日本髪というと、どういう姿が思い浮かびますか?
時代劇で見られる江戸時代の女性の髪型や舞妓さんなどが思い浮かぶと思います!
この結い髪にする時には髪を4つに分けて結っていきます。
その4つそれぞれの名前をご存じですか?
ディープな結い髪の世界をご紹介します!
歌麿の美人画でチェック!
浮世絵は江戸時代に人気を博しました。なかでも喜多川歌麿の美人画は、髪の毛1本1本まで丁寧に描かれていて、その写実さと美しさに庶民はうっとりしていたようです。
美人画と言えば歌麿!ということで前も後ろも見ることができるこちらの作品でみていきましょう!
喜多川歌麿についてはこちら
江戸が熱狂した美人画の帝王、喜多川歌麿。代表作とともに解説【カリスマ絵師10人に学ぶ日本美術超入門】vol.8
それぞれ名前があるの?
日本髪を4つに分けた結い方には、それぞれ名前があります。
まずは前髪、これは今とかわらずおでこの髪のことです。
丸く上にまとめられていますね!
次に頭上です。
ここは何というか、これは簡単かもしれませんね。
侍やお相撲さんでもよく耳にする
髷(まげ)です。
江戸時代初期の髪型で主役といえばこの髷でした。
頭上の髷は基本的に兵庫髷(立ちマゲ)、島田髷(頭上でマゲを二つ折りにする)、勝山髷(長い髪を大きくくるりと丸める)の3つに分けられるそうです。
髷に続いてアレンジがされるようになったのが後ろの部分
こちらはなんというでしょう!
正解は
髱(たぼ)
です。「つと」と呼ばれることもあります。
こちらは鈴木春信の美人画を見てみましょう。
江戸中期は鳥の尾のような形に髱を後ろに伸ばしています。この浮世絵の髱は鶺鴒髱(せきれいたぼ)と呼ばれ、着物の衿(えり)につかないように髱挿しという道具を入れて上につりあげていました。
鈴木春信についてはこちら
春画もカレンダーも大ヒット! 浮世絵の革命家・鈴木春信とは?
耳の上に張り出したのは、何て呼ぶ?
サイドの髪をピンと横に張り出させた部分が気になりますね。
髱の次、最後にアレンジが始まったのは耳上の部分
こちらはなんというでしょう!
正解は…
鬢(びん)
といいます。
この美人画のように鬢が左右に張り出したヘアスタイルは、燈籠鬢(とうろうびん)と呼ばれており、向こう側が透けて見えるところからついたとも、庭の燈籠の笠に似ているところからついたとも言われてます。
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崩れやすそう…横に張り出した髪型、どうやって作っていたの?お江戸女子の流行ヘアを徹底解剖!
江戸時代は日本髪が花開き、美しさを競い合った時代でした。現代もカット、カラーから巻き方、結び方など色々な髪型があります。その髪にかける情熱は江戸時代から引き継いでいるのかもしれませんね! 時代劇などで女性の髪形にも注目してみてください!
参考文献:村田孝子『大江戸カルチャーブックス 江戸三〇〇年の女性美 化粧と髪型』2007年 青幻舎
菊池 ひと美『江戸衣装図絵 奥方と町娘たち』2021年 筑摩書房
監修・谷田 有史、村田孝子『江戸時代の流行と美意識 装いの文化史』三樹書房
アイキャッチ画像:喜多川歌麿『婦女人相十品・ポッピンを吹く娘』東京国立博物館蔵 ColBase (https://colbase.nich.go.jp)