マンガ「鬼灯の冷徹」で「鬼灯」という漢字を知ったなんて方も多いかもしれません。
お盆が近づく季節に、スーパーや花屋で見られる赤い実をつけた植物は?そう、「鬼灯(ほおずき)」ですね!
鬼灯は花が咲いたあと、ガクの部分が発達して果実を包み込み、まるで提灯のような形になります。可愛らしくて印象的な鬼灯は、古くから日本人の生活に根付いていたようです。
鬼灯はご先祖様が戻る目印!
お盆の時期に鬼灯を仏壇やお墓に飾る風習がありますが、これは提灯のような形に由来しています。「鬼灯」と書くように、ご先祖様がお盆の時期に戻って来る時に、迷わないような道しるべの役割と考えられています。
お盆にお供えとして飾るのは、鬼灯の特殊な形も関係しています。ご先祖様の精霊は体を持たないため、お盆の間はどこか宿る空間が必要です。精霊は中が空洞になっているところに宿るという言い伝えから、ガクに実が包みこまれて空間がある鬼灯はぴったりという訳です。
江戸時代から始まった鬼灯市
鬼灯といえば浅草寺で行われる「ほおずき市」が有名ですが、東京都港区にある愛宕神社(あたごじんじゃ)の縁日が起源と言われています。
江戸時代にある男が、「6月24日の功徳日に青鬼灯の実を愛宕の神前で鵜呑みすれば、大人は癪の種(腹の立つ原因)を切り、子どもは虫の気(かんのむし)を封ずる」とのお告げの夢を見ます。この出来事がきっかけで鬼灯が縁日で売られるようになったそうです。現代では主に観賞用として流通している鬼灯ですが、当時は鎮静効果のある薬として、使用されていたようです。
愛宕神社では毎年6月23日、24日にほおづき縁日※が行われ、赤く色づく前の青い鬼灯が数多く並びます。御朱印も特別版で、赤くなる前の鬼灯のはんこを押してもらえるので、人気があります。社殿前にしつらえた茅の輪(ちのわ)をくぐりお参りをすると、千日分のご利益があると言われています。
※愛宕神社では、ほおづきと表記。
鬼火はおしゃれなインテリアのアクセントにも!
鬼灯をドライフラワーにすると、オレンジ色の実が透けて見える「透かしほおずき」になります。涼しげで繊細な雰囲気のドライフラワーは、おしゃれなインテリアアクセサリーとして人気です。
透かしほおずきは、次のように作ります。まず、ほおずきを空き瓶に入れ、ほおずきが全てつかるまで水を注ぎます。そして、そのまま1週間から10日ほど置いておきます。
水中で鬼灯のガクが腐る為、びっくりするような異臭を放ちます。防臭対策として、瓶はラップなどで蓋をするのがいいでしょう。濁った水を捨てて、鬼灯を取り出して流水で洗い流して出来上がりです。
鬼灯の歴史や言い伝えに思いをはせながら、お気に入りのお皿に並べて飾ってみるのはいかがでしょう。