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2026.05.02

美術ファンの熱愛番組を回顧!「NHK日曜美術館50年展」が東京藝術大学大学美術館で開催

気になる最新の展覧会情報を網羅した、『和樂』本誌の連載企画「全国厳選! 美術展カレンダー」。「全国の美術館からピックアップ! こちらも必見! 展覧会」では、東京藝術大学大学美術館で6月21日まで開催されている「NHK日曜美術館50年展」に注目。テレビを通して発信する美術情報の面白さが、いま改めて話題になっています。

東京藝術大学大学美術館 ~6/21
「NHK日曜美術館50年展」

テレビ番組ならではの美術の楽しみ方が展覧会に

毎週欠かさず観ている人も多いのではないでしょうか、NHKの「日曜美術館」。昭和51(1976)年4月の放送開始から2500回を超える長寿番組です。今年で50年を迎えるにあたって、記念の展覧会が開催されます。

これまで番組に登場した古今東西の作家や、120点以上の名品が紹介されるわけですが、面白いのは、「テレビ番組」という眼を通して美術を見直すことができること。「何が出品されているか」より、「そのとき、この作品はどう語られていたか」を辿れることが楽しいのです。

たとえば、ナビゲーターとして登場した村上隆(むらかみたかし)、大野一雄(おおのかずお)、井浦新(いうらあらた)の言葉によって、縄文土器・土偶、伊藤若冲(いとうじゃくちゅう)、曾我蕭白(そがしょうはく)、葛飾北斎の魅力を再発見する。アトリエや工房を訪れた映像の中に、画家や職人の生き方を感じる。番組によって発掘されたアーティストの作品からも、時代によって変遷する美術との関わり方に気づかされることでしょう。

昭和55(1980)年放送の、岡本太郎(おかもとたろう)がピカソについて語っている番組映像とともに、『ゲルニカ』を原寸大高精細映像で展示するという、最新の鑑賞体験にも期待が高まります。コアな“ニチビ”ファンはもちろんのこと、美術初心者にも強くおすすめしたい、この春の注目展です。

現代人の心の奥底の痛みを描く

石田徹也 《飛べなくなった人》 1996年 静岡県立美術館蔵

番組での紹介をきっかけに、世に知られるようになった作家も多い。なかでも石田徹也(いしだてつや)は、2005年に31歳の若さで急逝。その翌年に、有志により開かれた展覧会と遺作集によって、注目を集めた。

スタジオに作品を持ち込んだ時代も

アルベルト・ジャコメッティ 《ヤナイハラⅠ》 1960~61年 国立国際美術館蔵

放送開始当時は「私と○○」という形で、ゲストが作家と作品を紹介していた。哲学者の矢内原伊作(やないはらいさく)は、自身がモデルになったジャコメッティ作品について語り、スタジオで作品とモデルの当人が並ぶという貴重な映像に。

セザンヌの心の中がわかった?

ポール・セザンヌ 《水浴》 1883〜87年 公益財団法人大原芸術財団大原美術館蔵

音楽評論家の吉田秀和(よしだひでかず)は、1996年に番組で本作について、「自然の中にあるものを再現したような絵であるどころか、彼が求めていたあるいは心の中でみていたあるファンタスティックな世界の絵画的実現だ」と語った。

奇想の絵師もお世話になりました

曾我蕭白 《柳下鬼女図屛風》 江戸時代・18世紀 東京藝術大学蔵 【後期展示】5月12日(火)~6月21日(日)

日本美術好きとしても知られる俳優の井浦新は、2013年から約5年間番組の司会を務めた。江戸絵画、なかでも奇想の絵師については特に熱く語って、ブームを盛り上げた。曾我蕭白もそのひとり。

東京藝術大学大学美術館 DATA

住所:東京都台東区上野公園12-8
電話:050-5541-8600(ハローダイヤル)
開館時間:10:00~17:00 ※入館は閉館の30分前まで。
休館日:月曜日、入学試験期間、展示替え期間、年末年始
公式サイト:https://museum.geidai.ac.jp/

◆『和樂』「全国厳選! 美術展カレンダー」とは?

『和樂』本誌では、発売期間中に全国で行われている展覧会を、作品情報とともに紹介しています。掲載しているのは全国の著名な美術館・博物館。お目当ての展覧会を見に、また旅先での美術館巡りなどで、ぜひともご活用いただきたい【和樂 提携美術館】の優待券を毎号お届けしています! 詳細は本誌でご確認ください。

【和樂 提携美術館】

山形「土門拳写真美術館」、茨城「笠間日動美術館」「徳川ミュージアム」、群馬「原美術館 ARC」、千葉「千葉市美術館」、東京「永青文庫」「太田記念美術館」「菊池寛実記念 智美術館」「五島美術館」「サントリー美術館」「泉屋博古館東京」「東京ステーションギャラリー」「パナソニック汐留美術館」「三井記念美術館」「三菱一号館美術館」「森美術館」「山種美術館」、神奈川「岡田美術館」「川崎浮世絵ギャラリー ~斎藤文夫コレクション~」「ポーラ美術館」、長野「軽井沢千住博美術館」「サンリツ服部美術館」「日本浮世絵博物館」、静岡「MOA美術館」、京都「泉屋博古館」「福田美術館」「細見美術館」、奈良「松伯美術館」「大和文華館」、和歌山「高野山霊宝館」、兵庫「芦屋市立美術博物館」、島根「足立美術館」(都道府県別・五十音順)

※本記事は雑誌『和樂(2026年4・5月号)』の転載です。
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和樂web編集部


構成/剣持亜弥、鈴木智恵(和樂)
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