前回、和樂web編集長・セバスチャン高木にそそのかされて、3Dデータ化されることになった私。くるくる回るベッドでフラフラになったりなんだり大変だったけれど、無事3Dデータが取得できたみたい。
私……は誰かって? かつて縄文銀座として賑わった、埼玉県北本市で発掘された土偶「きたもっちゃん(仮)」。詳しくは今までの記事を読んでね。
▼前回までのあらすじはこちら
ああっ、そんな奥まで見せちゃうの…?縄文の女神3Dデータ化ものがたり【vol.1 データ取得編】
▼きたもっちゃん(仮)の自己紹介はこちら
ももっ♡埼玉県北本市のNEWアイドル「きたもっちゃん(仮)」お披露目だも~~!!
スナ●キンからの手紙
「う、う~~ん」
目覚めると、私は埼玉県北本市のとある一室にいた。初めての回るベッドで具合が悪くなってしまった私は、いつの間にか深い眠りに落ちてしまっていたようだ。
「シュボッ」
誰かからメッセージが来た。
「姫、大丈夫?」
私を気遣う言葉とともに、セバスチャンの写真が添付されている。
「今、東京は雪が降って寒いよ。姫にあたためてもらいたいな」
雪……ですって? 私が3Dデータを取得したのは、めまいがするほど暑い真夏の日。じゃぁ、そのデータを公開するまで半年近くかかったということ? それまで、何の連絡もくれなかったんだ。
ふうっと小さくため息をついてからメッセージを送る。
「縄文時代は暖かかったから、冬は苦手なの。ごめんね、スナフキ……じゃなくてセバスチャン」
長い眠りから目覚める時は王子様のキスで、って夢見てた。……なんて言うのも悔しくて。
3Dデータ、公開しました
「遅くなってごめんね。3Dデータはこちらから見られます」
セバスチャンからのメッセージに添付されていたのは、このページ。
中を開くとこんな感じ。ジャーン。
カーソルを動かすと、横向いて背泳ぎしたり。
後ろ姿だって見られちゃうわよ。
色んな角度から見たり、拡大したり。
「すごいね、セバスチャン!!」
さっきまでのモヤモヤした気持ちはどこへやら。私は興奮気味にセバスチャンにメッセージを送った。するとこんな返事が。
「もっと拡大してごらん」
どれどれ……って、えぇっ!?
どんどん拡大していくと、なんと私の体の中身まで見えちゃってるの!! 人間が自分の内蔵を見たことがないように、私だって自分の体内を見たことなんてないから驚きよ!! 私、結構空洞多くない!?!? 縄文人、どうやって私をつくったんだろ。
「現代の技術はすごいけど、ちょっと恥ずかしいね」
■データ取得、協力:三協ダイカスト株式会社
3Dデータはご自由にお使いください
今回公開した3Dデータは、どなたでもご自由にお使いいただけます。自宅のPCから体内ツアーをするもよし、データから私の分身を作るもよし。
「姫になかなか会えないから、毎日分身と一緒にいるよ。でも早く本当の姫に会いたいなぁ」
もう、セバスチャンはこんなかんじ。こういう時、貴重な文化財という身分が恨めしくなっちゃうわ……。好きな人に自由に会えるあなたたちが羨ましい。
あとがき~SNSへの投稿もお待ちしています!~
今回公開したのは、北本市の宮岡氷川神社前遺跡から見つかった、縄文後期の巫女土偶の3Dデータです。足がもともと壊された状態で、土器片を枕に寝ている姿で出土しました。これは土偶の体をわざと壊し、病気やケガの身代わりになってほしいという祈りからだと考えられています。
北本市では関東最大級の環状集落「デーノタメ遺跡」が見つかっており、この地が縄文時代から賑わっていたことを示しています。北本市の文化財活用の一環として、3Dデータをオープンソースにしました。3Dデータを活用して作成した作品等の写真などは、#jomon #北本 のハッシュタグでSNSへ投稿をお願いいたします!