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2024.04.01

思い立ったらピクニック! 手軽・美味しい・ときめくオープンサンドレシピ【今宵、お酒さそう料理を】

桜の開花ニュースがやってきた!週末は近くの公園にピクニックに行きたい。お酒だって飲んじゃうぞ! でも、お弁当を作るのはちょっとハードルが高い。さて、どうしたものか。そんな時の強い味方が、料理人の桂(かつら)さん。季節に寄り添いながら、簡単、美味しい、お酒が進む、とびきりのお料理を教えてくれる。桂さん、今日もよろしくお願いしますっ!

作る人だって楽したい! 飲みたい! 片付けたくない! お野菜もいっぱい食べたい!

お花見やピクニック、せっかくなら美味しいお酒&おつまみを持って気軽に出かけたい! 乾き物以外のお料理も野菜もたっぷり食べたい! …だけど、事前準備で力尽きてしまった、後片付けがしんどい……。そんな経験はありませんか? でも、何一つ諦めずに、楽しい宴を開く作戦があると聞き、料理人・田中 桂さんの元を訪ねました。

小俣:今日は、桂さんのピクニック必勝法を伺いにきました。

桂:太陽の下で飲みたい季節がやってきましたね。こんなとき、私はオープンサンド方式をとっています。分量は適当、容器も選び方次第で、盛り付けも運搬もシンプル、片付けも簡単になりますよ。

小俣:オープンサンド大作戦!

桂:オープンサンドを片手にお酒を楽しむ。手巻き寿司やタコスのようなイメージです。野菜や果物のマリネ、魚のペースト、お肉のグリルなどを好きにパンの上に乗せるだけ。下準備さえしたら、現地でみんなが仕上げてくれるのでとっても楽です。

小俣:食材の好き嫌いにも気を遣わなくてよさそう、そして楽しそう……!

桂:今回も、基本となる万能ソースがあると簡単に作りやすいと思って。ピクニックは1年中楽しめると思うので、いつでも作れる「アイオリソース」を考えてみました。加える食材でその時々の旬が感じられるお料理にしてもらえたら。

小俣:(読者の皆様へ) ちなみに、仕上がり写真を先にお見せするとこんな感じでした!

1つのソースから味わいの異なる6品+αのお料理が生まれました。簡単あっという間!

◆アイオリソース

アイオリソースは、にんにくの入ったマヨネーズのようなもの。

(材料)
・卵黄 1個
・にんにく 1/2片
・a 米油 50cc
・a オリーブオイル 50cc
・レモン汁 1/2個分
・塩 小さじ1
・ヨーグルト(無糖) 大さじ2
★保管:冷蔵庫で2日間ほど

<作り方>
1.ボウルに卵黄、塩、レモン汁、にんにくおろしを入れてよく混ぜる。
2.aを合わせて、1に少しずつ入れながら混ぜる。(乳化させる)
3.ヨーグルトを加える。

米油とオリーブオイルは計量カップなどに合わせて入れておく。オイルは少しずつ数回に分けて1に注ぎながら混ぜ合わせます。思いのほか簡単に乳化してくれるのでご安心を。カスタードクリームくらいの硬さになったら、ヨーグルトを合わせて液を緩め、コクを出します。

小俣:マヨネーズ作りって、もっと難しいと思ってました。

桂:この方法、とても簡単にできるのでおすすめです。最初に油を注ぐときだけ少しずつ……を意識してもらえたら、しっかり乳化するので。

小俣:にんにくは、生が良いんですか?

桂:生にんにくをすりおろすとしっかりと主張があって、香るのでこのあと下味として使う時にちょうど良いなと。でも、チューブでも良いし、苦手な人は入れなくても美味しいマヨネーズになりますよ。

小俣:(味見を失礼します。)おお!濃厚なマヨネーズ! つい舐めちゃう、クセになる罪深いソース……。このままディップとしてお野菜につけても食べ切ってしまいそうです。にんにくの香り、そしてヨーグルトでコク出てますね。

桂:ふふふ。あとは、バゲットに塗ってトーストしたら、美味しいガーリックトーストにもなります。

小俣:使い勝手良すぎて、お料理する前に食べきっちゃいそう……。無くなる前に! ここからはソースを使ったお料理ですが、今回、基本的にみんな分量が「適当」ということなんですね?

