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Jewelry&Watch

2026.07.01

「パルミジャーニ・フルリエ」を知っていますか? シンプルで、静かに、美しい! 天才時計師の情熱を宿すタイムピース

一点の妥協もなく、至高を追求するウォッチメイキングゆえ、生産本数が非常に限られている「パルミジャーニ・フルリエ」。そのためこれまでは、「知る人ぞ知る」という形容詞がしばしば用いられてきましたが、高級時計の世界では別格の存在感を誇るメゾンです。創業から30年、現在進行形で紡ぎ続けられている名品伝説をお届けします。

メゾンの真髄を語る二大ウォッチコレクション

■「トンダ PF」コレクション
マニュファクチュールの美学をピュアなデザインで表現

メゾンのウォッチメイキングの理念である「プライベート・ラグジュアリー」を、最もシンプルに、それでいながらエレガントに体現している「トンダ」。その名前の由来は、イタリア語で円形を意味する「トンド」で、ルネサンス期の画家が大作を描く円形のキャンバスがこう呼ばれていました。

「この丸形の文字盤は、メゾンの美学をいろいろな角度から描き出すための、いわば未使用のキャンバスのようなものです」というミシェル・パルミジャーニ氏の言葉どおり、時分のみを表示する「二針(にしん)時計」から、ストップウォッチ機構を備える「クロノグラフ」、そして「トゥールビヨン」といった非常に高度な複雑機構を搭載したコンプリケーションまで、実に豊富なバリエーションを展開しています。

多くのモデルの文字盤には、メゾンを象徴する「バーリーコーン(麦の穂)」モチーフのギョウシェ装飾が施され、その繊細な色彩とともに唯一無二の表情に。手元にさりげなく洗練をもたらします。

右/コレクション中、最も小径の二針モデル。シンプルなぶん、エッジを効かせたインデックスやオープンワークを施した針といったディテールが映え、文字盤の洒脱(しゃだつ)な色彩と見事な調和を見せる。「トンダ PF オートマティック ローズゴールド ディープルビー」[ケース:SS×RG、ケース径:36㎜、ブレスレット:SS×RG、自動巻き]¥5,346,000・左/「前代未聞のクロノグラフ」と時計界に衝撃をもたらした2026年の新作。ふだんは時分針と秒針の三針(さんしん)時計ながら、7時半位置のボタンを押すと、シルバーカラーに加工された2本の針はクロノグラフの計時機能のスタート地点である12時位置に瞬時に重なり、その下に隠れていたローズゴールドの針が時刻を示し始める。複雑な機能をデザインで誇示せず、「必要なときだけ顕在(けんざい)化させる」という独自の美学をあますところなく表現している。「トンダ PF クロノグラフ ミステリューズ プラチナ」[ケース:PT、ケース径:40㎜、ブレスレット:PT、自動巻き]¥16,236,000(パルミジャーニ・フルリエ)

■「トリック」コレクション
メゾン創業と同時に誕生したクラシカルモダンウォッチの傑作

ミシェル・パルミジャーニ氏が初めて設計を手がけた腕時計であり、1996年の創業と同時に発表されたのが「トリック」。クリエイションのモチーフは、古代ギリシャの建築様式を象徴する「ドーリア式」の柱で、建築にも造詣(ぞうけい)が深いパルミジャーニ氏の知識や知性をデザインに投影。オリジナルモデルのベゼルに施された2種類の伝統的な手彫り装飾で表現されていました。

そんなエポックメイキングなクリエイションに再解釈が加えられ、モダンに進化したのは2024年のこと。エレガントでタイムレスな美しさはそのままに、クラシカルな重厚感をほどよく引き算。シンプルに研ぎ澄まされた文字盤には、新たに「PF」のロゴをあしらったオーバルモチーフの装飾が加えられました。また、色彩を単なる後づけの装飾ではなく、造形との一貫性を追求し続けるメゾンの美学が投影された色使いも、なんとも洒脱。どこか〝和〟の趣も漂い、静寂でありながら強い個性を手元に授けます。

