ひと昔前に比べて、「料理が得意です!」と爽やかに公言する男性が増えてきました。共働き家庭が当たり前になりつつある現代では、男女問わず料理ができることは、重要なスキルの一つと言えそうです。
今から400年以上前の戦国時代にも、料理にいそしむ武将がいたのは、ご存知でしょうか?
さて、ここで問題です! その武将とは、誰でしょうか? めちゃくちゃ派手な、あの武将です!
1.織田信長
2.前田利家
3.伊達政宗
答えは……、
3.の伊達政宗でした!
元々は硬派だった伊達政宗
渡辺謙主演のNHK大河ドラマ・『独眼竜政宗』では、硬派な印象だったので、ちょっと意外な感じもしますね。政宗は、最初から料理男子だった訳ではなかったようです。家督を相続して父が亡くなると、政宗は領土拡大に奔走し、戦いに明けくれる日々でした。湯漬け、雑炊が常食で、「朝夕の食事がうまくなくても、ほめて食べるべし」と言っていたようです。およそ料理男子とはかけ離れていますね。
現代でも、絶対モテそう!すごい料理スキル
政宗が料理に興味を持つきっかけとなったのは、豊臣秀吉との出会いでした。政宗は大領土を獲得した後、秀吉に服属し、領土の一部を没収されています。そんな上下関係がありながら、趣味の世界では、温かい交流を行っていました。
伏見城内には、秀吉の私的空間である学問所の四隅に、数寄屋(すきや)※1が作られていたようです。そこで秀吉、徳川家康、前田利家らと共に自前で手製の料理で客をもてなす遊びを行っていたのです。
秀吉から家康へと政権が交代して平和な世となると、政宗の食文化への興味は、ますます強くなります。朝は朝食の献立を、夕べには夕食の献立を練ったとされ、その食事は旬の食材をふんだんに盛り込んだものだったようです。
元旦朝の正月膳は、三汁十六菜と超豪華なメニューでした。伊勢海老の鬼がら焼き、鯨の石焼き、鮭漬浸し、赤貝、このわた、鮒の煮こごりなど。膾(なます)※2にはほやが、汁には白鳥の肉、山芋などが入っていたそうです。現代の三つ星レストランシェフもびっくりの凝りようです。
政宗は家康、秀忠、家光と三代の将軍をもてなしましたが、料理は自ら運んだそうです。
あの食べ物は、伊達政宗が関係してた?
政宗というと、派手な甲冑や陣羽織を好んだとされていて、派手な目立ちたがりのイメージがあります。細やかな料理男子だったことを知ると、そのギャップに惹かれますね。
正月に欠かせない料理というと、卵料理の伊達巻があります。伊達巻は、政宗の好物だったために、この名がついたと言われています。甘い伊達巻が好物だったなんて、それも何だか可愛らしい!
参考文献:『戦国武将名言禄』楠戸義昭著 PHP研究所 『日本大百科事典』小学館