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2024.05.07

源頼家は本当に暴君だったのか?鎌倉幕府2代目将軍が再評価されるべき理由

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今回解説するのは、鎌倉幕府の2代目将軍、源頼家(みなもと よりいえ)様!

おっと、自己紹介が遅れたな。鎌倉御家人・三浦胤義(たねよし)が語る! 令和4(2022)年大河ドラマ『鎌倉殿の13人』予習シリーズ! オレが何者かは第1回参照なッ!

頼家様とオレの関係

頼家様は、本来ならオレが仕えてお守りするはずだった将軍。武芸を好み、側近も弓馬や狩りが得意な者が多かった。だからオレも幼少の頃から武芸に励んでいたんだが……元服直前に代替わりしちゃってさ……。いや、3代目将軍の実朝(さねとも)様も素晴らしい方だし、オレの武芸の腕を認めてくださっていたけども……! 

でも頼家様にも仕えたかったなぁ。頼朝様に「大きくなったら頼家を守るのだぞ」と言われてたのに……。

ああ、でもオレの妻ってさ、元々は頼家様の側室でさ……。頼家様が失脚したことで妻と結婚できたんだ。頼家様が将軍のままだったら妻と結婚できなくて……オレは……オレは一体どうすれば……!

と思ってたら、Twitter界にも頼家様がいらっしゃるので、オレは妻と結婚している状態で頼家様に御家人として仕えるという生前の夢を叶える事ができたのでした。めでたしめでたし。

頼家様は本当にダメな2代目だったのか?

頼家様の生涯については、和樂webの過去記事にも、いくつかあるからそちらを参照してくれ。
男性閲覧注意!源頼家の死因はアソコを…!?修善寺に伝わる謎のお面とともに二代目将軍の半生をたどる
大蛇の祟りや三途の川も!?源頼家の不思議な洞窟探検、穴の中で見たものとは?

頼家様は、一般的に良いイメージを持たれていないんじゃないかな。というのも、鎌倉幕府の歴史書である『吾妻鏡(あずまかがみ)』では結構ボロクソに書かれているからなんだ。

『吾妻鏡』に記されている事をそのまま鵜呑みにしてしまうと、頼家様はとんだワガママ暴れん坊将軍になるわけだけども、『吾妻鏡』には北条氏のバイアスが掛かっている事を考慮しなければならない……というのは、このシリーズで何度も言った通りだ。

ではなぜ北条氏のバイアスが掛かっているかと言うと……。

『吾妻鏡』は、鎌倉幕府の『古事記』!?

日本初の歴史書といえば? 『古事記(こじき)』と『日本書紀(にほんしょき)』だな。この二つを合わせて記紀(きき)とも言う。これらは飛鳥時代、東アジア周辺諸国の中心だった唐(とう=現・中国)の皇帝に対して、「日本はこのようにちゃんとした歴史のある由緒正しい国です」と証明するために作られたのだ。

なぜ、記紀が神話から始まるかというと、当時の中国の思想がざっくり言うと「帝」は「天」から任命されているというもので、それに対して「日本の帝は、その天の子孫なんですよ(=天皇はアマテラスの子孫)」とした。……という感じなんだが、詳しくやると脱線するからこれくらいにしとく。

で、『吾妻鏡』が鎌倉幕府の『古事記』であるという意味は、飛鳥時代に記紀を編纂(へんさん)して、当時の天皇が日本の王として政治を行う正統性を証明したように、鎌倉幕府も『吾妻鏡』によって、北条氏が執権(しっけん)として政治を行う正統性があると証明したかったのだ。

それはNHK大河ドラマ『鎌倉殿の13人』の舞台である鎌倉初期の北条氏ではなく、『吾妻鏡』が成立した、鎌倉中期ぐらいの北条氏が、だな。中期以降、鎌倉の将軍はほとんどお飾りだったし、貴族でもない血筋の北条氏にとって政を行う正統性はつつかれたら危うかったんだと思う。

だから源氏から北条氏に実権が移った理由として、「頼朝様はともかく、その後の将軍がダメダメだったんでぇ、仕方なく北条氏が将軍に代わって長い間政治をしてたんですよぉ~」としたわけだ。

だから頼家様に関して吾妻鏡の記述を信用する事は、ちょっと危険だと思うぞ~。と、北条氏に良くないバイアスが掛かっているオレは考える。

ん? ややこしい? 何を言う。そこが歴史の面白い所じゃないか!

