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2022.09.08

歌舞伎とは?なぜ男性だけが演じるの?歴史をわかりやすく紹介!

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日本の伝統文化の代表とも言える「歌舞伎(かぶき)」。歴史の教科書では出雲のお国という女性が始めたと習いましたが、今歌舞伎を演じているのは男性です。一体なぜ男性が演じるようになったのでしょう。歌舞伎とはどういうものか、その歴史を簡単にわかりやすくご紹介します。

歌舞伎大好きです!でも、ルーツについては、あやふやかも。。。

※以下、本記事の文章は、書籍『歌舞伎江戸百景』(著者:藤澤 茜)の転載となります。

歌舞伎の歴史

なぜ、歌舞伎は男性だけで演じられるのだろう—–。はじめて歌舞伎を観た人が抱く、共通の疑問です。江戸幕府の開府と同時期に生まれた歌舞伎は、じつはひとりの女性の踊りから始まりました。

始まりは出雲のお国の歌舞伎踊り

歌舞伎を創始したのは、出雲大社(島根県)の巫女といわれるお国(阿国、おくに)という女性だとされています。慶長5年(1600)、京都の近衛信尹(このえのぶただ)の屋敷に国、菊という者たちが招かれて「ややこ踊り(幼女による踊り)」を披露したこと、慶長8年頃には国という女性が「かぶき踊り」を演じたということが、書物に記録されています。

お国は、高尚な能の舞台を使って、能で用いる楽器で流行の曲を演奏しながら、男装して遊廓での茶屋遊びの様子を見せるなどの斬新な演出で庶民の人気を得ました。お国の歌と舞は、当時流行した奇抜な振る舞いや身なりを意味する「傾(かぶ)く」という言葉から、「かぶき踊り」と呼ばれるようになります。

作者不詳 重要文化財『阿国歌舞伎図』京都国立博物館 出典:ColBase(https://colbase.nich.go.jp/)
能舞台の上で、お国が得意としていた演目『茶屋遊び』の上演風景を描いた屏風。浮世絵誕生以前の近世初期風俗画と呼ばれる作品で、当時はこのような芸能を画題にした図も数多く描かれた。能舞台の緋毛氈(ひもうせん)の上では、能の楽器である「四拍子(笛、小鼓、大鼓、太鼓)」による演奏が行われている。武士や僧侶、子ども連れの女性など、老若男女が舞台を囲んで楽しんでいる様子がわかる。

舞台上で刀を担いでいるのが、男装したお国。画面左の猿若という道化役を相手に、遊郭での茶屋遊びの様子を演じている。右側にいるのは茶屋のかか(女主人)。
京都の鴨川にかかる四条大橋には、お国の像が。四条河原で踊りを披露したという伝説が有名ですね。すぐ近くには、南座があります!

女歌舞伎から野郎歌舞伎へ

お国が始めたかぶき踊りが人気を博すと、それを真似た「女歌舞伎(遊女歌舞伎)」が生まれました。神社ではなく専用の舞台で、当時渡来したばかりの三味線を用いた華やかな群舞が特徴です。ところが、寛永6年(1629)、幕府から「風俗を乱す」という理由で女役者が禁止され、少年による「若衆(わかしゅ)歌舞伎」に替わりました。しかし、これもまた風紀の乱れのもとになるとされて、成人男性が演じる「野郎(やろう)歌舞伎」へと発展し、今日に至ります。現在の歌舞伎が男性だけで演じられている理由はここにあるのです。

なるほど、こうして男性のみで演じることになったから、男性が女性の役を演じる女形(おやま)が誕生したのですね。

江戸歌舞伎のルーツと役者絵の誕生

歌舞伎の人気は江戸でさらに花開き、上方(かみがた)の「和事(わごと)」に対して、江戸の力強い「荒事(あらごと)」がブームになります。ほぼ同時期に誕生した浮世絵版画でも、歌舞伎役者の舞台姿が描かれるようになりました。

