創業何百年の老舗が健在の一方、新しい飲食店が続々と出現する京都。京都を食べつくすのは困難な上、ランチ難民になることってよくありませんか? 今回ご紹介するのは、京都の食プロが選ぶさっと食べられる一皿料理。京都在住で“京都の食”をベースに活躍する、料理家・小平泰子さん、カメマン・ハリー中西さん、ライター・大和まこさんの3人がふだん仕事の合間のランチなどに食べている一皿料理を教えていただきました。リサーチしてみるとやっぱり京都人は卵とねぎがお好き…?
◆小平泰子さん
1977年京都生まれの料理家・ソムリエ。日本の郷土料理から世界各国の伝統料理まで、さまざまな“日常の美味”に精通する。京都と東京で料理教室も開催。
◆ハリー中西さん
1959年京都生まれ。料理人や広告主が「撮影はぜひハリーさんで!」と熱望する料理写真家。食感や香りまで感じられるような料理写真を30年間撮り続け、体重も増え続け…。
◆大和まこさん
三重生まれ。京都のあれこれを取材執筆して21年のライター。出張時の編集者が一緒に食事をしたい(=美味しい店に連れて行ってもらいたい)ナンバーワン京都人。
1「中華のサカイ本店」のオムライス
オムライス 730円(税込)
「土曜の昼におかんがつくってくれたような、ケチャッピーなオムライス。ここは冷麺(冷やし中華)が名物やけど、なんか頼んでしまうな。まぁ両方食べるんやけどね(笑)」(ハリーさん)
こちらのお店は、昭和14(1939)年に喫茶店としてスタートし、洋食店を経て戦中に中華料理店へ転向。洋食店時代の名残がこちらのオムライスです。チキンライスは当時からのケチャップを使用、薄焼き卵のスタイルも変えず70年。「中華のサカイ本店」が守る戦前からの変わらぬ味です。
◆中華のサカイ本店
住所 京都市北区紫野上門前町92
Tel 0754925004
営業時間 11時~21時30分
定休日 月曜
公式サイト
2「晦庵 河道屋」の鴨なんば蕎麦
鴨なんば蕎麦 1,100円(税込)
「お蕎麦は冷たいのが好きなので、そういえばあったかい蕎麦は河道屋のこの鴨なんばしか食べないですね。おだしと鴨肉の旨みが合わさった汁も、もちろん飲み干します」(大和さん)
山の芋を打ち込んだ蕎麦に、鯖節と宗田節、そして利尻昆布でひいただしで、「七味家」の粉山椒との相性も抜群。鴨のもも肉と九条ねぎ(時季によっては白い鷹峯ねぎのことも)の鴨なんばは、うどんもあります。
◆晦庵 河道屋
住所 京都市中京区麩屋町通三条上ル
Tel 0752212525
営業時間 11時~20時
定休日 木曜
公式サイト
3「そば処みやこ」の焼きそば
そば処みやこ 850円(税込)
「塩加減もキャベツのザクザク感もいい。でもなんといっても卵やね。蕎麦屋で焼きそばも驚くけど、焼きそばに卵もあんまりない。(京都人熱愛の)ウスターソースも合うし」(ハリーさん)
まかないの焼き飯と焼きそばがいつしか評判メニューになった正統派日本蕎麦店「そば処みやこ」。にしんそばや、油揚げと九条ねぎを卵でとじた衣笠など、京都らしい日本蕎麦もぜひ。焼きそば推薦ではあるけれど…。
◆そば処みやこ
住所 京都市中京区西洞院通蛸薬師下ル古西町429
Tel 0752211958
営業時間 11時30分~15時30分、17時~21時(土曜はランチ営業のみ)
定休日 日曜・祝日
4「喫茶アマゾン」の和風トースト
和風トースト 650円(税込)
「雑誌でたまごサンドの連載を担当するほどの“たまサン”好き。これは、ふんわり焼いた卵、マヨネーズとかつおぶしで和えたきゅうり、焼きのりをサンドした変化球です」(大和さん)
七条駅と京都国立博物館の間にある喫茶店。たまごサンドは和風トーストのほか、生パンに厚焼き玉子とケチャップのバージョンもあり。京博でのアート鑑賞帰りのふらっと立ち寄れるので小腹満たしにもおすすめ。自家焙煎のコーヒーと合わせていただきたい!
◆喫茶アマゾン
住所 京都市東山区蛸町通七条上ル下堀詰町235
Tel 0755618875
営業時間 7時30分~17時30分
定休日 水曜
公式サイト
5「大鵬」のてりどんきんし
てりどんきんし 850円(税込)、生卵のせは+50円。
「甘辛好きにとって最強の組み合わせ。中央にのせた卵黄は特注、どんだけ卵好きなん(笑)。丼搔き込んでる隣の席ではワインをデキャンタージュ、なんて面白い店」(ハリーさん)
牛肉文化の京都であえての豚丼。まかないからはじまった“てりどん”はいつしか店の看板メニューに。ヴァンナチュール(自然派ワイン)があったり、ジビエイベントをしたりと、食いしん坊注目の大衆中華食堂。
◆大鵬
住所 京都市中京区西ノ京星池町149
Tel 0758225598
営業時間 11時30分~14時20分、17時30分~22時(ともにL.O.)
定休日 火曜(水曜不定休)
6「末廣」の蒸し寿司
蒸し寿司 1,600円
「四角いうざく巻も好きですが、京都の冬の風物でもある蒸し寿司を食べていただきたい。酢飯に混ぜたきくらげやかんぴょうの食感もいい、とても手のかかった逸品です」(小平さん)
硬くなったばら寿司を温めて食べたのがはじまりという、町衆の知恵でうまれた蒸し寿司。末廣では昭和初期から続く味。錦糸卵の下には、焼き穴子やいかのそぼろが隠れています。天保年間創業の「末廣」、9代目も真摯に寿司をつくります!
◆末廣
住所 京都市中京区寺町通二条上ル要法寺前町711
Tel 0752311363
営業時間 11時~19時
定休日 月曜
公式サイト
7「元祖らーめん大栄」のしょうゆラーメン
しょうゆらーめん 700円
「京都で麺といったらおうどんと思われるでしょうけれど、ラーメンも大好きです。豚骨系だけどさっぱりした醬油スープと、特製細麺が絶妙。ねぎたっぷりは京都マストです」(小平さん)
創業者の味を継ぎ、現在は唯一の「大栄」としてラーメン好きを魅了。豚骨ともも肉によるスープは意外にあっさりで美味しい。
◆元祖らーめん大栄
住所 京都市上京区河原町丸太町上ル出水町275
Tel 0752117196
営業時間 11時30分~15時、15時30分~20時(日・祝は15時まで、L.O.は閉店20分前)
定休日 不定休
公式サイト
撮影/ハリー中西
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