Culture

2026.07.07

豊臣秀吉の出世城「長浜城」。黒田官兵衛の息子と寧々の逸話も

2026大河ドラマ『豊臣兄弟!』では、主人公の豊臣秀長とともに、兄の秀吉も大注目です!愛嬌のある笑顔で人を巻き込む様子は、池松壮亮さんの好演もあって、「人たらし」と感じます。今後の展開で秀吉は権力を手にして、変わっていくのでしょうか?兄弟の関係はいかに!?

天下人への足がかりになったことから「秀吉の出世城」と呼ばれているのが、近江国(おうみのくに・現在の滋賀県)琵琶湖の湖畔に築いた「長浜城」です。どのような城だったのか、ひもといてみたいと思います!
文・柴犬

秀吉、長浜築城

豊臣秀吉が城をもったのは、長浜城が最初ではありません。小谷城の戦い※1で織田信長に認められて、浅井氏旧領と小谷城を与えられたのが、一城の主としてのスタートでした。小谷城では激しい戦いが繰り広げられましたが、兵火を免れていたので、天正元年(1573)に秀吉は移り住み居城としました。けれどもこの城は、山城で守りは固いですが、政務や生活の拠点には不向きだったので、住み続ける必要を感じなかったようです。

(※1)織田信長と義弟・浅井長政との最終決戦。信長が勝利して浅井氏は滅亡した。

翌年、秀吉は琵琶湖舟運(しゅううん)の要衝(ようしょう)である今浜に、あらたに築城をはじめます。秀吉が目をつけた場所は、戦国大名浅井氏の前の江北の支配者である京極氏の重臣筆頭・上坂(こうさか)氏の今浜城があったところ。秀吉は今浜を長浜とあらためたことから、長浜城と呼ばれるようになったようです。

今に続く城下町

天正3(1575)年に秀吉が入城してからが、長浜城と城下町の始まりです。長浜城は、湖畔に城を築くことで舟運をおさえ、商品の流通ルートを握る目的もあったようです。本丸には天守と御殿があったとされています。秀吉は長浜城から織田軍の先兵として北陸攻めや中国地方攻めへと出陣をしていきました。

家族と共に天正10(1582)年まで居城としました。同年、本能寺の変で織田信長が亡くなると、信長の後継者を決める清洲会議で、柴田勝家の甥である勝豊(かつとよ)が城主に。けれども、すぐに秀吉は降伏させて長浜城を取り戻します。そして勝家と争った賤ヶ岳(しずがたけ)合戦の拠点にします。

その後、天正13(1583)年には、長浜城主時代から秀吉に仕えた山内一豊(やまうちかつとよ)が長浜城に入城し、長浜で5千石の領主となるとともに、近江八幡城主であった豊臣秀吉の甥・秀次の老臣となりました。そののち関ヶ原の合戦後、慶長11(1606)年には、徳川家康に仕えた内藤信成が領有することになりますが、元和元年(1615)には廃城を迎えます。けれども、この間に整備されていった城下町は連綿と続くことになります。

現在、昭和58(1983)年に建てられた復興天守が、歴史博物館としての機能を備えた長浜城歴史博物館となっています。

『長浜町之絵図』滋賀県立図書館近江デジタル歴史街道より

黒田官兵衛の息子・松寿丸と寧々の交流

ルイス・フロイスが人格者と褒め称えた、秀吉の正室である寧々の、長浜城でのエピソードがあります。天正5(1577)年、黒田官兵衛の息子である松寿丸は、10歳で人質として織田側に差し出され、秀吉の居城である長浜城に入りました。寧々が、かいがいしく面倒を見て、教育を施したと伝わります。翌年に黒田官兵衛が荒木村重※2の説得に向かったまま戻らなかった際、信長は官兵衛は寝返ったと激怒して松寿丸を処刑するように命じます。

(※2)織田信長に重用されたが、謀反を起こして、有岡城に籠城する。使者として単身乗り込んだ黒田官兵衛を、約1年もの間、土牢に幽閉した。

我が子のように接していた寧々は、さぞ困惑したことでしょう。この窮地に竹中半兵衛が間に入り、自らの領地である美濃国(みののくに・現在の岐阜県)菩提山(ぼだいさん)城近くの家臣の屋敷にひそかに匿って、救出をしました。松寿丸(のちの黒田長政)と寧々の交流はその後も続き、秀吉の死後に寧々が隠居所とした京都の圓徳院(えんとくいん)の建立や修復に尽力をして恩を返したとも伝わります。

長浜城周辺は、四季を通じて楽しめる観光名所

長浜城歴史博物館の周辺は、「日本さくら名所100選」のスポットとして知られていて、春には満開の桜と長浜城の美しいコントラストが楽しめます。5階の展望台からは、琵琶湖や湖北の街並みが一望できるので、城主気分を味わってみてはいかがでしょうか。

(公社)びわこビジターズビューロー提供

参考書籍:『秀吉の天下統一戦争』小和田哲男著 吉川弘文館、『世界大百科』平凡社、『日本大百科全集』小学館

アイキャッチ:(公社)びわこビジターズビューロー提供

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柴犬

大河ドラマ大好きワン子。ティーンエイジャー時代は、周囲がアイドルに熱中する中、時代劇一筋を貫いた強者。チワさぶろう君と昭和の大河の思い出を語り合うことも。自他共に認める、ミーハー。
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