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読み物
Culture
2019.11.26

サケ、ゲイシャ、鳥居!勘違い日本が舞台の珍ゲーム「Nippon Marathon」が面白過ぎた

この記事を書いた人

80年代のハリウッド映画で、なおかつ日本が舞台の作品を想像していただきたい。

「これって本当に日本!?」と思わざるを得ない日本が出てくるのではないだろうか。

明らかに間違っている日本語、神社の鳥居が大通りのど真ん中にある町、唐突に出てくるスシ、サケ、ゲイシャ、サムライ。そういえば、映画『バック・トゥ・ザ・フューチャー2』に日系企業の重役フジツウ・イトウという人物が登場した。勘違いもほどほどにしてくれとつい口にしてしまいそうだが、見方を変えれば「変な日本」を探してみるのも洋画鑑賞のひとつの醍醐味。

そんな感じのジャパンを題材にしたゲームがあることを、読者の皆様はご存知だろうか。

それがイギリスのOnion Soup Interactiveが開発した『Nippon Marathon』である。

ここは日本……?

このゲームは、日本の各地を舞台に最大4人のキャラがマラソン……というよりも恐ろしく危険な障害物走で競い合うという内容だ。

「ベギン、勇敢な、走る……行く」という謎の掛け声と共に、ゲームスタート。だが、その光景は……本当にここは日本なのか?まず、表記されている日本語が変。完全に間違っているというわけではないが、何というか……やっぱり変!

流れる景色も「80年代ハリウッド映画のニッポン」という感じで、我々が日頃から見ている「日本」のそれとはだいぶ異なる。いや、あの……何でこんなところに屋台があるの?

マラソンのルールもハチャメチャだ。バナナの皮で相手をすっ転ばせ、スイカをぶつけ、パイナップルで空を飛ぶ。一画面の中に4人のプレイヤーがいるのに、スクロールは先頭に合わせてどんどん進んでいく。即ち、遅れを取ってスクロールの後ろに行ったら脱落である。操作を間違えたら、そのまま再起不能になってしまう可能性が大きい。意外にシビアなゲームだ。

意図的な「おかしさ」

登場キャラクターもなかなかどうしてクレイジーな設定。

イッカクの着ぐるみを着た少女エリザベス・ニシボリ、セーラー服爺さんゼンベイ・ゼンベエ、ニッポンマラソンの王者ハンサム・ハズキ……。だが、このゲームをプレイするうちに彼らに愛着が湧いてしまうのはなぜだろうか。「ベギン、勇敢な……」という掛け声も、だんだんと様になっていく。このNippon Marathon、日本のことをあまり知らない外国人が作ったゲーム……というわけではない。むしろ、故意に「変な日本」をイメージして制作されたのだ。Google翻訳を使って英語から微妙な日本語を形成し、ステレオタイプの日本文化をふんだんに散りばめる。こうした設計は、制作者が親日家でなければできないことでもある。ゲームの世界には、こんな感じの「バカゲー」が存在する。一般的にユーザーからの評価が低いゲームは「クソゲー」と呼ばれているが、それとは違い意図的に矛盾や理不尽な設定を加えているのがバカゲーである。

ゲームと国際交流

誰しもがゲーム制作分野に参入できる時代になった。

ゲームというものは工業製品とは違い、原材料や工場を必要としない。ノートPC1台あれば、コワーキングスペースでも新しいゲームを作ることができる。しかも作品の配信はSteamでやれば、世界中のユーザーがそれをダウンロードしてくれる。これほど参入条件の低い産業は、他にあるだろうか。

あとは創意工夫と、各国の文化に対する精通具合が物を言う。

Nippon Marathonのようなゲームが日本から出てこなかったことが、筆者としてはいささか悔しく思う。もしかしたらこの手のバカゲーはネイティブには思いつかないものなのかもしれないが、それでも「日本文化を上手に加工した内容」のゲームは今後登場し続けるだろうし、国際的にも需要はある。

一方で、海外のゲーム制作者には日本を舞台にした作品を遠慮なく配信していただきたい。先述とは矛盾した考えかもしれないが、とくに中国、韓国、台湾、東南アジアといった日本と距離の近い国々から「日本が舞台のゲーム」が出てきたら、それが近隣諸国との友好のきっかけになるはずだ。

ゲームには世界各国の人を結びつける無限大の力がある、と筆者は確信している。

【参考】
Nippon Marathon

書いた人

ノンフィクションライター、グラップリング選手、刀剣評論家。各メディアでテクノロジー、ガジェット、ライフハック、ナイフ評論、スタートアップビジネス等の記事を手がける。