Culture

2025.03.30

実は重労働! 版元(はんもと)ってどんな職業? 大河ドラマ「べらぼう」を100倍楽しむAtoZ【H】

吉原に生まれ、自力で江戸の〝メディア王〟となった男・蔦屋重三郎(つたやじゅうざぶろう)の仕事からプライベートまでを、AからZで始まる26の項目で解説するシリーズ【大河ドラマ「べらぼう」を100倍楽しむAtoZ】。第6回は「H=版元」をご紹介します! Zまで毎日更新中! 明日もお楽しみに。

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蔦重AtoZ
H=版元とは、江戸時代の文化をリードした出版社


蔦重というと「版元(はんもと)」。
これは本や浮世絵などをつくる仕事をする、江戸時代の職業のひとつ。現在の出版社のような存在でした。

江戸時代は木版印刷の技術が発達し、当初は安土桃山(あづちももやま)時代まで都だった京が依然として文化の中心地で、多数の書物が出版されていました。
それが、江戸時代中期には出版文化も江戸が中心となっていきます。
当時の出版物の主流は、絵と文章を組み合わせた草双紙(くさぞうし)や絵本、浮世絵など。これらは文章が中心の書物に対して、江戸の地元で生まれたことから地本(じほん)と呼ばれていました。

戯作者に執筆を依頼することから始まる

左側の文机を前にして座っているのが戯作者・山東京伝(さんとうきょうでん)。右端には執筆を依頼する蔦重の姿がある。『堪忍袋緒〆善玉(かんにんぶくろおじめのぜんだま)』 作/山東京伝 画/北尾重政 黄表紙 寛政5(1793)年 国立国会図書館デジタルコレクション

ではここで、蔦重が行っていた地本版元の仕事の手順をご紹介しましょう。

  1. まず、版元が戯作者(げさくしゃ=作家)に執筆を依頼。
  2. 戯作者は構想と下絵をまとめ、絵師にまわす。
  3. 絵師は意向にそって、木版を彫るための版下絵(はんしたえ)を描く。
  4. 本屋仲間と呼ばれる組合の検閲を受け、OKを得てから彫師にまわす。
  5. 彫られた板木(はんぎ)は版元などがチェックして加筆修正。
  6. 完成した板木を摺師(すりし)が紙に摺って、最後に版元が製本して販売する。

版元は作画や彫り、摺りなど全工程に目を光らせていたので、重労働でした。

彫師さんに急いで板木を彫ってもらう

彫師の工房で、まさに佳境の様子。『的中地本問屋(あたりやしたじほんどいや)』 作・画/十返舎一九 黄表紙 享和2(1820)年 東京都立中央図書館

摺り終えたら急いで製本して店頭に並べる

版元の従業員が製本を終えた本を店頭に並べていて、すごく忙しそう! 『的中地本問屋』 東京都立中央図書館
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和樂web編集部


構成/山本 毅 ※本記事は雑誌『和樂(2025年2・3月号)』の転載です。 参考文献/『歴史人 別冊』2023年12月号増刊(ABCアーク)、『蔦屋重三郎と江戸文化を創った13人 歌麿にも写楽にも仕掛人がいた!』車浮代著(PHP研究所)、『これ1冊でわかる! 蔦屋重三郎と江戸文化』伊藤賀一著(Gakken)
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