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2024.04.06

『光る君へ』推しライター座談会! ハラハラドキドキ♡展開と今後の見どころは?

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2024年大河ドラマ『光る君へ』では、前半のクライマックスともいえる、花山天皇※1の失脚が描かれました。同時に視聴者をヤキモキさせていた藤原道長とまひろ(紫式部)の関係にも大きな変化が……。権力争いはまだまだ続きそうですし、道長とまひろの今後も目が離せません!! そこで、和樂webで『光る君へ』や平安時代に関連する記事を執筆しているライター陣で、自由気ままな座談会を開催しました。まだ視聴していない人も、この記事をきっかけにどうぞ、ドラマの世界へお入りください!!

◎メンバー紹介
◆編集部C:大学時代に源氏物語を専攻。平安時代&ヴィジュアル系バンドをこよなく愛す。(座談会ではCと表記)

◆樽瀬川:歴史が好き。鎌倉時代の沼にハマっているため、それ以前の時代として平安時代にも興味アリ。(座談会では樽と表記)

◆山見美穂子:茶の湯と少女漫画が好き。愛読しているロマンス小説と『光る君へ』の相違点を探る永遠の文学少女。(座談会では山と表記)

※1:冷泉天皇の第一皇子。女御の死を悲しむあまり、藤原兼家らに欺かれて退位。歌人としても有名。

ドラマの中に、『源氏物語』の要素がさりげなく入っているようですが……。

C:最初の方に、まひろが飼っていた雀を逃がしてしまう場面があったと思いますが、逃げた雀を探している時に道長と知り合うのは、源氏物語「若紫」の巻の有名な場面を取り入れているのかなぁと思いました。紫の上と光源氏の出会いも、逃げた雀が関係しているので、こういうのを見つけると嬉しいですね。
源氏物語あらすじ全まとめ。現代語訳や原文を読む前におさらい

『源氏物語五十四帖 若紫』広重 国立国会図書館デジタルより

後は、雨の日に光源氏や他の男性貴族たちが、「雨夜の品定め」と呼ばれる女性に対しての本音を話す場面があるのですが、似たようなシーンがありました。ドラマでは、道長を取り巻く貴族が話す様子を、まひろが偶然に聞いてしまってショックを受けていて。中流の女性は、高望みなどしないという思い込みが私にはあったのですが、やっぱり本音を聞いたら傷つきますよね。それも発見でした。

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まひろが通っていたサロンなど女性同士の場面が印象的ですね

C:倫子のサロンは女子校みたいで好きです! うろ覚えですが、赤染衛門(あかぞめえもん)※2が「夫がいても他の男性に惹かれることもあるわ。心は自由なのだから」みたいなことを言っていて。女子校で悪い先生が生徒に吹き込む感じみたいだなぁと!(女子校出身)

樽:まひろちゃんの馴染めていない笑い方を見ると、がんばれー!って応援したくなりました。

山:女性同士の会話の場面には、後に続く物語の伏線も張られている気がしますね。まひろの弟(惟規・のぶのり)の乳母のいとが、男物の着物を縫いながら、まひろに為時が帰ってこないと言っている場面があって。当時は装束を妻が整えるのが大切な仕事だったようなのです。道綱の母は、それがとても上手だったと資料に書かれていました。だから、いとと為時は男女の関係なんだろうなと思いましたね。

C:なるほど~!

※2:平安中期の女流歌人。道長の妻倫子と、娘の彰子に仕えた。

『源氏物語絵巻』藤原隆能 画 国立国会図書館デジタルより

まひろと道長が、第10回でついに結ばれました!

山:NHKは攻めたなぁと思いましたね(笑)。道長はまだ20歳前後で、まひろは年下なので、18歳未満のはずです。でも、ここで2人が結ばれる場面を入れたかったのかなと思いました。

樽:私の周囲では、あの流れでどうしてああなったの?と、いう感想が多かったです。道長は「会いたい会いたい」と言ってるのに、まひろは淡泊な感じだったので。でも男女の感情の盛り上がりで、そうなったんだろうなと、思いました。

C:2人で直秀※3の遺体を一緒にうめた吊り橋効果もあったのかも、と思いました。
道長が送った和歌に対してまひろが漢詩を送っていましたが、源氏物語の中では「見事な漢文を書くけれど、夫婦の睦言にも堅い話をする女性」の話が出てきて面白いんです!

山:何度も道長がまひろに和歌を送って、それに対してまひろが漢詩を送るのが繰り返されたじゃないですか。そして最後には道長も漢詩を送っていました。そこには『我もまた君に会いたい』とか何か書いてあって。この漢詩を書く前に、行成※4に「和歌を送ったら、漢詩が返ってくる」と相談したら、「漢詩は志を送るものだ」と教えられる描写がありましたよね。だから志では会いたくなくても、本当はまひろも自分に会いたいんだと道長は理解して、『我もまた』と返したのには、ズキュンときました!

※3:散楽の一員で、ドラマオリジナルの人物。盗賊だったことが見つかり、殺害された。
※4:平安中期の公卿・書家。

『源氏物語絵巻』藤原隆能 画 国立国会図書館デジタルより

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花山天皇失脚に関わった人たちをどう思いましたか?