桂:はい! ピクニック行きたいと思い立ったらすぐ簡単に作れる、その時々のお好みで良いんです。何も考えず、混ぜればよし! みたいなレシピをご紹介します。

小俣:そういえば、たまごサンド作る時、わざわざ計量しないですものね。混ぜて味見してみて、いい感じ!って思えたらよいのかぁ。では、さっそくお願いします!

桂:はい、やっていきましょう。今日のお料理レシピ、たくさんあるので、気になったものだけ見てみてくださいね。

◆タンドリーチキン

(材料)
・鶏もも肉
・アイオリソース
・カレー粉
※お好みの量でOK!

<作り方>
1.鶏もも肉を1口大5mmスライスにカットする。
2.ボウルにアイオリソースとカレー粉を入れて混ぜ、そこに1を加えて混ぜる。
3.半日ほど冷蔵庫で寝かせる。
4,トースター、フライパン、オーブンなどで焼く。

鶏肉を切るときは皮目を下に。ソースはラップの上に乗せて、その上でお肉と混ぜて包むだけ。

桂:ソースとカレー粉はだいたい2対1くらいを基本にして、あとはお好みです。今日は、炒め物でフライパンを使うので、その間にトースターで焼きますが、フライパンやオーブン、魚焼きグリルでもお肉に火が通ればなんでも。お好みの方法でグリルしてください。

小俣:お肉で「千切り」って、初めて聞きました。

桂:今日は具材をパンの上に乗せるので、お肉も食べやすいようにしました。お箸で食べるならもっと大きくても良いし、手羽中でやっても美味しいです。ただ、ピクニックで手が汚れないようにするなら、このサイズ感が生きてきます。千切りだと火の通りが良くてすぐ焼けるのも良いですよ。

アルミホイルに乗せてグリルします。焼き上がったら、ホイルで包んで少し保温状態にすると味がしっかり入って落ち着きます。

小俣:アルミホイルに乗せてそのまま焼いて終わりだと、洗い物が出ないのもいいですね。焼き時間は?

桂:これくらいの量なら、トースターで20分ぐらい。焼き加減を見て、水っぽいかなと思ったら程よく蒸発するまで火にかけておくとしっかり焼けます。肉汁が漏れてしまうと、汚れるしもったいないので、アルミの縁を少し曲げておいてくださいね。

小俣:タンドリーチンって、美味しいしテンション上がりますよね。でももっとスパイス色々混ぜたり面倒だと思ってました。ソースがあると、すぐできちゃいますね!

桂:そうなんです。前夜にソースだけ作って漬けて、冷蔵庫で寝かしておいたら、次の日の朝焼いて持っていくだけにできます。

◆豆腐のフムス

フムスとは、中東や地中海地方の伝統的な家庭料理で、豆に具材を混ぜてペースト状にしたもの。

(材料)
・豆腐(木綿)
・アイオリソース
・すり胡麻
・クミン
※全てお好みの量でOK!

<作り方>
水切りした豆腐に材料を加えてよく混ぜる。

お豆腐の水切りは、キッチンペーパーに包んでおいて、軽く絞ればOK!

小俣:簡単極まって、ついに1行で終わるレシピがきましたね……。

桂:そうなんです(笑)。フムスはひよこ豆で作るのが一般的なのですが、そら豆やお豆腐でやってみても美味しいんです。

小俣:そういえば、豆腐も豆の一族だった。

桂:ちょっとエスニックな白和えみたいな感じです。私は香ばしさや味が好きで、胡麻とクミンシードを炒ったものを潰して使っているのですが、買ってきてそのままのすり胡麻とクミンパウダーを入れるだけでも。クミンはカレーによく入れるスパイスですね。クミンパウダーを使う場合は、少量で香りが出るので量を加減してみてください。

小俣:味見しながら好みに仕上げるということだと思うんですが、味決めのポイントってありますか?

