デジタル版『日本国語大辞典』
デジタル版『国史大辞典』
デジタル版『日本人名大辞典』
『デジタル大辞泉』

▼東村アキコ先生が描く「女」上杉謙信!
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書いた人

出版社勤務後、編プロ「ミトシロ書房」創業。著書に『入りにくいけど素敵な店』『似ている動物「見分け方」事典』など。民謡、盆踊り、俗信、食文化など、人の営みや祈りを感じさせるものが好き。四柱推命・易占を行い、わりと当たる。

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人生の総ては必然と信じる不動明王ファン。経歴に節操がなさすぎて不思議がられることがよくあるが、一期は夢よ、ただ狂へ。熱しやすく冷めにくく、息切れするよ、と周囲が呆れるような劫火の情熱を平気で10年単位で保てる高性能魔法瓶。日本刀剣は永遠の恋人。愛ハムスターに日々齧られるのが本業。