当たり前ですが、お店で性的なサービスを受けた場合は、正当な対価を支払わなければなりません。とは言っても、江戸時代の遊里・吉原には、お金を持たずに遊びにくる男が後を絶ちませんでした。そんな男は、ひどい見せしめにあったのだとか。恐ろしい制裁「桶伏せ」についてご紹介します。
路上で晒しものにされる「桶伏せ」
お金がないのに食べたり飲んだりした上、遊女から性的サービスを受けた男は「桶伏せ」という制裁を受けました。その方法は、窓を開けた大きな桶の中に男を閉じ込め、路上で晒しものにするというもの。食事だけはもらえたそうですが、防寒具などはなく、糞尿もその場でさせられます。
たった数時間でも耐えられない恐ろしい制裁ですが、家族がお金をもってくるまでは、5~6日かかろうとも外に出さなかったのだとか……。
お金を届けに来た家族が「桶伏せ」にされている男を見たら、どんなに情けない気持ちになったことでしょう。
差し入れをしてくれる遊女も
お金のない客とはいえ、一晩ともに過ごした男に情がわいてしまう遊女もいました。見かねてこっそり食事を差し入れてくれることもあったのだとか。
こちらの画像の男は、遊女に差し入れをもらって少し嬉しそうですね。
なんだか偉そうにしている男もいます。
安心してください、最初だけです
実際に「桶伏せ」が行われたのは、吉原ができた初期のごく一時期のことのようです。あまりにひどい仕打ちをすれば、お客が寄り付かなくなってしまうからでしょうか。
古い川柳に「桶伏を 入れ替へにする 座敷牢」というものがあります。これは、あちこちで桶伏せにあっている道楽息子のことを詠んだもの。何度も晒しものにされれば次第に慣れてしまったのか、もしくは「桶伏せ」に新たな楽しみを見出したのか。
何はともあれ、お金はしっかり払わなければなりません。
▼吉原についてもっと知るなら! 和樂webおすすめ記事
隣に美女が寝ているのに、何もできない!吉原・蛇の生殺しシステム「名代」とは
▼試し読みもできる! 和樂webおすすめ書籍
カラー版 現代語訳 春画
参考文献
『奇想凡想』宮武外骨 著
『図説 吉原事典』永井義男 著