一般名を三段腹と言うのだが、入浴姿勢なんだか水の浮力なんだかで、どうにも串に刺さった丸い3連の和菓子を彷彿とさせる。どうしたもんかと思ったものの、どうしたもこうしたも、不摂生以外の何ものでもないのだから、運動するしかない。分かっているが、実行に移せないこの弱さよ。
せめてもの罪滅ぼしとして、団子について調べてみることにした。いやまあ調べたところで「運動しない罪」が減刑されるわけではないが。
団子の語源
しかし不思議ではないか。あの丸い和菓子のことをなぜ「団子」というのか。串に刺さって3つ並んでいる、来世はこしあんをたっぷり塗られたい「あの3兄弟」も、ピラミッドのように積み上げられて優雅にお月見をする「あれ」も、団子の仲間だ。「団」の「子」とはいったい何ものなのか?
結論から言うと、「分からない」。
――あ、怒らないでほしい、無論、調べた上で、である。各種辞書事典類が口を揃えて「ワカリマセン」とのたもうているのだから、私ごときに分かるはずもないのだ。
語源説としては、
・古代に中国から伝来した菓子「団喜(だんぎ/だんき)」に由来する
・粉を練り団 (あつめ) たもの、の意味
・丸い形をしているから(「団」=丸い)
といったものが紹介されてはいるが、「諸説あって明らかではない」とのこと。
歴史の長いものについては、断言できないことも多いのだから、なんとなくそう言われているのだ、でよいのかもしれない。丸くてかわいくて美味しい、それが団子。きっとそれだけでいいのだ(何かを放り出した感)。
団子の歴史
では、丸くてかわいくて美味しい団子は、どんな歴史をたどってきたのか。

団子の起源は、明らかではないものの、語源説のところで紹介した中国の団喜から始まるのではないか、とも言われる。「団子」の名称が初めて見られるのは11世紀なかばに書かれた藤原明衡『新猿楽記(しんさるがくき)』とされ、江戸時代には甘い味のついたものが登場、広く愛されて各地で名物団子が生まれた。
なお、串に刺さった団子は、室町時代には登場していたという。戦国武将たちも、もしかしたら串団子を食べていた!?
団子とまんじゅう・餅菓子(大福)の違い
丸っこくて、中や外にあんが入っていたりいなかったりするという点で似ている、団子とまんじゅうと餅菓子(大福など)。違いはどこにあるのだろう?

まんじゅうとは?
まんじゅうとは、小麦粉・米粉・そば粉などに、甘酒の搾り汁あるいはヤマノイモ・水を加えて発酵させた皮に、あんを包み丸く形づくり蒸したもの。下側を平らに、上部を丸くするのが定番だが、小判型や、縦長のものもある。

温泉街などで名物になっているので、ああ、あれね、とすぐに思い浮かぶ人もいるかもしれない。
団子と餅菓子の違いは?
団子と餅菓子(大福も餅菓子の一種だ)の違い、それはずばり、……明確ではない、らしい。またかい。

基本的には、団子は粉から球状の形を作ってゆでるor蒸す、餅菓子は穀物をそのまま蒸して搗(つ)き、形を作る、あるいは丸いものが団子で平たくすると餅、などとされるが、この基準に合わないものもあって、もはやはっきりと区別できなくなっているそうだ。
たしかに、月見団子なんかも、まん丸ではない地域が少なからずあるもんなあ。
▼月見団子いろいろ
お月見にはなぜ月見団子なの?東西の違いがあるってホント!?謎を徹底解説!

でもとりあえず、
・「まんじゅう」は小麦粉などの皮であんを包んで蒸したもの
・「団子」は米などの粉をこねて丸め、ゆでる・蒸す
・「餅菓子」は米を粒のまま蒸してから搗いて作る
くらいの認識でよいのじゃないだろうか、われわれ一般の人間は(また何か放り出した)。

そういえば、パブリックドメインの画像がなかなか見つからなかったんだもの、という言い訳をしながら、いそいそと近所の和菓子店へ向かったのは内緒である(編集部に経費申請はしていないことを明記しておく)。
団子の種類
冒頭でも少し触れたが、団子にはさまざまな種類がある。すべてを網羅することは難しいが、代表的なものをご紹介しよう。
みたらし団子
串にさした団子を軽く焼き、砂糖醬油をからめたもの。
由来についてはこちらの記事をどうぞ。
プリッとやわらか〜あっつあつ!京都下鴨「加茂みたらし茶屋」のだんごがうまい
あん団子
餡(あん)を中に入れたり、餡で包まれたりした団子。こしあん・つぶあん、どちらも美味(個人的感想)。

よもぎ団子
団子の生地によもぎを練りこんだもの。草だんごとも。
三色団子
3色の団子。白・ピンク・緑の組み合わせが有名だが、地域によっても色の組み合わせや解釈が異なる。
その他、きな粉をまぶした「きな粉団子」、海苔を巻いた「海苔団子」なども人気が高い。
月見団子、花見団子
月見の際に飾る「月見団子」、花見のときに食べる「花見団子」など、季節を楽しめる団子もある。
お月見にはなぜ月見団子なの?東西の違いがあるってホント!?謎を徹底解説!
その他の「団子」
団子には食べられないものもある。食べられないパンはフライパン、といった言葉遊びの類いではなく、ちゃんと「団子」にちなんだものだ。
ダンゴムシ
わりとそのへんにいる、体長1.5センチメートルくらいで黒っぽくて(茶色や白っぽいのもいるが)足がたくさんあって、触ると丸くなる、あれである。団子のように丸くなるから、ダンゴムシ。なかなか愛らしいと思うのだが、苦手なかたや植物の食害に悩まされ敵視しているかたも大勢おられるため、画像は割愛。
団子になる
お前を団子にしてやろうか~!と悪魔に言われた……わけではなく、日本語の慣用表現として存在する「団子になる」。
「団子」には、団子のように丸くなる・ひとかたまりになる、といった意味もあるので、なんか大勢の人がわちゃわちゃ固まっているのを「団子になっている」なんて言ったりするのだ。また、ネコを多頭飼いしている家では、「猫団子」なるものが出現する場合もある。
ちなみに、現代ではあまり一般的ではないものの、その場を丸くおさめることや、うまく丸め込むことも「団子」と言うらしい。江戸時代中期ごろの本や歌舞伎にそうした表現が見られる。オモロい。
花より団子
風流や見た目・虚栄より、実益・実利を重んじる、という慣用句。
そう、われわれ人間とて、ガソリンが入らなければ動けないのである。茶化して喜ぶんじゃない、まず食べなさい。食べて満たされたなら、花を愛でようではないか。嗚呼、食いしん坊ばんざい。
アイキャッチ画像:歌川広重『東海道五十三次之内 岡部 宇津の山之図』メトロポリタン美術館公式サイトより
参考文献:
・『国史大辞典』吉川弘文館
・『日本国語大辞典』小学館
・『デジタル大辞泉』小学館
・『世界大百科事典』平凡社
・『日本大百科全書(ニッポニカ)』小学館
・『故事俗信ことわざ大辞典』小学館