今で言う、人気スターの写真集のようなものだったのかも。

京都で始まった歌舞伎は大坂へ、そして江戸にも広まり、寛永元年(1624)に、猿若勘三郎(さるわかかんざぶろう)が江戸・中橋に常設の劇場である猿若座(のちの中村座)を開きます。元禄年間(1688~1704)には、幕政の安定と経済の発展を背景に、現代に繋がる歌舞伎の基礎が築かれ、上方(京都、大坂などの近畿地域)では「和事」、江戸では「荒事」と呼ばれる演技様式が発展し、人気を集めました。

荒事は、江戸の初代市川團十郎(いちかわだんじゅうろう)が生み出した、荒々しく豪快な芸風です。その力強さとおおらかさは、戦国武士の気風が残った江戸の人々に好まれました。荒事では「隈取(くまどり)」という化粧や誇張された衣装に加え、「見得(みえ、美しく決まったポーズで静止する)」や「六方(ろっぽう、大きく手を振り足を踏みしめて動く)」など、独特の演技技法が特徴です。

これに対して、上方の初代坂田藤十郎(さかたとうじゅうろう)によって完成された和事は、女性的な柔らかいしぐさや台詞まわしで観客を魅了しました。

江戸っ子は、洗練された色気のある、粋(いき)を良しとする文化。一方の上方は、世情や人情に通じた粋(すい)こそが一番という文化。この違いが歌舞伎演目に現れていますね。

また、上方ではおもに能舞台と同様の形式が踏襲されていたのに対して、この時期の江戸では荒事の立ち回りが演じやすいよう、間口の広い舞台が使用されるようになります。

同じく1600年代後半、江戸では菱川師宣(ひしかわもろのぶ)がそれまでの本の挿絵として制作されていた版画を独立した作品として刊行しました。墨摺(すみずり)の版画から出発し、次第に版木を用いて色を摺り重ねるようになりました。

三代目歌川豊国『碓井荒太郎貞光 市川海老蔵二九亭白猿』国立国会図書館デジタルコレクション

歌舞伎と浮世絵を120%楽しむ一冊

江戸庶民文化の華と称され、いまや日本文化の代表とも言える「歌舞伎」と「浮世絵」。江戸の暮らしとともにあったこのふたつの文化は、相互に影響し合いながら発展してきました。

本書は、「浮世絵を見ることで歌舞伎がよくわかる、歌舞伎を知ることで浮世絵がもっと楽しくなる」をコンセプトに、江戸の日常、浮世絵と歌舞伎の歴史、歌舞伎の名作・名場面などさまざまな切り口で、歌舞伎と浮世絵の関係をひもときます。東洲斎写楽の役者大首絵はもちろん、葛飾北斎による着せ替え人形遊びのような役者絵、歌舞伎役者が広告塔となって商品を宣伝する浮世絵まで、浮世絵と歌舞伎の分かちがたい2つの魅力を、100点を超える作例とともに紹介します。

歌舞伎の浮世絵って、色鮮やかでドラマチックで、見てるだけで楽しい♡その解説が書かれているとなると……。歌舞伎の理解が一気に深まりそうです!!

浮世絵コレクターとしても名高い歌舞伎役者・市川猿之助丈のインタビューも収録。猿之助丈秘蔵の浮世絵も掲載。

書籍情報

『歌舞伎江戸百景 浮世絵で読む芝居見物ことはじめ』
著/藤澤 茜
定価:2,420円(税込) 
B5判並製 
112ページ
小学館
ISBN 9784096823613

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幼い頃より舞台芸術に親しみながら育つ。一時勘違いして舞台女優を目指すが、挫折。育児雑誌や外国人向け雑誌、古民家保存雑誌などに参加。能、狂言、文楽、歌舞伎、上方落語をこよなく愛す。十五代目片岡仁左衛門ラブ。ずっと浮世離れしていると言われ続けていて、多分一生直らないと諦めている。

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