桂:個々のお料理の味としての好み! も大事ですが、今日はパンに乗せて食べることを想像して、合いそうな感じを目指すのが良いかと思います。

小俣:なるほど、最終形の調和を想像する……。

◆人参ラペ

『ラペ』は、フランス語で千切りのこと。

(材料)
・人参
・アイオリソース
・レモンの皮(あれば)
※お好みの量でOK!

<作り方>
1.千切りした人参に軽く塩を振って混ぜ、しんなりしたら水気を絞る。
2.ボウルに1とアイオリソースを入れて混ぜ、レモン皮を入れる(なくてもOK! )。

スライサーを活用すると千切りも楽。家族や仲間と手分けして作るのも良さそうです。

◆たまごサラダ

(材料)
・茹で卵
・クリームチーズ
・アイオリソース
・からし
※お好みの量でOK!

<作り方>
茹で卵と小さくカットしたクリームチーズをボウルに入れ、アイオリソース、からしを加えてよく混ぜる。

クリームチーズとゆで卵の相性、抜群ですよね……。アイオリソースで、より奥行きのある味わいに。

◆タコとジャガイモのソテー


(材料)
・茹でタコ
・ブロッコリー
・ジャガイモ
・オリーブオイル
・にんにくスライス
・塩
・ブラックペッパー
※お好みの量でOK!

<作り方>
1.茹でタコとブロッコリーを1cm角にカットし、ジャガイモは蒸して皮をむく。
2.フライパンにオリーブオイル少々とにんにくスライス、タコ、ブロッコリーを入れて炒める。
3.弱火にし、アイオリソースを入れて軽く炒め、つぶしたジャガイモを加えてさらに崩しながら混ぜる。
4.塩を少々、ブラックペッパーを振り、混ぜる。

※蒸したじゃがいもの皮むきは、こちらの桂さんレシピ記事でも詳しく紹介しています!
ふきのとう香るポテトサラダ

オリーブオイルは小さじ1程度のほんの少し。タコもブロッコリーもフライパンに入れてから火をつけて、蓋をして中火で蒸し焼きに。
蒸して皮を剥いたジャガイモは、ワイルドに軽く潰す程度でOK。ラップを使うと手も汚れません。
タコの香りがしてきたら、ソースで味付け。フライパンに軽く潰したジャガイモも加え、混ぜながら食べやすいサイズに崩します。最後にブラックペッパーを振ったら出来上がり。バットなどに広げて落としラップ、粗熱を取ります(あとは容器に入れるだけ! )。

桂:南仏やスペインの方は、蒸し野菜とお魚にアイオリソースかけて食べるのが定番なんだそうです。

小俣:絶対お酒進むやつですね! タコやブロッコリーのカットサイズも、食べやすさですか?

桂:そうですね。こちらもパンに乗せるのでちょっと小さめにしておくと転がらなくて安心です。今回はタコでしたが、タラも美味しいですよ。生魚に抵抗があったらツナ缶でも。おうちにあるものを適当に使ってもらえたら。

お手軽ピクニックのススメ

パン、付け合わせ御一行

この日のパンは、自家製フォカッチャ(いつかレシピをご紹介いただきたい……)。パンの耳が柔らかいので、具材がこぼれにくくて食べやすかったです。手前のディップは明太子とアイオリソースを和えたもの。

桂:ピクニックでもお野菜をたくさん食べたいので、洗うだけの簡単なものなど色々詰め込みます。

付け合わせに、スナップエンドウやパクチーが活躍!そのまま食べても、オープンサンドのアクセントに活用しても。

フルーツも簡単に切って詰めるだけで彩りに。

1つのソースから広がる味わい、調和

作ったお料理をパンに乗せて。奥:たまごサラダ、ソテー、人参ラぺ、香味野菜。手前:フムス、いちご、キンカン。

小俣:それぞれ単体で食べても美味しいし、同じソースがベースなのにみんな違う味わいで飽きないですね。そして、どんな組み合わせにしてもハズレなく調和する不思議。

桂:合わせたいお酒によっても組み合わせが変えられるし、その時々のマイベストを探したくなりますね。

何に詰める??

