今回解説するのは、阿野全成(あの ぜんじょう)殿!!
北条義時(ほうじょう よしとき)の妹である阿波局(あわのつぼね)の夫で、頼朝様の異母弟! ……なんだけど、ぶっちゃけ、阿野殿「悪禅師(あくぜんじ)」って言われているわりには、あまり目立った行動してないんだよなぁ……。
おっと、自己紹介が遅れたな。鎌倉御家人・三浦胤義(たねよし)が語る! 令和4(2022)年大河ドラマ『鎌倉殿の13人』予習シリーズ! オレが何者かは第1回参照なッ!
悪禅師、阿野全成の半生
阿野殿の母は、源義経殿と同じ。絶世の美女として有名だった常盤(ときわ)御前だ。阿野殿が7歳の時(1159年)、平家に反旗を翻した父・義朝様が亡くなってしまう。そのため、幼くして出家して「全成」と名乗った。
そして20年近くの時が過ぎて、打倒平家を促す「以仁王(もちひとおう)の令旨(りょうじ)」が、全国各地の源氏へ発せられた。
令旨を受け取った全成殿は、すぐに修行僧に変装して、頼朝様の元へいの一番に駆け付け、感動の再会を果たした! そして阿波局と結婚して、駿河(するが)国阿野荘(現・静岡県沼津市)を貰って「阿野」と名乗る。
頼朝様の生前はあまり目立った事はしていなかったらしい。そして、頼朝様の死後に権力争いに巻き込まれてしまった様子は、阿波局の記事にも書いたとおりだ。
悪禅師の「悪」ってなに?
そんな阿野殿がなぜ「悪禅師」と呼ばれたかは、実はぶっちゃけわからない。なぜなら『吾妻鏡(あずまかがみ)』では「悪禅師」って呼ばれていないんだ。書かれているのは『平治物語(へいじものがたり)』や『源平盛衰記(げんぺいせいすいき)』などの「物語」。
そもそも、あだ名としての「悪〇〇」っていうのは、和樂webの過去記事にもあるように「悪人」というわけじゃなくて「荒々しい」とか「暴れん坊」とか、そういう意味なんだ。
『吾妻鏡』には阿野殿が「悪」と呼ばれるほど荒ぶっている様子は描かれていない。物語上の脚色だったのか、それとも『吾妻鏡』では意図的に全成殿の活躍を書き残さなかったのか……。そこらへんはオレが元服する前の事だから、よくわからんのだ。
阿野全成役、新納慎也殿について
目がキラッキラしてる! 絶対悪い人じゃない!!(確信)
頼朝の弟。僧として北条の栄枯盛衰を見つめる
「悪禅師」といわれた全成ですが、どういった意味での「悪」なのか、悪には悪にならざるを得なかった理由があると思います。心の内が滲(にじ)み出るような奥深い阿野全成を演じられるよう頑張ります。
阿野殿は頼朝様の兄弟の中で一番長生きした人物なんだ。頼朝様亡き後の鎌倉をどのように見ていたのだろう。史料があまり残ってない、目立たない人物だからこそ、どう演じてくれるのか期待だな!
関連人物
主君;源頼朝、源頼家
父:源義朝、母:常盤御前
同母兄弟:義円、義経
異母兄弟;義平、朝長、頼朝、義門、希義、範頼、坊門姫
妻 阿波局
子 時元、ほか
人物相関図:
『鎌倉殿の13人』予習にぴったり!源平合戦~鎌倉初期を相関図で解説!
▼4人の視点からみた鎌倉幕府創世記を描く傑作歴史小説
炎環
「鎌倉殿の13人」13人って誰のこと? 人物一覧
「鎌倉殿」とは鎌倉幕府将軍のこと。「鎌倉殿の十三人」は、鎌倉幕府の二代将軍・源頼家を支えた十三人の御家人の物語です。和樂webによる各人物の解説記事はこちら!
1. 伊豆の若武者「北条義時」(小栗旬)
2. 義時の父「北条時政」(坂東彌十郎)
3. 御家人筆頭「梶原景時」(中村獅童)
4. 頼朝の側近「比企能員」(佐藤二朗)
5. 頼朝の従者「安達盛長」(野添義弘)
6. 鎌倉幕府 軍事長官「和田義盛」(横田栄司)
7. 鎌倉幕府 行政長官「大江広元」(栗原英雄)
8. 鎌倉幕府 司法長官「三善康信」(小林隆)
9. 三浦党の惣領「三浦義澄」(佐藤B作)
10. 朝廷・坂東の事情通「中原親能」(川島潤哉)
11. 頼朝の親戚「二階堂行政」(野仲イサオ)
12. 文武両道「足立遠元」(大野泰広)
13. 下野国の名門武士「八田知家」(市原隼人)