Craftsmanship

2023.04.28

陶芸家? 料理研究家? 文筆家? 魯山人のマルチな才能に迫る! Part1:モダン

魯山人のコレクションで知られる島根県の足立美術館では、2020年4月1日に新たな展示室「魯山人館」をオープン。
その開館の直前に『和樂』では名品5作の撮り下ろしを行うことができました。

そこで実現したかつてない斬新な写真とともに、「モダン」「豪放磊落」「スタイリッシュ」「自由奔放」「絢爛豪華」という、魯山人の魅力をご紹介します!

魯山人の魅力 その一、モダン!

日本料理店でよく目にする下の椀の意匠の生みの親が、魯山人です。
肌合いはあくまでも滑らかで、艶のある漆器が好まれた当時、魯山人は仕上がりがきれいすぎるものを拒絶。
薄く削った木地に和紙を貼りつけ、漆を塗り重ねる「一閑張」の技法を好んで用い、和紙ゆえに生じる表面の微妙なシワを愛しました。
金箔で太陽、銀箔で月を表現する際、魯山人は共作した山中塗の塗師に、きれいに仕上げることを禁じていたとか。
このモダンな感性こそ、魯山人の魅力の最たるもののひとつ。
本作を手本にした椀が今も日本各地でつくられていることから、その感性の新しさが今に通じるものだったことがよくわかります。

『日月椀 いつかん』北大路魯山人 一閑張 昭和18(1943)年ごろ (各)径12.8×.高さ11.2㎝ 足立美術館 銀箔で表した月はまるで、天体望遠鏡で見た月の表面のよう。モダンで実用的なセンスに圧倒される!

撮影/鍋島徳恭 構成/山本毅、吉川純(本誌)※本記事は雑誌『和樂(2020年4・5月号)』の転載です。

シリーズ「魯山人の魅力」

「魯山人の魅力」シリーズ。下記リンクより他の記事もぜひお楽しみください!

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山本 毅

昭和のころからファッション雑誌の編集に携わり、重ねたキャリアだけは相当なもの。長らく渋谷の隣駅(池尻大橋)近くに住んでいたが、諸事情により実家(福岡県飯塚市)に戻る。以後もライターの仕事に携わることができ、現在2拠点生活中。LCCの安さに毎回驚きながら、初めて住んでみた人形町・日本橋エリアでの生活が楽しくて仕方がない!
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