源頼家役、金子大地殿について

眼力の強いイケメン!! なるほど、尼御台(あまみだい=北条政子)役の小池栄子殿の息子で、大姫役の南沙良殿の弟と言われれば、そう見える……。

でもほら、頼家様の最期をキッチリやるとしたら入浴シーンをするわけだけど……金子殿って脱ぐのOKな役者なの? って呟いたら、金子殿ファンの方々が「入浴シーンはやったことありますよ! しかもNHKで!」と教えてくれた。なるほど、ならば問題ない。

ぜひとも家族団らん、日曜夜8時のお茶の間で、お母さん・お姉さん・おばあさんの黄色い悲鳴と、お父さん・お兄さん・おじいさんの阿鼻叫喚が響く、放送倫理ギリギリの最期を……!!

金子大地殿のコメント

頼朝の息子で義時の甥(おい)。肉親北条と争う二代将軍

鎌倉幕府を背負う重圧はなみなみならぬものだと思いますが、頼家の激しい生涯を、彼がどんな思いで生きたのか楽しみにしていただきたいです!

NHK_PRサイト 金子大地のコメントより抜粋

うむ! 従来の暴君・頼家様ではない、新しい頼家様像を期待しているぞ!

関連人物

父:源頼朝、母:北条政子
兄弟:大姫、三幡(乙姫)、実朝
妻:若狭局(比企能員の娘)、一品房昌寛の娘、辻殿(賀茂重長の娘)、木曽義仲の娘?、ほか
子:一幡、公暁、栄実、禅暁、竹御所

人物相関図:
『鎌倉殿の13人』予習にぴったり!源平合戦~鎌倉初期を相関図で解説!

「鎌倉殿の13人」13人って誰のこと? 人物一覧

「鎌倉殿」とは鎌倉幕府将軍のこと。「鎌倉殿の十三人」は、鎌倉幕府の二代将軍・源頼家を支えた十三人の御家人の物語です。和樂webによる各人物の解説記事はこちら!

1. 伊豆の若武者「北条義時」(小栗旬)
2. 義時の父「北条時政」(坂東彌十郎)
3. 御家人筆頭「梶原景時」(中村獅童)
4. 頼朝の側近「比企能員」(佐藤二朗)
5. 頼朝の従者「安達盛長」(野添義弘)
6. 鎌倉幕府 軍事長官「和田義盛」(横田栄司)
7. 鎌倉幕府 行政長官「大江広元」(栗原英雄)
8. 鎌倉幕府 司法長官「三善康信」(小林隆)
9. 三浦党の惣領「三浦義澄」(佐藤B作)
10. 朝廷・坂東の事情通「中原親能」(川島潤哉)
11. 頼朝の親戚「二階堂行政」(野仲イサオ)
12. 文武両道「足立遠元」(大野泰広)
13. 下野国の名門武士「八田知家」(市原隼人)

アイキャッチ画像:『六十余州名所図会』伊豆 修禅寺 湯治場(国立国会図書館デジタルコレクション)

▼『吾妻鏡』についてのおすすめ書籍はこちら
眠れないほどおもしろい吾妻鏡―――北条氏が脚色した鎌倉幕府の「公式レポート」 (王様文庫)

書いた人

承久の乱の時宮方で戦った鎌倉御家人・西面武士。妻は鎌倉一の美女。 いわゆる「歴史上人物なりきりbot」。 当事者目線の鎌倉初期をTwitterで語ったり、話題のゲームをしたり、マンガを読んだり、ご当地グルメに舌鼓を打ったり。 草葉の陰から現代文化を満喫中。