樽:ドラマの中では花山天皇を支える人がいないみたいになっていましたが、実際には義懐(よしちか)※5も支えていたのですよ。それなのに、ただの権力欲の強い人物として描いていたのが、残念でしたね。その思いに気がつかないで出家しちゃったと『大鏡(おおかがみ)』※6には書かれています。失脚を目論んだ兼家※7は腹黒い人物として描かれていますが、そこは納得していますね(笑)。息子の道兼※8は、ちょっと可哀相な気もしますけど。

山:これから道兼がどうなっていくのか、気になっています。歴史物語の『栄花物語』では亡くなる前に道長が看病してくれて、実資(さねすけ)※9がお見舞いに来てくれたと書かれているんですね。7日間だけ関白になった時にも、周囲から祝福されていたり。今はあまりパッとしないけど、これからどんな風に描かれるのか、本当は資質のある人だったのかなと思ったりしています。

C:道兼は家のために自分を犠牲にしているようで、見ていて痛々しいです。まひろのお父さん(為時)のように、官職がなくなったらどん底……みたいな描写もあるじゃないですか。だから権力にしがみつくしか道がないというか。平安時代というと和歌を詠んで優雅なイメージがありますけど、貴族の大変さが道兼の必死さから伝わってきますね。

※5:平安中期の公卿。花山天皇の外叔父。
※6:平安時代の歴史物語。
※7:平安中期の公卿。一条天皇の外祖父。
※8:平安中期の公卿。兼家の三男。父の指図により、花山天皇を欺いて出家させた。
※9:平安中期の公卿、歌人。日記『小右記』は、当時を知る基本資料として知られる。

『つきの百姿 花山寺の月』月岡芳年筆 国立国会図書館デジタルコレクションより

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ドラマの内容にセクシー要素が多い!?

山:『光る君へ』からは離れちゃうかもなのですが、私は中世のヨーロッパを舞台にしたロマンス小説が好きで、よく読んでいまして。その世界だと処女性が重要視されるのですが、その家の主の子どもなのかがわかるために必要だったのかなぁと思ったり。一方平安時代は男性が婿に行くからなのか、そんなことはないですよね。

樽:ヨーロッパだとキリスト教の影響もあるかもしれませんね。

山:確かに、宗教の違いはありそうですね。子どもの頃に『あさきゆめみし』※10で平安時代に触れていた時は、女性は扇子で顔を隠している場面が印象的だったのですが、性に関しては意外と奔放だったのかなぁ?と、そこにも注目しています。

C:下世話な話で恐縮なのですが……。男性貴族たちの烏帽子が透けていて、中の結んでいる髪の毛が見えていますよね。それは男性器を表しているという説を聞いてから、気になっちゃって、気になっちゃって(笑)。花山天皇が、側近の烏帽子を取ってしまう場面もありましたよね。

樽:まあ、身内だけだから、ぎりぎり許される分別が、花山天皇にあったのかもですね(笑)。

※10:大和和紀による『源氏物語』を漫画化した作品。海外向けに翻訳もされている。

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ロバート秋山演じる藤原実資に癒やされる

樽:実資が出てくると安心します。実資とコマロちゃんは癒やしの存在ですね。実資は「賢人」と呼ばれた有能な人だったのは確かだと思います。それに元々の藤原家の主流は実資の家の方だった訳です。それがいつしか政治で権力を握った兼家の方へ移ってしまったので、知識だけはこちらだとの思いがあったのだと思います。でもロバート秋山は、ベテラン俳優みたいですよね!

C:以前から『クリエイターズファイル』※11で色々な人を演じていたのを見ていたので、もっと登場場面が増えて欲しい! シュッとしてる俳優さんが多い中で、実資はふくよかな感じですが、実は一番平安絵巻っぽいのではと思っています。

樽:平安時代の装束に詳しい人が、俳優さんの足が長いので、袴が長い!と言っていましたね(笑)。本来なら狩衣(かりぎぬ)の裾からチラッと見える感じなのに、めっちゃ見えてるって!!

※11:ロバート秋山竜次が、様々な職種で活躍する人物に扮して、架空のインタビューを受ける動画。

『鼠よけの猫』部分 歌川国芳筆 ColBase

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魅惑の大賢者・藤原実資。道長や紫式部との関係や人物像

今後の展開で注目している人や出来事はありますか?

山:道長は妻をめとるのですが、私は正妻ではない明子が気になっています。史実を見ると、実の父が兼家に陥れられたエピソードが出てきて。父親の因縁をどう乗り越えるのでしょうね。まひろは、道長の兄に母親を殺されたことがずっと影響していて、結局は妻にはならなかった訳ですし。

樽:源信(げんしん)が登場するのか、気になっています。直秀が埋葬される時に、「南無阿弥陀仏」とは唱えてなくて。道長とまひろは、悲しんではいるけれど、直秀は盗賊だから極楽へ行ける訳ではない。そういうことも、演技で表していましたよね。源信は晩年の道長のメンターとも言える存在で、死後に極楽浄土へ導かれる浄土信仰を広めた僧なのです。道長の最期の臨終の場面は、どう描かれるのかも興味深いですね。

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『光る君へ』を楽しむためのお得情報

ドラマを視聴していて、ちょっとした困りごとを、ライターに尋ねてみました!

Q:藤原だらけで、頭がこんがらがってしまって、名前が覚えられません。どうしたらいいでしょうか?
樽:私は記事の中に図を入れていますが、家系図を書いてみるのをお勧めします。藤原だけというのは、図にすると意外と分かりやすいですよ。

▼腹黒い悪役として描かれている藤原兼家も図にすると、より頭に入るかも!
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Q:『光る君へ』をより理解したくて、書店で平安時代の本を探しましたが、色々あって選べないです!何か良い本はありますか?
C:私のイチオシの書籍はこちらです!
『源氏物語の時代』一条天皇と后たちのものがたり
こちらは山本淳子先生の著書で、ちょうど『光る君へ』の時代のことが書かれています。源氏物語好きの方は、この書籍をおすすめする方が多いですよ。

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アイキャッチ:『源氏物語絵巻』藤原隆能 画 国立国会図書館デジタルより
参考書籍:『光る君へTHEBOOK』東京ニュース通信社発行、『日本大百科全書』小学館