ミニマルなインデックスにシャープなフォルムの時分針、そして「スモールセコンド」と呼ばれる6時位置の小窓の秒表示が整然とデザインされ、「グレイン仕上げ」が施された「グレーセラドン」の色彩美がより前面に。マットに仕上げられたストラップと繊細なコントラストを奏でる。「トリック プティ セコンド プラチナ グレーセラドン」[ケース:PT、ケース径:40.6㎜、ストラップ:アリゲーター、手巻き]¥9,207,000(パルミジャーニ・フルリエ)

「トリック」コレクションのために新開発された手巻きムーブメント「PF780」。細部にまで熟練の職人の手仕事による見事な装飾が施されている。

天才時計師が手がけたメゾン、30年の歩みと未来

修復不可能とされていた希少なアンティークウォッチの数々を甦(よみがえ)らせ、〝神の手をもつ〟修復師・時計師と讃(たた)えられてきたミシェル・パルミジャーニ氏。100年、200年も前につくられ、時を止めていた複雑な機械式時計には、設計図はもちろん、なんの手がかりも現存していません。それらに再び命を吹き込むことは、魔法、あるいは奇跡──しかし彼は機械式時計という芸術を後世へ伝えていくという使命感のもと、眠りについていた複雑な機械式時計と対峙(たいじ)。研究と研鑽(けんさん)を重ねながら、多くの歴史的な作品の修復に成功しました。

【上】創業者のミシェル・パルミジャーニ氏(写真右)と、2021年よりメゾンを率いるグイド・テレーニCEO(写真左)。
【中上】ムーブメントの組み立ては高度な技術力と豊かな経験をもつ時計師の手仕事で行われている。
【中下】メゾンの母体であるサンド・ファミリー財団が有する「ホテル パラフィット」。洗練を極めたラグジュアリーな世界観は、「パルミジャーニ・フルリエ」の時計と共通する。
【下】ミシェル・パルミジャーニ氏が修復を手がけたオートマタ作品。

「時をつくるということは、魔術に似たものがあります。動かない部品を製造し、それらを組み立てて永久の運動を生むことは、生命のない素材に命を吹き込むことであり、決して止まることのない脈動を生み出すということです」──ミシェル・パルミジャーニ

そんな彼の才能に感銘し、自らのメゾンを立ち上げる背中を押したのが、スイスの著名な財団である「サンド・ファミリー財団」。非常に希少価値の高いアンティークウォッチを多く所有している「サンド・ファミリー財団」は彼の顧客であり、スイスの機械式時計製造の伝統を継承していくという使命感を共有。その支援を受け、1996年に、スイスの時計産業の聖地のひとつであるフルリエという町で、自らの名前とその地名を冠した「パルミジャーニ・フルリエ」というウォッチメゾンをスタートさせたのです。

以来30年の間、一貫して堅持(けんじ)し続けているのが「プライベート・ラグジュアリー」という理念。一般的な評価や既存の価値観に左右されることなく、真価が宿るもの(=ラグジュアリー)を、自分の目で見いだし、尊ぶ(=プライベート)という哲学を、ウォッチメイキングに投影してきました。

機械式時計を愛し、機械式時計に愛された彼は、75歳を迎えた現在もフルリエのアトリエで、後進の育成にあたりながらクリエイションに向き合い続けています。

【上】高級ウォッチメゾンのアトリエが点在するフルリエの町に建つ本社社屋。ここはミシェル・パルミジャーニ氏が1990年に自らの工房を設立した場所で、パルミジャーニ氏は現在もこの近くで暮らしている。
【中】メゾンの主軸コレクション「トンダ PF」の文字盤に施されるギョウシェ装飾は、希少な手動旋盤(せんばん)が使われている。
【下】ミシェル・パルミジャーニ氏が復活させた文字盤の伝統的な装飾技法「グレイン仕上げ」。酒石英(しゅせきえい)とパウダー状の海塩、シルバーを混ぜたペーストを文字盤に塗り、ブラシをかけ、繊細な模様を施している。
©Parmigiani Fleurier

撮影/池田 敦(CASK)
構成・文/岡村佳代、吉川 純(和樂)

問い合わせ
パルミジャーニ・フルリエ
pfd.japan@parmigiani.com
https://www.parmigiani.com/ja/

※この特集での価格表記は、すべて税込価格です。
※本文中のPTはプラチナ、RGはローズゴールド、SSはステンレススティールを表します。
※本記事は『和樂』2026年8・9月号の転載です。

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和樂web編集部

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