Culture
2019.09.27

京都・大徳寺の非公開塔頭・三寺院、2019秋の特別公開情報

この記事を書いた人

千利休や一休宗純、織田信長、豊臣秀吉らとの深いゆかりを今に伝える、京都紫野の大徳寺。
茶の湯にとって重要な意味を果たしてきた古刹には通常非公開の塔頭が多く、毎年秋の特別公開を待ち望む人は数知れず。
そんな非公開塔頭のうち、公開時期が早い順に、「興臨院(こうりんいん)」「黄梅院(おうばいいん)」「総見院(そうけんいん)」の公開情報と、見どころを写真でご紹介します。
公開時期がそれぞれ異なっているので、日程をよく確認して京都の秋を楽しむスケジュールを組んでください。

三塔頭の特別公開、見どころはここ!

大徳寺 興臨院


特別公開:2019年9月7日~9月29日、10月5日~12月15日

大永年間(1521~1528年)に能登(現石川県)の守護・畠山義総が創建。その法名から寺名は興臨院となりました。畠山家の衰退とともに荒廃したのですが、天正9(1581)年に前田利家による屋根の葺き替えが行われ、以後は畠山家に加えて前田家の菩提寺になりました。
特別公開では、室町期の建築様式の特徴を見せ、優美で安定感のある姿が静寂と落ち着きを感じさせる唐門を含む本堂(重要文化財)をはじめ、方丈庭園、唐門、茶室などが見られます。

方丈庭園


白砂に石組みを配して理想の蓬莱世界を表した方丈庭園は、本堂の解体修理時に、資料をもとにして、昭和の小堀遠州と称された作庭家・中根金作が復元。

唐門


唐破風、檜皮葺で、室町時代の建築の特徴をよく表した表門。波型の連子窓、客待の花頭窓などは禅宗の建築様式のひとつ。

茶室「涵虚亭」


「涵虚亭(かんきょてい)」は、古田織部好みの四畳台目隅板付の茶室と四畳半の水屋からなる茶室。にじり口とは別に古田織部の考案といわれる貴人口(きにんぐち)が設けられていて室内は明るい。

大徳寺 興臨院
京都市北区紫野大徳寺町80
公開期間:2019年9月7日~9月29日・10月5日~12月15日
公開内容:表門(重文)、方丈庭園、本堂(重文)、茶室「涵虚亭」
拝観時間:10時~16時30分(受付終了 12月2日~15日は16時まで)
拝観休止日:9月23日
拝観料:大人600円 中高生400円 小学生300円(保護者同伴)
注意事項:境内は庭園以外撮影禁止。
・暴風警報や大雨警報、地震など、拝観に来られる方に危険が及ぶと判断した際は、事前の予告なく拝観休止とします。休止を決定した時点で公式サイトFacebook Twitterにてお知らせします。

大徳寺 黄梅院

表門から庫裡、唐門に至るまでの庭は苔とモミジに覆われ、新緑と紅葉の季節は特に美しい

特別公開:2019年10月5日~12月8日

永禄5(1562)年、28歳だった織田信長が初めて上洛した際、父・信秀の追善菩提のために小庵「黄梅庵」を建立したことに始まります。
本能寺の変によって信長が急逝すると羽柴(豊臣)秀吉が徐々に増築し、天正17(1589)年に「黄梅院」と改められました。
庫裡をはじめ、鐘楼や客殿などは毛利元就の三男で豊臣秀吉政権の五大老を務めた小早川隆景が寄進。鐘楼に使用されている釣鐘は加藤清正が朝鮮出兵の際に持ち帰ったとされ、千利休が「直中庭」を作庭するなど、桃山時代の戦国大名、文化人と非常に縁の深い寺院です。
特別公開では、桃山時代の絵師・雲谷等顔の障壁画(複製)なども公開されます。

庫裡(重要文化財)


仏教寺院における建造物のひとつで、僧侶の居住空間、また台所の機能をもつ。黄梅院の庫裏は小早川隆景が寄進して建てられたもので、日本に現存する禅宗寺院の庫裡としては最古のもの。

