建築の記憶を受け継ぎながら、作品と深く向き合う空間へ

セゾン現代美術館の前身である高輪美術館が、東京・高輪から軽井沢へ移転開館したのは、1981年のこと。建物を設計したのは、日本を代表する建築家・菊竹清訓氏です。
今回の改修で大切にされたのは、この建築の趣を受け継ぎながら、作品とより深く向き合える空間を整えること。「作品と深く呼吸する場所」という理念のもと、エントランスや一部の展示空間などが見直されました。
敷地に広がる風景の気配を館内へとつなぎ、光や風を感じながら、作品の前でゆっくり過ごせる場へ。建物が重ねてきた時間を尊重しつつ、作品と向き合うひとときに、新たな広がりが生まれています。
自然と彫刻が溶け合う、苔と木々の庭園

建物を囲むのは、長い歳月をかけてこの地で育まれてきた庭園です。基本構想を手がけたのは、彫刻家・若林奮氏。
浅間山の火山活動が生んだ大地に、森や小川、彫刻作品が溶け合います。季節を重ねるごとに、風景もゆっくりと深みを増してきました。
時を重ねた今、苔はしっとりと地を覆い、メタセコイアをはじめとする木々は大きく枝を広げています。歳月が育てた景色の中を歩く。そんな静かなよろこびも、この庭園ならではです。

心で感じる、解説のない展示室

リニューアル後初となるコレクション展「ソコからみたキセキ」が、8月23日(日)まで開催されています。
本展では、展示室にあえて作品キャプションや解説を設けていません。作品名や背景といった情報にとらわれず、まずは目の前の作品そのものと向き合い、自分自身の感覚で鑑賞することができます。
庭園を望むカフェで、鑑賞の余韻を味わう
作品とじっくり向き合ったあとは、新しくなったカフェでひと息。
大きな窓の向こうには庭園が広がり、建築から庭園へとつながる風景も、この空間の魅力です。
古くから手摘みの文化が受け継がれる有機茶の中井侍銘茶と干菓子をいただきながら、鑑賞の余韻を静かに深められます。


美術館での出会いを、暮らしへつなぐミュージアムショップ

ART FORUM内のミュージアムショップも、装いを新たにしました。
並ぶのは、地球が育んだ素材と、作家の感性や手仕事が出会うことで生まれた品々。素材そのものが刻んできた時間と、それを新たな表現へと導く作家の創作、その両方に触れることができます。
作品を鑑賞し、庭園を歩いたあとは、その余韻を日々の暮らしへ。美術館での体験と日常をつなぐ場所として、ミュージアムショップも新たな役割を担っています。

軽井沢の豊かな自然に包まれながら、自分の感性と静かに向き合うひとときを過ごしてみてはいかがでしょうか。
セゾン現代美術館 概要
住所:長野県北佐久郡軽井沢町長倉芹ケ沢2140
電話:0267-46-2020
開館時間:10:00~18:00(入館は17:00まで。カフェL.O.は17:30まで)
休館日:木曜日※8月24日(月)~9月4日(金)は展示替えのため休館
入館料:一般 前売り券3,000円/当日券3,300円
学生(中・高・大・院・専門学生)前売り券2,000円/当日券2,200円
小学生以下・障がい者手帳をお持ちの方(付き添いの方1名)前売り券/当日券ともに無料
※チケットは事前購入・日時指定制。LINEによるデジタル発行のみとなります。
※一般・学生料金には、美術館&庭園入館・館内カフェでのドリンク(有機茶と干菓子)が含まれます。
※無料対象者もデジタルチケットの取得が必要です。ドリンクは付きません。
公式ウェブサイト:https://smma.or.jp/
セゾン現代美術館 コレクション展「ソコからみたキセキ」
会期:2026年6月26日(金)~8月23日(日)
「中西夏之 緩やかにみつめるためにいつまでも佇む、装置」
会期:2026年9月5日(土)~11月3日(火)
トップ画像/写真:加藤健

