Culture

2025.03.26

蔦重のデビュー作、覚えてる? 大河ドラマ「べらぼう」を100倍楽しむAtoZ【D】

吉原に生まれ、自力で江戸の〝メディア王〟となった男・蔦屋重三郎(つたやじゅうざぶろう)の仕事からプライベートまでを、AからZで始まる26の項目で解説するシリーズ【大河ドラマ「べらぼう」を100倍楽しむAtoZ】。第2回は「D=デビュー作『一目千本』」をご紹介します! Zまで毎日更新中! 明日もお楽しみに。

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蔦重AtoZ
D=デビュー作『一目千本』は売り物じゃなかった!?


版元・蔦屋重三郎の初出版作は、安永3(1774)年に刊行した『一目千本(ひとめせんぼん)』。

当時の人気絵師・北尾重政(きたおしげまさ)が墨で描いた花の絵が、各ページにズラリ並んでいます。
このころ流行した挿花(そうか=生け花)の画集のようですが、添えられた文字は吉原の妓楼(ぎろう)と花魁(おいらん)の名。

なんとこれは、実在の花魁を、イメージに合う挿花で表したという思いがけない絵本。
版元株をもたない蔦重は、本を販売できないため、妓楼が贔屓客(ひいききゃく)に配る非売品として『一目千本』をつくったのです。

掲載された妓楼や花魁はみんな出資者。いわばプロモーション用の花魁カタログでした。

人気絵師・北尾重政の絵本が欲しければ、妓楼で花魁を指名しなければならず、双方にとって宣伝効果は抜群。
妓楼と花魁も、客も、蔦重も損しない〝三方(さんぽう)よし〟の精神は、以後も蔦重の商売の基本となっていきます。

これには後日談があり、数年後に出版株を得た蔦重は、『一目千本』から妓楼と花魁の名前を除いた挿花絵本『手ごとの清水』を一般販売。
蔦重の商才には驚かされます!

関連記事:メディア王・蔦重誕生の背景は?『好色一代男』が爆発的に売れた、江戸時代の出版文化

花魁を花で表した、PR誌のさきがけ

描かれた花が吉原の花魁を表している! 『一目千本(ひとめせんぼん)』 北尾重政 絵本 安永3(1774)年 大阪大学附属図書館 忍頂寺文庫
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和樂web編集部


構成/山本 毅 ※本記事は雑誌『和樂(2025年2・3月号)』の転載です。 参考文献/『歴史人 別冊』2023年12月号増刊(ABCアーク)、『蔦屋重三郎と江戸文化を創った13人 歌麿にも写楽にも仕掛人がいた!』車浮代著(PHP研究所)、『これ1冊でわかる! 蔦屋重三郎と江戸文化』伊藤賀一著(Gakken)
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