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永遠のふたり 白洲次郎と正子

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2019.08.21

75頭の鹿の首を捧げる「御頭祭」って? 縄文時代は終わったあともスゴかった!【長野】

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諏訪に逃げてきたのはタケミナカタだけではない?!

古代、「農耕民的」弥生文化が全国を覆い尽くしていく中で、なぜ、諏訪には古い「縄文的」信仰の形が残り続けたのか? その答えはひとえに、誇り高き土着の神「洩矢神」に連なる神長官守矢氏が守り続けた祭祀の形にあるような気がします。そしてそれを可能にしたのは、諏訪大社の4社体制、すなわち上社と下社の「異文化共存」の姿勢にありました。

神話の中でタケミナカタは、「以後、絶対に諏訪の地から出ないことを約束するから許してくれ」と懇願します。実はこうして諏訪の地にやってきた神はタケミナカタだけではありません。「伊勢国風土記逸文」によると、天津神によって伊勢の国を追われた神、イセツヒコもその後「信濃の国に住んだ」とあります。また他でもない諏訪大社上社の大祝家、神(ミワ)氏もまた、元々は奈良の大神(オオミワ)神社を祀っていた氏族だったとする説もあるのです。

もしかしたら諏訪は、弥生時代以降、古代を生きた縄文人の「駆け込み寺」的な役割を担っていたのかもしれません。独特な信仰形態により「縄文スピリット」を保ってきた諏訪は、「銀座」だった時代をすぎても、縄文人にとっては文化のふるさとであり、祈りのふるさとであり続けたのかもしれません。

「縄文銀座」諏訪へのいざない《全4回目次》

第1回 縄文人の芸術の都編〜尖石縄文考古館より〜
第2回 縄文時代の銀座編〜黒耀石体験ミュージアムより〜
第3回 弥生時代以降も守られ続けた縄文文化編〜神長官守矢史料館&諏訪大社より〜
第4回 縄文銀座の歩き方:現代に残る縄文スピリット編

取材協力

神長官守矢史料館
開館時刻:午前9時〜午後4時30分
休館日:毎週月曜日(月曜日が祝祭日の場合は、その翌日)と祝日の翌日
入館料:大人100円
〒391-0013長野県茅野市宮川389-1
電話: 0266-73-7567

諏訪大社
上社本宮  長野県諏訪市中洲宮山1電話:0266-52-1919
上社前宮  長野県茅野市宮川2030 電話:0266-72-1606
下社春宮  長野県諏訪郡下諏訪町193 電話:0266-27-8316
下社秋宮  長野県諏訪郡下諏訪町5828 電話:0266-27-8035

尖石縄文考古館
〒391-0213 長野県茅野市豊平4734-132
電話:0266-76-2270
開館時刻:午前9時〜午後5時(入館の最終受付は午後4時半)
休館日:毎週月曜日(月曜日が祝祭日の場合は、その翌日)と祝日の翌日

書いた人

横浜生まれ。お金を貯めては旅に出るか、半年くらい引きこもって小説を書いたり映画を撮ったりする人生。モノを持たず未来を持たない江戸町民の身軽さに激しく憧れる。趣味は苦行と瞑想と一人ダンスパーティ。尊敬する人は縄文人。縄文時代と江戸時代の長い平和(a.k.a.ヒマ)が生み出した無用の産物が、日本文化の真骨頂なのだと固く信じている。