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Culture
2021.06.09

上総広常とは?人物解説!佐藤浩市が演じるのはツンデレおじいちゃん?【鎌倉殿の13人予習シリーズ】

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今回解説するのは房総半島の暴走じいちゃん、上総広常(かずさ ひろつね)殿! 上総殿は、オレが勝手に「坂東3おじじ」と呼んでいる、偉大なるおじじ3人の1人。ちなみにもう2人は、千葉常胤(ちば つねたね)殿と、オレの祖父様(じいさま)である三浦義明(みうら よしあき)だ!

おっと、紹介が遅れたな。鎌倉御家人・三浦胤義(みうら たねよし)が語る、NHK大河ドラマ『鎌倉殿の13人』予習シリーズ! オレが何者かは第1回参照なッ!

下にあるのに上総なの?

上総広常殿の上総は、上総国の上総。房総半島を3つに分けて、上から下総(しもうさ)国・上総国・安房(あわ)国だ。

どうして上総の国が下総よりも下(南)にあるかというと、その理由は古代の東海道にあるんだ。

旧国名は京都に近い方が「上(かみ)」、遠い方が「下(しも)」と決まっていた。そして古代の東海道は相模(さがみ)国(現・神奈川県)の三浦半島と房総半島の安房国を結ぶ船の道があった。そこから常陸(ひたち)国(現・茨城県)へと向かう。だから、南にある上総の方が「上」なのだ!

上総広常と上総国

坂東平氏の話は、平清盛(たいらの きよもり)殿の回で軽く話したな。上総氏はその中でも房総半島にいた「房総平氏」の筆頭的な立場で、「上総介(かずさのすけ)」と呼ばれ、上総国と下総国に強い影響力を持っていた。

ちなみに、上総国の守護(しゅご=今でいう県知事みたいなもの)となれるのは、親王だけ。「常陸国」「上野(こうずけ)国(現・群馬県)」「上総国」の3国の守護は親王が就任し「太守(たいしゅ)」と呼ばれる。しかし、常に太守がいるわけではない。そのため本来なら守護の補佐役である「介(すけ)」が守護の役目を負っていたんだ。

つまり、上総氏は房総半島内でもすごい権力者だったんだ。

そして上総広常殿の祖父の代で、上総国の上総氏と下総国の千葉氏に分かれることになる。そこから上総氏と千葉氏、さらに朝廷を巻き込んで房総半島内で領地を巡る争いが起こるわけだけど、その話は今回は割愛!

上総広常ってどんな人?

今回は上総広常殿のことについて語ろう。しかしオレが生まれる前に亡くなっているので、聞いた話だけど。一言で言うと「プライドが高いツンデレじいさん」だったらしい。

『吾妻鏡(あずまかがみ)』読むとさ、初期の初期の頃に京の儀礼や作法の真似をして、坂東武者が四苦八苦している記事がやたら出てくるんだ。だけどこれは、坂東武者たちに礼儀も作法もなかったというわけじゃない。

ただ京とは違うやり方だっただけのこと。しかも家によってまちまちだったんだよ。そこを頼朝様が京式のやり方で統一しようとしたんだ。

昨日までやっていた作法が今日から突然「無礼」って扱いになったら目ン玉白黒しちゃうよな。上総殿もプライドはあったから反発はするんだけどさ、文句を言いつつも、最終的には頼朝様に従っていたらしい。

でもその態度とか、頑固さとか誤解されやすくってさ。最終的にとんでもない事になっちゃうんだけど……、その話も今回は割愛しとく!

そんな頑固な上総広常殿を演じるのは――!

▼ガイドブックもチェック
NHK2022年大河ドラマ「鎌倉殿の13人」THE BOOK (TVガイドMOOK)

上総広常役、佐藤浩市殿について

坂東武士団で、最も頼りになり最も危険な男

当時、それぞれの地で彼らのおかれていた立場、関東の豪族たちのヒエラルキーなど、そこにある面白さや悲哀をうまく見せられたらと思っています。

NHK_PRサイト 佐藤浩市のコメントより抜粋

おおお! 一筋縄ではいかなそうな、頑固さとプライドがにじみ出る上総殿を、渋いダンディ俳優が……! これは千葉県も盛り上がるのではなかろうか!? 千葉県知事の熊谷殿! 上総も! 上総広常殿もよろしくお願いします!!

(*熊谷知事は千葉氏を熱く推していることで鎌倉ファンに有名)

関連人物

主君:源頼朝
父:平常澄
兄弟:伊西常景、印東常茂、相馬常清、金田頼次、ほか
子:小笠原長清の妻、ほか

人物相関図:
『鎌倉殿の13人』予習にぴったり!源平合戦~鎌倉初期を相関図で解説!

▼吾妻鏡についての本はこちら
眠れないほどおもしろい吾妻鏡―――北条氏が脚色した鎌倉幕府の「公式レポート」 (王様文庫)

「鎌倉殿の13人」13人って誰のこと? 人物一覧

「鎌倉殿」とは鎌倉幕府将軍のこと。「鎌倉殿の十三人」は、鎌倉幕府の二代将軍・源頼家を支えた十三人の御家人の物語です。和樂webによる各人物の解説記事はこちら!

1. 伊豆の若武者「北条義時」(小栗旬)
2. 義時の父「北条時政」(坂東彌十郎)
3. 御家人筆頭「梶原景時」(中村獅童)
4. 頼朝の側近「比企能員」(佐藤二朗)
5. 頼朝の従者「安達盛長」(野添義弘)
6. 鎌倉幕府 軍事長官「和田義盛」(横田栄司)
7. 鎌倉幕府 行政長官「大江広元」(栗原英雄)
8. 鎌倉幕府 司法長官「三善康信」(小林隆)
9. 三浦党の惣領「三浦義澄」(佐藤B作)
10. 朝廷・坂東の事情通「中原親能」(川島潤哉)
11. 頼朝の親戚「二階堂行政」(野仲イサオ)
12. 文武両道「足立遠元」(大野泰広)
13. 下野国の名門武士「八田知家」(市原隼人)

アイキャッチ画像:『絵入名将百史伝』上総広常 国立国会図書館デジタルコレクション

書いた人

承久の乱の時宮方で戦った鎌倉御家人・西面武士。妻は鎌倉一の美女。 いわゆる「歴史上人物なりきりbot」。 当事者目線の鎌倉初期をTwitterで語ったり、話題のゲームをしたり、マンガを読んだり、ご当地グルメに舌鼓を打ったり。 草葉の陰から現代文化を満喫中。