小俣:冒頭で「容器の選び方」のお話もありましたが、詳しく伺えますか?

桂: 身軽で後片付けも簡単、環境負荷も小さいということで、紙パックや紙皿を活用しています。冷蔵庫に入っていたものをそのままタッパーなどの容器に入れて持っていくだけでも。あとは、大きなバスケットと保冷バックが大活躍しますね。

100円ショップなどを巡ってアイテムを探すのが大好きという桂さん。奥の紙容器は蓋に高さがあるので具材を潰さない&蓋が取り皿になるところも魅力なのだそう。手前の保存容器は密閉性があって液漏れしにくい。

大容量のカゴバッグ。お料理、お皿、トレイ、カトラリーやお酒入り保冷バッグまで全部入りました!

こちらは、編集部Cさんが持ってきてくれた可愛いバスケット。お酒や割れないグラスと一緒にコンパクトに詰めても気軽に出掛けられます。

ワイン選びの思いがけないコツ、熱燗の運び方

桂:以前、コルク栓のボトルを持って行ったのに、ワインオープナーを忘れてしまって……。周りで宴会してる方に聞いて回ってお借りして、やっとのことで開けたという苦い思い出が。それ以来、ワインはスクリュータイプにしています。

小俣:それは大いなる教訓(笑)。

桂:あと、熱燗が飲みたいときは、サーモボトルに入れて持っていくといいですよ。屋外の気分でワインを軽くしたいときは炭酸で割っても。外で飲むビールも最高ですよね。

小俣:お酒への情熱がほとばしってますねぇ〜!

桂:今日はこれくらいにしておきます(笑)。 次は、お酒とのマリアージュのお話ももっとしたいですね。

小俣:ぜひに! 今日教えていただいたオープンサンドスタイル。帰ってきてからの片付けもグラス洗うくらいで、準備も無理がなくて、ピクニックのハードルがグンと下がりました。それに、雨の日におうちの中でやってもワクワクするし、残り物を持ち帰ってから家で2次会してもいいし…と、夢が広がりました。

桂:そうなんです。誰も無理しない形にしたくて。思い立ったらピクニック! そんな仲間が増えたら嬉しいです。

過去のお酒さそう料理もぜひ! 万能ソースを使ったレシピは、どれも手軽に季節を感じられます。
◆秋の夜長レシピ、生姜とスパイスのソースで広がるワイン時間。「今宵、お酒さそう料理を」
◆酒の肴にもおかずにも。食卓に春を知らせる「ふきのとうソース」レシピ【今宵、お酒さそう料理を】

訪ねた料理人


田中桂(たなか かつら)
お酒さそう料理人。辻日本料理専門学校を卒業後、創作懐石料理、家庭料理をメインに、エスニックやビストロでも経験を積む。池尻大橋にて季節料理・酒処”さそう”店主をつとめた。お料理教室の講師、NHKラジオレギュラー出演、料理雑誌ダンチュウや食楽、料理通信にてレシピ公開を手がけるなど活動は多岐に渡る。

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小俣荘子

淡路島生まれ、横浜育ち。海が見えると安心する。ある夏、腕に火傷を負って治療のため長袖必須に。猛暑に溶け落ちる窮地を浴衣に救われ涼しく過ごす。以来、昔ながらのものを日常に取り入れるのが面白くなり、入り口探しがライフワークとなる。紙でできたものと小さいものに目がない。旅先の美術館カフェでぼんやりする時間が好き。 https://linktr.ee/omata_shoko
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