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2022.05.15

ホントに名執権?坂口健太郎演じる北条泰時のズッコケエピソード【鎌倉殿の13人】

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令和4(2022)年NHK大河ドラマ『鎌倉殿の13人』予習シリーズ人物編! 今回は北条義時(ほうじょう よしとき)の長男、泰時(やすとき)! オレが知っている当時は、武蔵守(むさしのかみ)を務めていたから、普段は「武州殿(ぶしゅうどの)」と呼んでいるよ。

……へ~。武州殿が執権職継いで、「名執権」なんて呼ばれてるの? しかも聖人君子扱いされてるって? ……ふぅん……。

うん……なんか……言いたいことがあるんだね、胤義殿。

オレから見た印象は……まぁ、仕事はできるかもしれないけど、わりと抜けてる所あるっていうか……何考えてるのかよくわかんないっていうか。とにかく周りや支持者が超優秀だったって印象だなぁ……。

お、おう……。なるほど……。

北条泰時のズッコケエピソード

武州殿のよくわかんないエピソード、まず挙げられるのは、二日酔いのまま戦に出て使い物になってなかった話かな……。あ、この話過去記事にあるから、そっちを読んでくれ。

禁酒は難しい…品行方正な鎌倉武士・北条泰時も苦戦、御成敗式目にも書かれているって?

危なっ……無事のご帰還、何よりデシタね……。

それからオレ自身もウザ絡み……ごふん! ちょっとよくわからない絡み方された事もあってさ……。あれは確か建保6(1218)年の頃だったかな。当時の天皇、順徳天皇の使いの貴族が鎌倉へ来て、京に帰る時に実朝様の命でオレが護衛する事になったんだ。

鎌倉を出てしばらくして……。江の島あたりで武州殿と、二階堂行政(にかいどう ゆきまさ)殿、小山朝政(おやま ともまさ)殿が待っていてさ、3人とも「実朝様の命令で京までお送りするために来た」って言ったんだ。

元々オレが仰せつかった命令だし、天皇の使いとはいえちょっと多すぎる。本人もこれ以上の護衛は恐れ多すぎるって断ったから、3人は鎌倉へ引き返したんだけどさ……帰る時、武州殿なんて言ったと思う?

「私、実朝様から讃岐守になれって言われたんですけど、分不相応だったから断ったんですよ。……この事、くれぐれも天皇に伝えておいてくださいね!」

……え? どういう事? 自分は謙虚な人間だって自分で言って、それを天皇に伝えてどうするの? これ、『吾妻鏡』で美談っぽく書かれてるけど、本当に美談なの? ねぇ……。

俺って謙虚でしょ? エラいでしょ? って発言は、謙虚な人格者はしない、よね……。

ヨイショされる弊害

まぁ、なんというか……吾妻鏡はよく「北条に都合よく書かれている」と言われているが、オレはむしろ「北条泰時が執権になるべくしてなった、すばらしい人物でなくてはならない」という前提があるんだと思う。

というのはさ~。義時が死ぬとき、後継者を指名しなかったんだって。んで、普通に考えれば、死亡時の正妻の息子が跡継ぎとなるんだけど……実際後を継いだのが母親が不明の北条泰時だからさ。

だから、ちょっと無茶なヨイショもしちゃうんだと思う。幼少期からただ道を歩いてただけで頼朝様に褒められたりとか、一言喋っただけで周りの人が感涙するとか……マジなら周りの大人の情緒が心配。

確かに、それだと周りの大人の情緒が心配。

そんな感じで、ある意味『吾妻鏡』の被害者と言えるかもしれない。まぁその無茶なヨイショのせいで、相対的に悪く書かれているのが頼家様だったりオレだったりするからなー。読んでて良い気分にはならないわなー。HAHAHAHAHA!

北条泰時役、坂口健太郎殿について

なんと、今をときめく坂口殿が武州殿とな!? えーじゃあ……光の執権殿になっちゃうの~? でも三谷殿だからな。若手イケメンだからって容赦なくひと癖もふた癖もある人物にするかもしれんし……。登場が楽しみだな!

とりあえず、坂口健太郎殿には左胸に「トクサ色」と書かれた白Tシャツを召していただきたい。


栗原信充『柳菴随筆』(国立国会図書館デジタルコレクション
ちょ、胤義殿、それはそういう意味では笑 ……ちょっと欲しいな、左胸トクサ色T。

アイキャッチ画像:小林清親『教導立志基 廿五(北条泰時)』 出展:ライデン国立民族学博物館

関連人物

主君:源頼朝源頼家、源実朝、藤原頼経

父:北条義時 母:阿波局(ドラマでは八重
兄弟:朝時、重時、政村、他
妻:矢部禅尼(三浦義村の娘)、安保実員の娘、他
子:時氏、時実、三浦泰村の妻、足利義氏の妻、女子、他

人物相関図:
『鎌倉殿の13人』予習にぴったり!源平合戦~鎌倉初期を相関図で解説!

「鎌倉殿の13人」13人って誰のこと? 人物一覧

「鎌倉殿」とは鎌倉幕府将軍のこと。「鎌倉殿の十三人」は、鎌倉幕府の二代将軍・源頼家を支えた十三人の御家人の物語です。和樂webによる各人物の解説記事はこちら!

1. 伊豆の若武者「北条義時」(小栗旬)
2. 義時の父「北条時政」(坂東彌十郎)
3. 御家人筆頭「梶原景時」(中村獅童)
4. 頼朝の側近「比企能員」(佐藤二朗)
5. 頼朝の従者「安達盛長」(野添義弘)
6. 鎌倉幕府 軍事長官「和田義盛」(横田栄司)
7. 鎌倉幕府 行政長官「大江広元」(栗原英雄)
8. 鎌倉幕府 司法長官「三善康信」(小林隆)
9. 三浦党の惣領「三浦義澄」(佐藤B作)
10. 朝廷・坂東の事情通「中原親能」(川島潤哉)
11. 頼朝の親戚「二階堂行政」(野仲イサオ)
12. 文武両道「足立遠元」(大野泰広)
13. 下野国の名門武士「八田知家」(市原隼人)

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鎌倉殿の13人 後編

書いた人

承久の乱の時宮方で戦った鎌倉御家人・西面武士。妻は鎌倉一の美女。 いわゆる「歴史上人物なりきりbot」。 当事者目線の鎌倉初期をTwitterで語ったり、話題のゲームをしたり、マンガを読んだり、ご当地グルメに舌鼓を打ったり。 草葉の陰から現代文化を満喫中。

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人生の総ては必然と信じる不動明王ファン。経歴に節操がなさすぎて不思議がられることがよくあるが、一期は夢よ、ただ狂へ。熱しやすく冷めにくく、息切れするよ、と周囲が呆れるような劫火の情熱を平気で10年単位で保てる高性能魔法瓶。日本刀剣は永遠の恋人。愛ハムスターに日々齧られるのが本業。