津田千枝子さん「型染」
表情豊かな生地がもたらす味わい深い色
30代から50代にかけての約20年間、毎年、夫とともにイタリア、フランス、スペインの田舎を1か月かけて車でまわり、ロマネスクの教会や美術館を訪ねる旅をしてきました。
20年ほど前からは、年に1度、自作の木版を持ってインドの工房に出かけ、泥防染(どろぼうせん)の染もはじめました。そうした時間の堆積が、型染でありながら「型にはまらない」、津田さん独自の作風のもととなっています。
学生時代から型染の作品づくりをはじめた津田さんですが、実は、帯の作品をつくるようになったのはこの20年ほど。注文での作品づくりはせず、できた作品を「気に入ったら買っていただく」というスタンスで、1年に30本ほどの帯とストールやバッグなどの作品をつくります。年に1、2回開かれる個展が、ほぼ唯一、作品を手に入れることができる機会です。
「帯を買ってくださった方が、次の個展にその帯を締めて来てくださることも多いです。そういうときは、わが子に再会したようで、うれしいですね」
津田千枝子さんの創作のミナモト
きっかけ/母が趣味でしていた紅型染(びんがたぞめ)。
活動年数/約40年。
転機/青山の「八木」さんにすすめられて帯をつくりはじめました。
好きな色/それぞれの色彩が調和したときの配色。
1974年、東京藝術大学絵画科卒業。1975年に初個展。1987年に型染の個展をはじめ、2005年からは帯の個展を開催。
津田千枝子さんの作品と出合うには
KATAZOME CHIEKO TSUDA https://chiekotsuda.com/
撮影/篠原宏明 構成/氷川まり子 ※本記事は雑誌『和樂(2015年11月号)』の転載です。