江戸時代に全盛を迎えた遊里・吉原。そこで働く女性たちは、美しい着物に身を包み、妖艶なお化粧をしてお客を待ちました。
吉原で働くのは、女性だけではありません。妓楼の主人から雑用係まで、男性も大勢働いています。そこで気になるのが「職場恋愛」。美しい遊女にドキドキし、恋に発展してしまうことはなかったのでしょうか?
ここでは吉原の厳しい恋愛の掟についてご紹介します!
職場恋愛はご法度!
吉原では、いわゆる職場恋愛は固く禁止されていました。下働きの男性はもちろん、妓楼の主人も遊女と関係をもつことはできません。なぜなら、職場内の秩序が乱れてしまうから。
「主人と付き合っている女が、仕事サボっても怒られなくてズルイ」なんて他の遊女たちから不満が噴出し、他の店に移籍されてしまっては、店の存続が危ぶまれます。遊女は一人の女性である前に、お店の大切な商品だったのです。
抑えられない気持ちをどう発散する?
「職場恋愛禁止!」と言われても、ただでさえ艶っぽい雰囲気の遊郭で、男性はムラムラしない方が難しいはずです。そんな気持ちをどこで発散していたのでしょうか?
吉原で働く男性たちは、吉原から近い別の遊里で遊んでいました。そもそも吉原は揚げ代(遊女と遊ぶ料金)が高い場所。吉原の男性たちは、手ごろなお金で遊べる別の遊里で、悶々とした思いを満たしていたのです。
ダメって言われると余計に……
職場恋愛は固く禁止されていた。つまり、裏を返せば間違いが起こりやすい状況だったということです。実際に、吉原で働く男性と遊女の恋愛は後を絶ちませんでした。
恋愛関係に陥った2人は、裏茶屋(ラブホテルのような場所)などで、こっそり逢引します。物置などでひそかに愛を確かめ合うこともあったそうです。職場恋愛が発覚すると、男性は吉原から追い出され、遊女は別の店に移籍させられるなどの制裁を受けました。
ダメって言われると、余計に燃え上がってしまうのが男女というもの。遊女たちは毎日たくさんの客の相手をし、心身ともに疲れ切っていました。そんな中、情男(恋した男)と逢うひとときは、遊女にとっても癒しの時間だったそうです。
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