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2021.09.05

巴御前とは?人物解説!秋元才加演じる平安末期の霊長類最強女子?【鎌倉殿の13人予習シリーズ】

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今回解説するのは、木曽義仲(きそ よしなか)殿の愛妾、巴御前(ともえごぜん)! いよっ待ってました!(やんややんや!)

でも巴御前は『平家物語』や『源平盛衰記』などの物語内でしか登場しないので、実在しないのではないかと言われている。けれどその知名度は源平武将随一! もしかしたら、木曽殿よりも有名なのではないのかとの噂もある、超ビッグネーム女武者だ!

Twitter界にも巴御前がいるので、彼女について詳しく知りたい場合は質問してみると良い。

おっと、自己紹介が遅れたな。鎌倉御家人・三浦胤義(みうら たねよし)が語る! 令和4(2022)年NHK大河ドラマ『鎌倉殿の13人』予習シリーズ! オレが何者かは第1回参照なッ!

妻と室と妾


女性配偶者の事を「妻」と呼ぶのは、当時も現在も変わらない。けれど「妾」という言葉は大きな違いがある。

現在の「妾(めかけ)」というと、男女関係がある配偶者ではない女性というイメージがあるみたいだが、当時の「妾(しょう)」は身分の低い妻という意味。

という事は、巴御前は木曽殿の「妾(しょう)」なのか? というと……それもちょっと微妙でな。『平家物語』では「木曽殿の便女(びんじょ)」とある。

便女とは、武将の身の回りの世話をする女という意味で、その世話にはまぁ夜の世話も含まれる感じだ。ちなみに同じ役割で男(男児)の場合は「寵童(ちょうどう)」と言った。

首ねぢ切って捨ててんげり


古文の授業で『平家物語』を習った時、扱ったのが『木曽最期』だった者は、今でも覚えてるだろうフレーズ「首ねぢ切って捨ててんげり」。

どんな状況だったのか、おさらいだ。

木曽殿が後白河法皇の不興を買って、木曽殿追討の院宣(いんぜん=上皇の命令書)が鎌倉幕府に向けて出された。『木曽最期』は木曽殿が鎌倉軍と戦う場面だ。木曽軍は奮戦するも、圧倒的な兵力の差でやられてしまう。

木曽殿も死を覚悟し、巴御前に言ったんだ。

「おのれは、とうとう、女なれば、いづちへもゆけ。我は打死せんと思ふなり。もし人手にかからば自害をせんずれば、木曾殿の最後のいくさに、女を具せられたりけりなんど、いはれん事もしかるべからず」

「お前は女なんだから、すぐにどこかへ逃げろ。オレは討死しようと思ってる。もし人の手にかかって殺されるのなら自害するつもりだ。木曽義仲は最後の戦に女と一緒にいたなどと言われるのは、かっこ悪い」

そして巴御前はどうしたかというと……。

「あっぱれ、よからうかたきがな。最後のいくさして見せ奉らん」とて、控へたるところに、武蔵国にきこえたる大力、御田八郎師重、30騎ばかりで出で来たり。巴、その中へ駆け入り、御田八郎に押し並べ、むずと取つて引き落とし、我乗つたる鞍の前輪に押し付けてちつとも動かさず、首捻ぢ切つて捨ててんげり。その後物の具脱ぎ捨て、東国の方へ落ちぞ行く。

「まあ、なんてことでしょう。いい敵はいないでしょうか。最後に義仲様へ、巴の戦を見せてさしあげたい」と言っていたら、武蔵国の力持ちで有名な御田師重(おんだ もろしげ)が30騎ほど率いてやってきた。巴はその中に向かって駆けて入り、御田の馬に自分の馬を強引に並べ、むんずと掴んで引っ張り、馬から落とした。そして自分の乗る馬の前輪に押し付けて少しも身動きをさせず、首をねじ切って捨てた。その後、武具を脱ぎ捨てて東国の方へ逃げて行った。

前輪というのは鞍の前の出っ張ってる部分。さすがに首が千切れるってのは誇張だとは思うが、ここに敵の首を押し付けて絞め殺すっていうのは、わりとあった。

前輪の部分(東京国立博物館蔵『獅子螺鈿鞍』 「ColBase」をもとに加工)

鎧を着込んだ大の男を掴んで引き落として、絞め殺す(ついでに首が千切れる)ってんだから、巴御前がいかに規格外のパワフルなオナゴだったかわかろう。

巴御前の墓


巴御前は全国各地に伝承があり、巴御前の墓も全国にある。また木曽殿の死後に和田義盛に嫁いだという伝説もあるからか、三浦にもいくつかある。しかも3つぐらい。たぶん、伝承の影響で和田義盛の妻が全員巴御前となってそのまま地域に根付いてしまったんだろう。

そういえばそこらへん大河ドラマではどうなるんだろう。果たして巴御前は無事に逃げ延びるのか、はたまた幕府に捕まって和田義盛の妻となるのか。こうご期待。

巴御前役、秋元才加殿について


おおおお! 平安最強イケメン女子枠に、元アイドル最強イケメン女子きたぁぁぁあああ!

個人的に才加殿には、アクションバリバリの役柄をやって欲しいと思っていたので、この配役には坂東武者もニッコリ。

強く気高き義仲の愛妾(あいしょう)

男性と互角に戦う強さと精神力に憧れを持ち、いつか私も巴御前のような強い女性を演じてみたいと夢みていました。
今回お話をいただき、念願がかないました。

NHK_PRサイト 秋元才加のコメントより抜粋

才加殿の巴御前、まさに絵巻物から飛び出してきたかのように活躍する様が思い浮かぶ。はやく見たいものだなぁ。

関連人物

主君:木曽義仲
父?:中原兼遠
兄弟?:今井兼平、ほか

人物相関図:
『鎌倉殿の13人』予習にぴったり!源平合戦~鎌倉初期を相関図で解説!

「鎌倉殿の13人」13人って誰のこと? 人物一覧

「鎌倉殿」とは鎌倉幕府将軍のこと。「鎌倉殿の十三人」は、鎌倉幕府の二代将軍・源頼家を支えた十三人の御家人の物語です。和樂webによる各人物の解説記事はこちら!

1. 伊豆の若武者「北条義時」(小栗旬)
2. 義時の父「北条時政」(坂東彌十郎)
3. 御家人筆頭「梶原景時」(中村獅童)
4. 頼朝の側近「比企能員」(佐藤二朗)
5. 頼朝の従者「安達盛長」(野添義弘)
6. 鎌倉幕府 軍事長官「和田義盛」(横田栄司)
7. 鎌倉幕府 行政長官「大江広元」(栗原英雄)
8. 鎌倉幕府 司法長官「三善康信」(小林隆)
9. 三浦党の惣領「三浦義澄」(佐藤B作)
10. 朝廷・坂東の事情通「中原親能」(川島潤哉)
11. 頼朝の親戚「二階堂行政」(野仲イサオ)
12. 文武両道「足立遠元」(大野泰広)
13. 下野国の名門武士「八田知家」(市原隼人)

アイキャッチ画像:葛飾北斎『巴御前内唐人』東京国立博物館蔵 「ColBase」をもとに加工

▼和樂webおすすめ書籍!義仲の最期は下巻です
平家語物 (上)―マンガ日本の古典 (10) 中公文庫