茶室「昨夢軒」


利休の「茶の湯」の師であった武野紹鷗(じょうおう)好みの茶室「昨夢軒(さくむけん)」。

「直中庭」


秀吉の軍旗「千成瓢箪」をかたどった空池を持つ池泉式枯山水庭園「直中庭(じきちゅうてい)」は、千利休が作庭。

大徳寺 黄梅院
京都市北区紫野大徳寺町83-1
拝観期間:2019年10月5日(土)~12月8日(日)
公開内容:千利休作庭「直中庭」、武野紹鷗好み茶室「昨夢軒」、方丈庭園「破頭庭」、雲谷等顔筆 本堂障壁画(重文・複製)、庫裡(重文)
拝観時間:10時~16時(受付終了)
拝観休止日:10月28日
拝観料:大人800円、中学高校生400円、小学生以下無料(保護者同伴)
注意事項
・境内は前庭以外撮影禁止。
・お手洗いは大徳寺駐車場のお手洗いを使用してください。
・建物の構造上、車いすでの拝観はできません。杖をお使いの方には、杖カバーをご用意しています。
・境内ではスタッフの指示に従ってください。拝観の妨げになると判断した場合は、拝観料をご返納の上、お引き取りいただきます。
・暴風警報や大雨警報、地震など、文化財保護の為や拝観に来られる方に危険が及ぶと判断した際は、事前の予告なく拝観休止とします。休止を決定した時点で公式サイトFacebook Twitterにてお知らせします。
・10名以上の団体は事前予約をお願いします。公式サイト


特別公開:2019年10月12日~11月30日

織田信長の一周忌に当たる天正11(1583)年、豊臣秀吉が追善菩提のために建立。当時は広大な境内に豪壮な伽藍が立ち並んだと伝わりますが、明治の廃仏毀釈によりその多くが失われました。
開祖は千利休参禅の師でもあった古渓宗陳(こけいそうちん)。境内には秀吉がこよなく愛し、また日本最古の胡蝶侘助とされる、樹齢約400年の侘助椿があります。

信長公一族の墓碑


信長公をはじめ、徳姫(信長の息女)、濃姫(正室)、おなべの方(側室)など、一族7基の五輪石や墓碑が並ぶ。

茶室


茶の湯との関わりが深い総見院には3つの茶室が並んでいる。秀吉による「大徳寺大茶会」では、総見院方丈に秀吉が茶席を設けたとの記録がある。

木造織田信長公坐像


本堂に安置された、秀吉が奉納した木造織田信長公坐像(重要文化財)。大きさは高さ三尺八寸(約115㎝)の等身大で、仏師は慶派の康清。らんらんと輝くその眼光が信長の面影を伝える。

大徳寺 総見院
京都市北区紫野大徳寺町59
拝観期間:2019年10月12日~11月30日
公開内容:本堂、木造織田信長公坐像(重文)、信長公一族の墓碑、お茶室
拝観休止日:11月3日・10日は11時30分から公開、11月21日は15時受付終了、11月22日は終日休止、その他、法務により拝観休止の場合あり
拝観時間:10時~16時(受付終了)
拝観料:大人600円、中学高校生400円、小学生以下無料(保護者同伴)
注意事項:
・境内は庭以外撮影禁止。
・建物の構造上、車いすでの拝観はできません。
・境内ではスタッフの指示に従ってください。拝観の妨げになると判断した場合は、拝観料をご返納の上、お引き取りいただきます。
・暴風警報や大雨警報、地震など、文化財保護の為や拝観に来られる方に危険が及ぶと判断した際は、事前の予告なく拝観休止とします。休止を決定した時点で公式サイトFacebook Twitterにてお知らせします。

アクセス:
【京都駅烏丸口から市バス】京都駅前D2のりばから市バス206系統 祇園・北大路バスターミナル行き熊野神社前下車徒歩約5分(目安時間35分)
【京都駅から地下鉄と市バス】地下鉄烏丸線京都駅から国際会館行き→丸太町駅下車。バス停烏丸丸太町から市バス65・93・202・204系統熊野神社前下車徒歩約5分(目安時間25分)
【京阪電車神宮丸太町駅から】5番出口から徒歩約10分
【阪急河原町駅から市バス】バス停四条河原町Eのりばから市バス201・203系統熊野神社前下車徒歩約5分(目安時間20分)
【車・タクシー】京都駅から約25分、阪急河原町駅から約10分。特別公開中は境内駐車不可。境内南側にコインパーキング有り
市バス主要停留所案内図

書いた人

通称TAKE-G(たけ爺)。福岡県飯塚市出身。東京で生活を始めて40年を過ぎても、いまだに心は飯塚市民。もともとファッション誌から始まったライター歴も30年を数え、「和樂」では15年超。日々の自炊が唯一の楽しみ(?)で、近所にできた小さな八百屋を溺愛中。だったが、すぐに無くなってしまい、現在やさぐれ中。