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2025.04.04

片岡千之助の連載 Que sais-je「自分が何も知らない」ということを知る旅へ!#005 サッカー

“Que sais-je(クセジュ)?”とは、フランス語で「私は何を知っているのか」。自分に問いかけるニュアンスのフレーズです。人生とは、自分が何も知らないということを知る旅ではないでしょうか。僕はこのエッセイで、日々のインプットを文字に残し、皆さんと共有します。 今回の「旅」は…サッカーです。

もともとは大嫌いでした

週末の深夜や朝方、1人でテレビ画面に釘付けになりながら好きな選手の活躍を心待ちにする、あの至福ながらにどこかしらで緊張感を携えながらも熱中する僕の大好きな趣味はサッカー観戦です。

なぜそんな夜中や朝方なのかというと海外サッカーを主に観戦しているため。時差のせい。時差を感じながら、海外のスタジアムの歓声やチャント(応援歌)を聴いていると、日本の自分の家にいながらも、どこかヨーロッパの雰囲気を感じられます。

そんな自分が、サッカーを好きになったきっかけから話したいと思います。
というか、もともとサッカーは大嫌いでした。小学生の頃に遊んだ球技は、手打ち野球。サッカーもしましたが下手なために、こんな球技の何が楽しいのかもまったくわからない状態。しかし中学生になり、親からスマホの使用を許可されてから、YouTubeをみられるようになりました。そこで何かの拍子に回ってきたズラタン・イブラヒモビッチ選手とクリスティアーノ・ロナウド選手のゴール集を集めた動画を見た時から、僕の心はサッカーの魅力に鷲掴みにされてしまいました。

宇佐美貴史選手のサイン入りユニフォーム。「ハリルホジッチ元代表監督が指揮していた頃、A代表に選出された宇佐美選手の鮮烈なドリブルからのゴールをテレビで目にし一瞬でファンになりました。その後、知人のつながりでサインをいただく機会にも恵まれました。今でも大ファンです」と千之助さん。

誰よりも早くグラウンドへ

その頃から、昼休みには毎日グラウンドでサッカーをするほど好きになり、下手ながらにどうやったらスター選手のようにできるのか。ある時は早弁をして、誰よりも早くにグラウンドへ出て、誰もいない中で中村俊輔選手になったつもりでフリーキックを蹴り続けたり。学校は勉強はもちろん、サッカーができるところという認識で、毎日通っていたと言っても過言ではありません。
毎日ボールを蹴っていたほど大好きでも、舞台やお稽古事もあり、サッカー部に入ることはありませんでした。サッカーが上手いとは、まったくもって言えないのが現実。それでもゴールとボールさえあれば幸せでした。

高校生の頃、スイスに滞在した時の1枚。夏季留学先の学校に、レアル・マドリードの下部組織のコーチたちがきてサッカー指導をしてくれました。

今では、日本代表の試合にも何度かスタジアムに足を運んだりして、日本代表の試合を観ることは何よりも大好きな趣味です。その上で外せないのが、日本代表を牽引してくれる、海外の主要リーグで活躍する日本人選手たち。特に注目しているのは三笘薫みとまかおる選手、久保建英くぼたけふさ選手、遠藤航えんどうわたる選手はもちろん、佐野海舟さのかいしゅう選手など、正直いうと挙げたらキリがありません。そんな彼らの活躍をリアルタイムで見られるのが、深夜や朝方となってくるわけです。

2022年FIFA W杯アジア最終予選のスタジアムにて。片岡千之助撮影

深夜の歓喜

つい最近、興奮の坩堝るつぼにハマった瞬間は、三笘薫選手が所属するブライトンと、プレミアリーグの名門クラブ、チェルシーの試合。三笘薫選手が前線で抜け出して味方GKのロングパスを見事なヴェルヴェットタッチでトラップをしてからのゴールでした。深夜ながらに、近隣のご迷惑にならない程度に歓喜を露わにしておりました。

来年には北中米W杯が控えています。今の日本代表は歴代最強と心から思えるほどの選手層の厚さがあり、史上最速で最終予選を突破してくれました。この調子の良さのピークをどうやって上手く本大会に合わせていくのか。ここからの一年で、突破を決めた上での新しい戦力をうまく織り交ぜながら、日本代表がどこまで進化するのか。楽しみで仕方ありません。

ここまで期待感溢れる代表はなかったと思える反面、期待しすぎてグループリーグ敗退などが、ほんの少しだけ心配にもなったりします。このワクワクドキドキを常に与え続けてくれるサッカーというコンテンツのおかげで、楽しい時間を過ごせています。これからもサッカーの発展と日本代表の更なる躍進を期待して、僕の挨拶、、、ではなく、第五回の連載を締めたいと思います。

関連情報

BS時代劇『あきない世傳 金と銀2』
2025年4月6日(日)~5月25日(日) 午後6:45~7:28<毎週(日)全8回>
https://www.nhk.jp/g/blog/u2cypsv9358/

ルネサンス音楽劇『ハムレット』
主演:片岡 千之助
原作:ウィリアム・シェイクスピア
演出:彌勒忠史
2025年9月、新国立劇場 小劇場
https://artistjapan.co.jp/performance/aj_hamlet2025/

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片岡千之助

2000年生まれ。2004年歌舞伎座にて4歳で初代片岡千之助として初舞台を踏む。2011年、片岡仁左衛門と戦後初の祖父、孫での「連獅子」を実現させる。2012年(当時12歳)から自主公演「千之会」を主催するなど芸事への研鑽を積みながら、2017年にはペニンシュラ・パリにて歌舞伎舞踊を披露、2020年『カルティエ』腕時計パシャのアチバー(達成者)に選ばれる。また昨今では大学に復学しながら、主演映画を続けて勤め、現代劇舞台、ドラマと様々な分野で表現者として邁進している。
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