Craftsmanship

2024.03.12

背景を知ると、より愛おしくなるうつわ。sumica栖・選【食卓を楽しくしてくれる「この作家のうつわ」】

手にすると気持ちが満たされ、毎日の食事がより楽しくなる。そんな注目の作家とうつわを人気のギャラリーに提案していただく全5回シリーズ、第4回です。

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作家のバックグラウンドを知ると、さらに愛着が湧いてくる
「sumica栖」横浜・山下町

元CMディレクターの経歴をもつ、店主の栗栖久(くりすひさし)さん。料理に使うものとしてだけでなく、作家の意図や志といった背景を知ると、うつわを、さらに特別なものとして見ることができるのでは、と語ります。
「たとえば長野大輔さんは農業もしていて、そこでできた灰を使い、作陶する。そのサイクルが、美しいと考えているんですね」

今回紹介する作家はみな、制作工程にかなりの時間と手間を使う人ばかりだとか。
「だから数を多くはつくれないけど、使う人が作家の姿勢に共感できれば愛着も湧く。スピード感のある今の社会と逆行しているようで、実は最も時代性のある作家なのではと、感じているんです」

長野大輔さんの「錆釉七寸皿」
自然の恵みが凝縮されたうつわが料理をよりおいしく

食材が豊富な高知の里山で、作陶をする長野大輔さん。農業も行っており、作物からできた灰を使って、うつわを制作している。錆釉(さびゆう)の焦げたような風合いもプリミティブで、長野さんの生活そのものを表すかのよう。自然の恩恵を存分に受けて生まれたうつわは、料理をより豊かに、おいしく見せてくれる。同じ形のものが入荷することはあるが、薪窯の仕事なので、風合いなどには個体差がある。●直径21×高さ2.5㎝ 7,700円(税込)

岳中爽果さんの「葉結晶鉢」
思わずハッとするほど繊細な「彫絵」は夢のよう

大学時代に日本画を専攻。そのキャリアゆえの優美な文様は、釉薬が生んだまろやかな色彩のグラデーションの上で、いきいきと映し出される。「岳中爽果(たけなかさやか)さんの表現方法は、いっちんや線刻といった技法を使った「彫絵(ほりえ)」。その手の込みようは、ほかのだれにも真似することができない。すごく特別感のあるうつわだと思います」(栗栖さん)●直径15.5×高さ5.3㎝ 参考商品

浅井庸佑さんの「白(貫入)平碗」
納得できる材料を自ら見つけ出し、採取する

浅井庸佑(ようすけ)さんが窯をもつのは、滋賀の琵琶湖近く。自分で納得できるいい材料を選びたいと、土や石を、自ら掘りに行くところから制作を始めている。京都生まれで幼少期から古陶磁に触れて育ち、この平碗も、中国やベトナムの古いうつわに影響を受けて生まれたもの。端正な形と、趣のある釉薬の色調が、なんとも美しい。●直径16×高さ5㎝ 参考商品

店舗情報

sumica栖(すみか)
住所:神奈川県横浜市中区山下町90-1 ラ・コスタ横浜山下公園101号室 
電話:045-641-1586 
営業時間:11時〜18時(個展最終日は17時)
※不定期オープンなので、詳細はインスタグラムを確認して。@utsuwa_sumica

店主の栗栖久さん。ギャラリーは、観光地から離れたビル街にある。※掲載した情報は2023年12月までのものです。

撮影/sono(bean) 構成/湯口かおり、後藤淳美(本誌)
※本記事は雑誌『和樂(2023年2・3月号)』の転載です。掲載商品は税込価格です。1点もの、もしくは数量が限られているため、在庫がない場合もあります。

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和樂web編集部

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