6万3000坪に広がる「寿長生の郷」ですが、建屋が並ぶのは、ほんの一部。それは里山を切り開く前からそこで生きていた動植物のために、元の姿に近い形で里山の自然を残しているためです。「寿長生の郷」に広がる景色は、日本の里山の原風景そのもの。梅や柚子などの果樹畑は菓子の材料に使うためでもありますが、自分たちの手で育てることで自然と親しみ、よりいい菓子づくりができると叶 匠壽庵は考えているからです。菓子職人によると、「創作のヒントは、すべて寿長生の郷にある」とか。頭の中で考えているよりも、里山を歩いて自然のあるがままの姿を目にすれば、菓子のアイディアが浮かぶそうです。
畑を耕し、里山の実りをいただきながら自然に寄り添う菓子を創案するといった「農工ひとつの菓子づくり」が、叶 匠壽庵がこの地で長い時間をかけて続けてきたこと。それをお客様とわかちあう場が、茶室で行われる呈茶サービス「お茶席」です。
案内役を務めるのは、芝田雪乃さん。郷の四季と共に、長年茶室に訪れる人々を迎えてきました。「お茶席」のテーマを月ごとに決め、そこから道具組み、主菓子のイメージを考えるそう。床(とこ)に生けるための花や草を摘むことも仕事のひとつですが、目に映る景色を記憶に留めておくことも芝田さんは大切にしています。「菓子と道具の説明に続いて、今、郷にはどんな風景が広がっているのかをお話しします。お茶の後にもう一度、お客様が郷を散策してお帰りになってくださったらうれしいですね」
趣向を凝らした「お茶席」をはじめ、数寄屋造の家屋としつらいなど日本美に彩られたものが集まった「寿長生の郷」。心安らぐひとときを過ごしてみませんか。
鳥のさえずりと沸き立つ茶釜の音に心を鎮めて
虫喰いの葉も枯れた枝もそのまま生けたい
野に咲く白玉椿に心を動かされて生まれた春の菓子
里山にいち早く春の訪れを告げる白梅の林
叶 匠壽庵 寿長生の郷
住所:滋賀県大津市大石龍門4-2-1
電話:077・546・3131
営業時間:10時〜17時 ※各施設により営業時間が異なる 水曜定休・年始など変更あり
アクセス:JR石山駅より1日4便往復の送迎バスがある(無料)。駐車場あり。
公式サイト:kanou.com
問い合わせ
叶 匠壽庵 お客様センター 0120・257・310