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2021.09.30

文覚とは?市川猿之助演じる不良僧を解説!人妻に横恋慕して斬り殺す!?【鎌倉殿の13人】

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令和4(2022)年NHK大河ドラマ『鎌倉殿の13人』予習シリーズ! 今回は、坂東武者もちょっと、いやかなりだいぶ引く!? ロック魂爆裂僧侶、文覚(もんがく)上人(しょうにん)!!

文覚上人の功績

大河ドラマに登場確定した文覚上人。だいぶTwitterのタイムラインをざわつかせていたな。

文覚上人は、元々は京都の武士。摂津国を本拠地とした渡辺党の者で、出家する前の名を遠藤盛遠(えんどう もりとお)といった。頼朝様も京育ちだから知り合いだったと思われる。頼朝様が伊豆に流された後接触し、挙兵を促した一人でもある。

それから鎌倉幕府を後ろ盾にして、高野山や京都の寺をはじめとする各地の寺社の復興を手掛けている。鎌倉の近くだと江の島神社もそうだし、三浦も世話になった。

これだけ聞くと、さぞや徳の高いお坊さまってカンジだけどさ、わりと荒々しいエピソードも多くてさ……。

衝撃! 文覚上人の出家の理由

文覚上人は19歳で出家したといわれている。その理由に『源平盛衰記』にはこんな話がある。

若かりし頃、従兄弟で親友である渡辺渡(わたなべ わたる)の美人妻・袈裟(けさ)御前に横恋慕していたんだ。思い余った盛遠は、ついに渡を殺して袈裟御前を我が物にしようと企てる。

それを知った袈裟御前は、盛遠に渡が眠る位置を教えた。深夜、渡の寝所に忍び込んだ盛遠。刀を振りかぶって一太刀で渡の首を斬り落とした。しかしゴロリと転がったその首は、袈裟御前のものだった。袈裟御前は己の貞操を守るため、盛遠に嘘を教え、自分を殺すよう仕向けたのだ。盛遠は我に返って自分の罪を悔やみ出家し、文覚と名乗った。

なかなか壮絶な理由だ……。でもこの話、物語の中でしか確認できないし、……貞操を守るために命をって、いかにも儒学を重んじた近世以降の発想っぽいし……フィクションだと……いいな……ははは。

恐怖! 懐から取り出したのは父の……

ロック魂炸裂文覚エピソードはまだある。『平家物語』で頼朝様が伊豆に配流された後、文覚上人が接触して挙兵を促すシーンだ。

文覚上人が懐から頭蓋骨を取り出して、「これはお前の父のしゃれこうべだ。苔まみれになっていたのを、獄舎の番人から貰い受けたのだ」と、志半ばで討たれた義朝(よしとも)様の無念を語る。……文覚殿に迫られたこの時の頼朝様、怖かったろうなあ。

だが実は後のエピソードで、義朝様の頭蓋骨ではない事が発覚する。誰ともわからない頭蓋骨を拾って大事に懐に抱える僧侶。怖さが増したんだが……!?

驚愕! 喧嘩上等の不良僧

ちなみに、文覚上人は多分最初から頼朝様を挙兵させようとしてたわけじゃないんだと思う。というのは、文覚上人が伊豆に来たのは、頼朝様とは全く関係ない理由だったから。

文覚上人は神護寺(じんごじ)を復興させるという強い使命感があった。その費用を後白河法皇に強要し、それを拒否されると暴言を吐いたため、伊豆へ流罪になった。……あの後白河法皇にまでドン引きされる僧……それが文覚上人だ。

京の人々からもちょっと、いやかなりだいぶ怪しい厄介さん扱いされていたらしくて、『愚管抄』には「行動力だけはあるが知識はない」「人の悪口言いまくる」とか散々な言われよう。正直、『愚管抄』の作者には「人の悪口言うな」って言われたくないな……。

鎌倉幕府で活動中も寺の復興費を横領したって噂があって、その噂に対して弁明どころか悪口を返したり……。
(参考:御成敗式目にも「誹謗中傷の罪」があった!?鎌倉時代の法律では島流しなどの重罪だった

でも寺社の復興は実際にしているし、世話になった部分、感謝すべき部分もあるから、あまり無下にもできない。うん。あらゆる意味で「すごい人」だった。

▼『愚管抄』はこちら
愚管抄 全現代語訳 (講談社学術文庫)

文覚役、市川猿之助殿について

平安鎌倉期最強にクセが強い人物役に、芸能界最強にクセの強い役者キターーーーーー!!

頼朝にあやしく迫る謎の僧

役として特に思い入れはございませんが、いただいたお仕事として精いっぱい務めさせていただきます。

NHK_PRサイト 市川猿之助のコメントより抜粋

……そうか、思い入れはないか。うん。逆にすげー安心したわ。ああ、猿之助殿は役柄こそハッチャケてるけど、本人はきちんとした常識人なんだなって……。ここで猿之助殿が文覚上人への思い入れを熱く語ったり、共感を示したら、猿之助殿を心配するところだった。

猿之助殿の文覚、すごく楽しみだな!

関連人物

父:遠藤茂遠

「鎌倉殿の13人」13人って誰のこと? 人物一覧

「鎌倉殿」とは鎌倉幕府将軍のこと。「鎌倉殿の十三人」は、鎌倉幕府の二代将軍・源頼家を支えた十三人の御家人の物語です。和樂webによる各人物の解説記事はこちら!

1. 伊豆の若武者「北条義時」(小栗旬)
2. 義時の父「北条時政」(坂東彌十郎)
3. 御家人筆頭「梶原景時」(中村獅童)
4. 頼朝の側近「比企能員」(佐藤二朗)
5. 頼朝の従者「安達盛長」(野添義弘)
6. 鎌倉幕府 軍事長官「和田義盛」(横田栄司)
7. 鎌倉幕府 行政長官「大江広元」(栗原英雄)
8. 鎌倉幕府 司法長官「三善康信」(小林隆)
9. 三浦党の惣領「三浦義澄」(佐藤B作)
10. 朝廷・坂東の事情通「中原親能」(川島潤哉)
11. 頼朝の親戚「二階堂行政」(野仲イサオ)
12. 文武両道「足立遠元」(大野泰広)
13. 下野国の名門武士「八田知家」(市原隼人)

アイキャッチ画像:歌川国貞(三代豊国)筆『七代目市川団十郎の文覚と五代目松本幸四郎の不動明王』 「ColBase」をもとに作成

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平家物語 (10歳までに読みたい日本名作)

書いた人

承久の乱の時宮方で戦った鎌倉御家人・西面武士。妻は鎌倉一の美女。 いわゆる「歴史上人物なりきりbot」。 当事者目線の鎌倉初期をTwitterで語ったり、話題のゲームをしたり、マンガを読んだり、ご当地グルメに舌鼓を打ったり。 草葉の陰から現代文化を満喫中。