最近は春に開催されることもあるようですが、秋といえば、運動会をイメージする人は多いでしょう。
小学生の頃、かけっこの得意なクラスメートが、ぶっちぎりの速さで、ゴールのテープを切った姿が思い出されます。短距離走が苦手な私は、羨望のまなざしで見ていたものです。
さて運動会では、皆で一斉に「えい、えい」「おう!」と声を出しますね! あまり考えずに使っていましたが、どんな意味があるのでしょう?
なんと、漢字があった!
ひらがなや、カタカナで書かれることがほとんどですが、漢字では「曳、曳」「応!」となります。何だかイメージが変わりますね。士気を鼓舞するために、大勢の人が一緒に叫ぶ、鬨(とき)の声なんだそうです。
「曳、曳」とは呼びかけの意味があり、「応」で応答しているのです。「鋭、鋭」という漢字を当てることもあったようで、こちらは「進め」の意味が込められています。
始まりは戦国時代?
一説には、戦国時代が始まりといわれています。あるいはもっと古く南北朝時代から、さらに遡って源平合戦からともいわれますが、はっきりとはわかりません。
戦場では最初に、大将が「えい、えい」とかけ声をし、軍勢一同が「おう!」と声を合わました。今から戦うぞ! と大将が攻勢のタイミングを示す合図だったのですね。
勝利した時のかけ声も、「えい、えい」「おう!」だったようです。同じく大将の発声の後に、家来が応じて発しました。戦場においては、指揮官である大将の指示によって、応じるのが通例でした。
現代のようにマイクがあるわけではなく、地声のみなので、皆が好き勝手に喋ったら、聞こえなくなりますよね。しーんと緊張感が漂っていたことでしょう。
太鼓は、必須アイテムだっだ!
「えい、えい」「おう!」のかけ声は、味方への合図や、士気を高めると共に敵を威圧する目的もあったようです。先陣が鬨の声をあげながら攻め込み、敵の兵士が動揺した隙に、後陣を向わせる戦術などに使われました。声を出すことも戦では重要だったのですね。
気分を高揚させるために、太鼓も使われました。攻勢に出る時や、乱戦の最中などに、激しく太鼓を打ち鳴らしたんだそうです。1人が背中に担ぎ、ペアの1人が太鼓を叩きました。また大きい太鼓は棒にぶら下げて、2人がかりで運びました。持ち運びには苦労したでしょうが、戦に欠かせない道具だったのでしょう。
考えたら、運動会でも太鼓は必ず登場しますね! 知らずにこうして伝統が受け継がれているのかもしれません。
参考文献:『戦国 戦の作法』小和田哲男監修 株式会社G.B.発行 『デジタル大辞泉』小学館発行
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戦国 戦の作法