DAY2: 八ヶ岳付近の縄文ホットスポット
諏訪の古い神様にことごとくご挨拶して一日目を終えたら、二日目は八ヶ岳山麓に向かいましょう。八ヶ岳山麓は、5000年前の縄文時代中期、「銀座」として(?)栄えたまさに縄文大都会があった場所です。(連載記事第1回参照)
尖石縄文考古館
八ヶ岳山麓についたらまず、必ず立ち寄りたいのが「尖石縄文考古館」。ここに来ずして諏訪の縄文は語れない、言わずと知れた我国最古の国宝「縄文のビーナス」「仮面の女神」の所蔵館です。東博の「縄文展」が混みすぎてビーナスを間近で見られなかった人も、ここに行けばゆっくり落ち着いて見ることができます。もちろん尖石遺跡を代表する「蛇体把手付土器」(連載記事第1回参照)も大迫力ですからお見逃しなく!
「縄文のビーナス」(左)「仮面の女神」(右)。「縄文時代の夜は暗かったから」と言って、電気を消して見せてくれました。月明かりの下で雲母が光るビーナスは神々しかったでしょうね。
縄文考古館というのは、概して雰囲気が地味であることが多いですが、ここは広くてキレイで所蔵品が豊富で、飾られている土器がことごとくクレイジーで、本当にわくわくします。ここにくれば、この地がかつて「大都会」であったこと、また縄文文明が想像以上に高度なものであったことを実感できます。
また、尖石縄文考古館に行くならぜひ体験したいのが、現代人のための、土器や土偶の体験学習です。図工は苦手だったという人も、丁寧に教えてもらえるから大丈夫。館内に無数に展示されているプロ(縄文人)が作った土器や土偶を見た後に自分で製作を体験すれば、プロ(縄文人)が土器や土偶に込めた想いが少しわかるかも?
皆さんの作品がずらり。
体験コーナーでは、他にも、縄文人が着ていたであろう素材で作った服を着て撮影ができるコーナーなんていうのもあります。
イノシシと鹿の剥製もおります。私はもうテンションマックスでした。
尖石縄文考古館
住所:〒391-0213 長野県茅野市豊平4734-132
電話:0266-76-2270
開館時刻:午前9時〜午後5時(入館の最終受付は午後4時半)
休館日:毎週月曜日(月曜日が祝祭日の場合は、その翌日)と祝日の翌日(体験学習はできない日もあるので、事前に考古館へお問合せください。)
公式サイト:https://www.city.chino.lg.jp/site/togariishi/
八ヶ岳山脈
八ヶ岳山麓まできたら、もう登っちゃいましょう、縄文人の聖地「八ヶ岳」に! 八ヶ岳山脈は、南端の編笠山(あみがさやま)から北端の蓼科山(たてしなやま)まで、およそ21km、火山噴出物を含めると実に55kmにも及ぶ圧倒的な山容を誇ります。
八ヶ岳山脈
八ヶ岳山麓には、長野県側にも山梨県側にも縄文遺跡が密集しています。きっと恵みをもたらす八ヶ岳こそが、このあたりの縄文人にとって聖地であったのです。
縄文人の遺物が多数出土した蓼科山。しかしこんな感じの岩場をずっと登っていくのですから、ほとんど苦行です。
そこに山があるから登るのか、山を探して登るのか。人類は有史以来、無駄に山に登ってきました。縄文人も決して例外ではありません。蓼科山だけでなく、日本各地の山で縄文人の遺物(黒曜石や、土器片・石器など)が見つかっているのです。蓼科山など、絶対に人間が生活できる場所ではないのですから、縄文人も、このただの苦行を喜んでしていたわけです。
冬の蓼科山山頂。だだっ広い岩場が広がる中にポツンと建つ鳥居は蓼科神社の奥宮。
八ヶ岳連峰は、日本列島を東西に分かつフォッサマグナの断層に生じた、荒々しい神の山です。登るのは大変ですが、縄文人が見ていた世界をきっと体感できるはず。ただし、最短でも3時間半はかかりますから、時間には余裕を持ってくださいね!