令和4(2022)年NHK大河ドラマ『鎌倉殿の13人』予習(若干復習)シリーズ人物編! 今回は政治力の鬼、土御門通親(つちみかど みちちか)卿!!
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……いやぁ、オレの兄上(三浦義村)も政治力カンストしてっけど、通親卿はレベルキャップ解放済みというか……。重課金というか、チートというか……。ともかくスゴイ公家さんだったらしいよ。なんせ九条兼実(くじょう かねざね)卿にタイキックかました人だから……。
土御門通親卿の出自!
通親卿の本姓は「源」。といっても頼朝様の河内源氏とは全く違って、村上(むらかみ)天皇を祖とする村上源氏だ。そして土御門氏は村上源氏の嫡流。藤原摂関家と姻戚関係を結び、多くの大臣を輩出する有力な公家の一門だ。
身の回りの全ては出世の道具!?
仕事で出世するにはどうするか。現代でも手段は色々あるが、世襲制の当時は「結婚」がその手段の1つだった。
通親卿の最初の妻は、花山院忠雅(かざんいん ただまさ)卿の娘。花山院は藤原北家師実流(ふじわらほっけ もろざねりゅう)と言われる……あー、ややこしい。めちゃくちゃざっくり言うと、藤原摂関家の分家だな。そこの娘と結婚したわけだ。
しかし平家全盛期の仁安・嘉応年間(1166~71年)に、平清盛殿の弟・教盛(のりもり)殿の娘と結婚する。そして平家に後援してもらって政界に進出したんだ。そして平家一門の娘を娶った高倉(たかくら)天皇の側近となる。
しかし、木曽義仲(きそ よしなか)殿の活躍によって、平家は都から追い出される。
その時に通親卿はどうしたかというと……。なんと、新しく即位した後鳥羽天皇の乳母の1人、高倉範子(たかくら はんし/のりこ)殿と結婚したのだ!!
そして範子殿と前夫の子、在子(ざいし/ありこ)殿を養子にして、後鳥羽天皇の后にする。在子殿は建久6(1195)年に第1皇子である土御門天皇を産んだ。土御門天皇はわずか3歳で後鳥羽天皇から譲位される。これで通親卿は姻戚関係上は天皇の祖父となったのだ。
……青春18きっぷかよってぐらい乗り換え放題しているので、現代的な感覚だとつい「サイテー!」って思ってしまうだろうけど……。当時としてもここまであからさまなのは珍しい。
それぐらい、己の出世欲に忠実な人物で……こういう人はなかなか恐ろしいものだ。
九条兼実卿にタイキック!? 建久7年の政変
長年権力をふるっていた兼実卿だが、源平合戦が終わり、世の中が安定してくるとだんだん反発を受けるようになっていった。
建久7(1196)年の後鳥羽天皇と大姫の結婚計画の時、頼朝様が頼ったのは兼実卿の政敵である丹後局と通親卿だった。
そして実は兼実卿も後鳥羽天皇に娘を嫁がせていたのだが……男児が産まれず、通親卿の養女が先に男児を産んでしまった。すると周りの貴族たちは次々と通親卿の元へと流れて行ってしまったのだ。
こうして兼実卿は「アウト~」とばかりに失脚し、政治に携わる公家や後宮の后たちまで、朝廷の人事が一新したのが「建久7年の政変」と呼ばれる事件だ。
土御門通親役、関智一殿について
近年の大河でみかける公家声優枠に、まさかの関智一殿!! 頂点を極めた貴族役にふさわしい声帯の持ち主……! 通親卿は歌人としても有名だったから、ぜひ美声で一首詠んで欲しいなぁ。
そういえば関智一殿は『ドラえもん』ではスネ夫の声だったな。ジャイアンの声優も登場したし、他の声優陣も期待してしまうな……!
アイキャッチ画像:伝源通親筆『竜山切』 「ColBase」から加工
関連人物
父:源雅通 母:源能俊の娘 養父:源雅定
兄弟:通資、他
妻:藤原範子、花山院忠雅の娘、平教盛、他
子:久我通光、土御門定通、土御門通行、他
養子:在子
猶子:大江親広(大江広元の長男)
「鎌倉殿の13人」13人って誰のこと? 人物一覧
「鎌倉殿」とは鎌倉幕府将軍のこと。「鎌倉殿の十三人」は、鎌倉幕府の二代将軍・源頼家を支えた十三人の御家人の物語です。和樂webによる各人物の解説記事はこちら!
1. 伊豆の若武者「北条義時」(小栗旬)
2. 義時の父「北条時政」(坂東彌十郎)
3. 御家人筆頭「梶原景時」(中村獅童)
4. 頼朝の側近「比企能員」(佐藤二朗)
5. 頼朝の従者「安達盛長」(野添義弘)
6. 鎌倉幕府 軍事長官「和田義盛」(横田栄司)
7. 鎌倉幕府 行政長官「大江広元」(栗原英雄)
8. 鎌倉幕府 司法長官「三善康信」(小林隆)
9. 三浦党の惣領「三浦義澄」(佐藤B作)
10. 朝廷・坂東の事情通「中原親能」(川島潤哉)
11. 頼朝の親戚「二階堂行政」(野仲イサオ)
12. 文武両道「足立遠元」(大野泰広)
13. 下野国の名門武士「八田知家」(市原隼人)
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