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憧れの紬の街をぶらりと散歩
実は私、“紬(つむぎ)”にずっと憧れを持っていたんです。だって着物上級者の方々って、必ず紬を着ているのですもの……。着物の紬は、洋服で言うところのデニムだと思っています。「丈夫でカジュアルな素材だけど、オシャレな人が極められる!」という感じ?今回は憧れの結城紬を目指しながら、結城の城下町をぶらりと散歩してきました!
花柄絞りの小紋で、結城のソウルフードを食い倒れ!?
腹が減っては戦はできぬ! と言うことで、まずは結城名物の「ゆでまんじゅう」を食べ比べながら街を散策しました。ただの食いしん坊です(笑)。
お店によって粒あんだったりこしあんだったり、お饅頭の皮が薄めだったりモッチリだったり、形のデザインも違って個性豊か! 地元の皆さんには必ずといっていいほど「マイ フェイバリットゆでまんじゅう」があり、心に決めたお店に買いに行くそうで、“ゆでまんじゅう愛”の深さが伺えました。
ゆでまんじゅうをお腹いっぱい食べたのに、どうしても我慢できずたこ焼きも購入!
青空の下で食べるたこ焼きって、なんでこんなに美味しいのだろう。桜エビがトッピングされていて絶品でした!! それもそのはず、「たこ焼きピッピー」は30年以上前から営業している、地元の方々に愛されるお店でした。
結城のソウルフードを大満喫。
ヴィヴィッドなピンクを締め色に! 春待つコーディネート
ちなみにこちらの着物は、またも古物です! 祖母と母が15年前くらいにデパートで見つけ「可愛いから買っちゃった~」という一枚(笑)。ついに日の目を見ました。長かった……。
その名も「春待つ集合体コーデ」!! 水玉のような絞りの花模様とバッグの星柄はどちらも集合体。苦手な方はごめんなさい!
主張しないピンクベージュの帯でバランスを取りながら、結城の青空をイメージした水色の帯揚げ、そして最大のポイントはショッキングピンクの帯締めです。この帯締め、実物はかなり派手な色をしています。
初めて見たときは「こんな派手な色は、古典着物には合わない」と思っていたものの、コーディネートを締める色として、かなり万能であることに最近気づきました。
前回の記事でもご紹介した着物漫画『銀太郎さんお頼み申す』には、帯締めの色に厳しい「巳野さん」というキャラクターが出てきます。帯締めをボンヤリ選ぶと、巳野さんに怒られてしまうんですよ(笑)。彼女が登場してからは、私も「コーディネートの締め」として、帯締め選びを意識するようになりました!
昭和から現代へ。ハイブリッドな表情と魅力あふれる街並み
城下町として栄えた結城市は、昔ながらの街並みが残るのどかな街。建物の外観はそのままに、内装を現代風に改装したオシャレなカフェがあったり、昭和の面影の残る店先の、古き良き時計店や飲食店があったり……。新旧ハイブリッドな街でした!
県外からもお客さんが来るという「KURA:SAUNA(蔵サウナ)」は、何ヶ月も先まで予約が埋まっているそうです。
「世代を超えて結城の街を大切にしたい、盛り上げたい!」という地元の方々の結城愛を感じました。
結城紬のレンタルも体験!
どの一枚を選ぶ? レンタルの流れ
今回は、結城市のWebサイトから「結城紬着心地体験」を申し込み、レンタル紬をお借りしました!
事前申込みの際に、レンタル着物一覧から希望の着物を選んで予約します。私が選んだのは、鮮やかな赤紫の色無地。当日は「ゆうき紬着付け処 着楽」で着付けもしてもらえます。
私は自分の襦袢を着用しましたが、長襦袢や帯、帯揚げなどの小物一式は用意していただけます。オプションを活用すれば、足袋や下駄もレンタルできるので、ほとんど手ぶらで行っても結城紬が着られるそうです。
生まれて初めて紬を着てみた感想は……軽い! あたたかい!! お天気は良くても、まだ風が冷たい日だったので、着た瞬間に結城紬の保温効果の高さを実感しました。選んだ赤紫色の紬着物は、陽の当たりかたによって艶っぽいピンクに光ったり、こっくりした紫に見えたりと奥行きのある素敵な生地で、見るたびにウットリしてしまいました!
結城紬を纏って。結城城跡の散策にテンション急上昇
結城紬を着て、結城城跡の散策はマストですよね!
今はもうお城はありませんが、築地塀といわれる白壁に囲まれた結城小学校を散策中、ちょうど下校時刻になって児童の声が聞こえました。白壁の塀に囲まれた学校って、なんだか守られている感じ。
梅寺と呼ばれる東持寺に梅を見に行ったり……
竹林で時代劇ごっこを楽しんだりしていたら……
なんだかテンションが上がってしまい、最終的には公園の遊具に登ってました(笑)。またもやお転婆でごめんなさい!!
「郷土館」で紬織の手仕事現場を見学&体験も
そして最後には念願の「郷土館」へ。紬の歴史資料や実物の展示があり、職人さんの作業の見学、そして紬織り体験もできます。
職人さんのお話に驚きが止まらない
職人さんが教えてくださったことは驚きの連続!! まず紬の糸って、とってもホワホワなんです。蚕が吐き出した糸を固めた繭玉から、細く糸を取り出して、撚らずにそのままの状態で長くしていくのです。だから糸を横方向に引っ張ると、そのまま裂けます。職人さんの用語では「糸を抜く、糸が抜ける」というそうです。
ホワホワな状態の糸は絡まりやすく、織る作業はとても時間がかかるそう。そのホワホワな糸の目を詰めて織ることによって、軽くて風を通さないあたたかい紬ができるのです。持たせていただいた完成品の反物は、軽すぎてビックリしました!
紬織の体験で感じた、着物の有難み
そして念願だった紬織を体験! 思っていた以上に全身運動!!
腰のベルトで縦糸を張って、脚を使って上下の糸を入れ替えます。そして横糸を通したら糸目を詰めるために腕も使ってトントン……これ、一反織るのにどれくらいかかるのだろう……?
想像以上の体験に、お借りした紬の着物をはじめ、多くの着物は職人さんの手作業を経て作られていることを改めて実感し、着物一枚への有難みが深まりました。
紬を一目ずつ進んでいく過程は、うれしくて楽しくて……今回はタイムオーバーで少ししか織れませんでしたが、次回は何か作品を完成させたいです! 花瓶敷きとか……?(弱気)