令和4(2022)年NHK大河ドラマ『鎌倉殿の13人』予習シリーズ人物編! 今回は鎌倉時代……いや日本を代表する天才仏師、運慶(うんけい)!
名前を知らなくても、「奈良の大仏」のある東大寺や興福寺は聞いたり、実際に行ったりしたことも多いだろう? その仏像を手掛けた人物だ!
和樂webでも何度も取り上げられているので、経歴はこちらを参考にしてくれ。
仏像彫刻史にその名を刻んだ「運慶」と、一門慶派の物語
オレからは坂東武者と運慶の関係について。
運慶と仏像と坂東武者
運慶は元々奈良で活躍していた仏師。源平合戦の時に平家によって焼かれてしまった奈良の寺々の復興を鎌倉幕府が負担し、仏像制作を依頼したのが「慶派(けいは)」と呼ばれる運慶がいた工房だった。
そして文治5(1189)年、鎌倉幕府は奥州藤原氏を攻めるため、平泉へと入った。その時に平泉の仏教文化に感化され、御家人の間で空前の仏像ブームが巻き起こる! そこで坂東武者がこぞって指名したのが、天才仏師「運慶」というわけだ。
運慶は運慶で、元々の作風は「ザ・平安時代の仏像」って感じでスマートな体形や、柔らかい表情のものが多かった。
しかし御家人たちから依頼を受けるようになると、ゴツくてイカツイ顔の仏を作るようになる。まるで坂東武者をモデルにしたような感じだ。
そんな感じで、持ちつ持たれつやっていたよ。うち(三浦)にも、父上(三浦義澄)や和田義盛が依頼した運慶作や慶派作の仏像が何体かある。
実業家としても一流!
天才仏師! というと、芸術肌でひたすらノミをふるって仏像を彫っているイメージがあるかもしれないけれど、意外とビジネス的な腕も達者でなぁ……。
実は慶派の工房って最初は興福寺お抱えの小さな工房にすぎなかったんだ。京都の寺や貴族が抱える工房の方がどうしても幅を利かせていたらしくてさ。だけど坂東武者の仏像ブームに上手く乗っかってビジネスチャンスをモノにし、慶派は一大勢力となる。
そして頼朝様の死後は、主に北条氏の仕事を請け負っていたってんだから、政治的な嗅覚も抜群だったんだろうなぁ。
運慶役、相島一之殿について
ドラマでは21話に登場したな。ビジネスライクでありながら、仏像については並々ならぬ情熱を持つ運慶を演じていた。……オレは直接運慶には会ったことはないけれど、こんな感じがする!
運慶は鎌倉の文化方面では欠かせない人物だし、これからも出番があるといいなぁ。
関連人物
父:康慶
兄弟:定覚?
子:湛慶、他
「鎌倉殿の13人」13人って誰のこと? 人物一覧
「鎌倉殿」とは鎌倉幕府将軍のこと。「鎌倉殿の十三人」は、鎌倉幕府の二代将軍・源頼家を支えた十三人の御家人の物語です。和樂webによる各人物の解説記事はこちら!
1. 伊豆の若武者「北条義時」(小栗旬)
2. 義時の父「北条時政」(坂東彌十郎)
3. 御家人筆頭「梶原景時」(中村獅童)
4. 頼朝の側近「比企能員」(佐藤二朗)
5. 頼朝の従者「安達盛長」(野添義弘)
6. 鎌倉幕府 軍事長官「和田義盛」(横田栄司)
7. 鎌倉幕府 行政長官「大江広元」(栗原英雄)
8. 鎌倉幕府 司法長官「三善康信」(小林隆)
9. 三浦党の惣領「三浦義澄」(佐藤B作)
10. 朝廷・坂東の事情通「中原親能」(川島潤哉)
11. 頼朝の親戚「二階堂行政」(野仲イサオ)
12. 文武両道「足立遠元」(大野泰広)
13. 下野国の名門武士「八田知家」(市原隼人)
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