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2026.07.18

安眠に欠かせない「枕」の歴史を調べてみると・・・かつては死者のためのものだった!?

健やかな眠りの重要性が、よく話題にあがるようになりました。大谷翔平選手をはじめとするトップアスリートたちも、パフォーマンス向上のために、眠りは最優先事項のようです。そして良質な睡眠には、「枕」が欠かせません。筆者は長年枕難民でしたが......。数年前に、ジャストフィットする枕と巡り合い、おかげで熟睡できるようになりました!ところで、この枕とは、いつ頃から使われだしたのでしょう。ふいに気になったので、調べてみることにしました。

古墳時代の枕は、葬送の道具?

なんと古代の日本人も枕を使っていたようで、古墳時代の遺跡からは、石枕や木枕のような遺物が発掘されています。ただ当時は、生者のためのものではなく、棺内に死者を安置するための道具だったようです。葬送儀礼で、重要な役割を果たしていたのですね。

現存する日本最古の枕とは

生活具としての枕は、『万葉集』に草枕や木枕が詠まれていて、枕が使用されていたことが、うかがえます。奈良県の正倉院(しょうそういん)※1には「白練綾大枕(しろねりあやのおおまくら)」が保管されていて、これが現存するなかでは、日本最古のものといわれています。形状は草を集めて四角くしたものを、高級な絹の布で包んでいて、当時の貴族文化を知る貴重な枕です。

(※1)奈良県の東大寺にある、奈良時代の宝物を保管してきた建物とその宝物群の総称。

時代と共に変化する枕

室町時代になると、実用性が求められるようになり、現代でも使用されているそば殻の枕が登場します。江戸時代になると、布の袋に詰め物をし、両端を紐で縛った「くくり枕」も普及。詰め物には、通気性の良いそば殻やもみ殻が使われたようです。中国から伝わった陶磁製の枕は、中は空洞で表面がひんやりしているため、夏の贅沢品として上流階級の人々が愛用したのだとか。

そして複雑な髷(まげ)※2を、男女ともに結うようになると、それに合わせた枕に変化していきます。木などで作られた箱形の台座の上に、綿やもみ殻を詰めた小さなくくり枕を乗せた形状のもので、箱枕と呼ばれました。寝ている間に髪型が崩れるのを防ぐ目的で、首の付け根にあてて、使用したようです。うーん。この枕で、安眠できたのでしょうか?それよりも髪型の方が大切だったのでしょうね。

(※2)長髪を頭頂部などで束ね、折り曲げたり、結い上げたりした日本の伝統的な髪型。

平らな枕は昭和になってから

昭和の初めごろになると、洋風の平らな枕へと変わります。中頃になると、身近な材料であるそば殻や、綿を使った枕が家庭の定番になりました。昭和の時代を経て、快適に眠るための道具へと進化し、低反発もしくは高反発のウレタン素材やラテックス素材の枕、さらにはオーダーメイド枕など、様々な機能性枕が開発されています。枕は、日本人の暮らしに深く関わるアイテムだったのだと、改めて感じました。

参考文献:『世界大百科』平凡社、『日本大百科全集』小学館

アイキャッチ:『括り枕持てる美人』鈴木春信画 colbase

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瓦谷登貴子

幼い頃より舞台芸術に親しみながら育つ。育児雑誌や外国人向け雑誌、古民家保存雑誌などに参加。能、狂言、文楽、歌舞伎、上方落語をこよなく愛す。ずっと浮世離れしていると言われ続けていて、多分一生直らないと諦めている。
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