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10,11月号2024.08.30発売

大人だけが知っている!「静寂の京都」

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Culture
2024.07.17

忙しい毎日に疲れたら…心揺さぶられる記事5選【スタッフからあなたへ♡記事の処方箋・1】

この記事を書いた人

空が明るくなるまで読みふけった物語、読み終えてもなかなか現実に戻ってこられず、ふわふわと空想に浸ったあの頃──。日常に忙殺されてしばらく忘れていたそんな感覚を、この記事たちが思い出させてくれました。

編集部スタッフが自信を持っておすすめするテーマ別記事集、第1回は「心揺さぶられる記事」。
まるで小説や詩を読んでいるかのような、映画を観ているかのような。日本文化の紹介記事でありながら、深い感動を覚える記事たちを厳選しました。

ただ知識を得るだけではない、和樂web珠玉の作品群。選び抜かれた美しい言葉に導かれて、どっぷりと記事の世界に浸ってみてください。

行かないで、伝えたいことがある──。死してなお消えぬ、愛と哀

誰もが逃れられない、生と死。そこに、日本人は何を見たのか。

人というのは、なんて孤独で寂しい生きものだろう、と思う。孤独を感じなければ、寂しさも感じなくてすむのに。でも、だからこそ人を愛するのだし、人を愛するからこそ孤独でも生きていけるのだ、と思う。(記事冒頭より)

会いたいと願いながら、越えられぬ一線に隔てられた恋人たち。「迷っているのは死者の霊ではない」。この一文を読むたび、万感胸に迫ってきます。
かなしみを知るすべての人へ、この記事を贈ります。

※画像の下のタイトルをクリックしてください


死人を抱いて寝た男たち。生者と死者の叶わぬ恋物語集

この記事を書いたのは、馬場紀衣(ばばいおり)さん
日本の古典を中心に、情感あふれる記事を多数執筆してくださっています。
馬場紀衣さんの記事一覧はこちら

この島があって、ここに生きる。奄美大島の泥染め工房を訪ねて

冒頭から、まるでその場に自分が立っているかのような鮮やかさで、美しい記事世界に引き込まれます。

それはもう、幸せな時間だった。

開いた窓から吹き抜ける風は冬でも暖かく、雨が降る音さえ心地よい。顔を上げれば、濡れた緑の草木が目に入り、自ずと深く息を吸った。

それが計算されたものかは分からない。
ただただ、工房全体が「自然」と一体になっていたように思う。(記事冒頭より)

色を買うのではない。色を「採りにいく」。
そんな穏やかながら強い思いが静かに染み渡り、時折顔を覗かせるユーモアにくすりと笑う。心と体を緩めて深呼吸したくなる、草木と土と湯気の香りが漂ってきそうなマインドフルネス記事です。
ぜひ、取材後記まで余すところなくお読みください。


ぐつぐつ煮込み、染め上がったのは意外な色! 奄美大島の「泥染め」驚きの工程

この記事を書いたのは、Dyson尚子(ダイソンしょうこ)さん
北海道から九州まで日本各地を移住し、その土地の歴史や文化を深く掘り下げています。戦国時代の記事も好評。
Dyson尚子さんの記事一覧はこちら

華やかな舞台の裏にこそ、物語はある。大相撲を支える床山の世界

いまや日本のみならず世界的な人気を誇る、大相撲。しかし、華やかな脚光を浴びる力士だけでなく、たくさんの人が土俵を支えていることは、ディープなファン以外にはあまり知られていないかもしれません。

「毎日髷を結うだけに調子がいい・悪いを感じとりはする。(中略)上り調子の力士は、髷を結って立ち上がった背中がぐっと盛り上がっていて、大銀杏越しにオーラが出ているのは感じます」(記事文中より)

床鶴さんの柔和な中に強い光を宿したまなざしと、力士はじめ関係者との温かいやり取りやエピソードが印象的です。往年の大相撲ファンなら、ほろりとくるかも。勝負の世界に生きる人たちの厳しさと温もりが、じんわり染みてきます。


力士を守り、美しく引き立てる「究極の裏方」~特等床山・床鶴氏インタビュー・後編~

この記事を書いたのは、森 有貴子(もり ゆきこ)さん
深みのある取材記事と、江戸の記事に定評があります。
森 有貴子さんの記事一覧はこちら

かつてあった風景と、あの人と。ピッカリコニカに収められた記憶

今はもう見られない光景、もう会えない人。そこに思いをはせる時、湧き上がる感情は1つではないのかもしれません。

風のささやきが、盆踊りの唄が、人々の足音や無心に遊ぶ子どもたちの笑い声が、数十年の時を経てよみがえる。

これらは増山さんでなければ撮れない写真だった。
被写体になった村人たちも、撮影者がター(増山さんのこと)だからこそ、心を開いたのだ。(記事文中より)

「徳山のカメラばあちゃん」の写真に残されているのはきっと、「目には見えないけれど、確かに存在していた大切なもの」なのでしょう。分かりやすいもの、費用も時間もかからないものがもてはやされる今。そんな時代だからこそ読んでほしい、答えのない問いが深く胸に迫る記事です。


「カメラばあちゃん」増山たづ子。ダムに沈んだ徳山村の風景をピッカリコニカで写真に

この記事を書いたのは里山企画菜の花舎(さとやまきかくなのはなしゃ)さん
地元岐阜を愛し、知られざる岐阜の深掘り記事を多数書いてくださっています。
里山企画菜の花舎さんの記事一覧はこちら

「1ミリ」が仕上がりを左右する世界に40代で飛び込む。女性能面師・黒蕨安孝さん

「能面のように無表情な」という言い回しがありますが、実際の能面は意外にも表情豊かです。
それだけに、作り手の高度な技術力が求められる厳しい世界。そこに40代半ばで飛び込み、地道な努力を続けていった精神力の強さが作品からも言葉からも感じられます。

先生からは『これでは、いつまでたっても国宝にはなりませんね』とおっしゃられて。とても穏やかで優しい方だったのですが、私の本気度を測っていたのでしょう。はっぱをかけていただきました。(記事文中より)

「仮面であって仮面ではない」。禅問答のようなこの言葉は、日本の精神が写し取られているのではないか、と、記事ライターは語ります。言葉や雰囲気を丁寧に掬い取って、それを豊富な自らの知識と繋げる。決して簡単ではない作業に真摯に向き合った、まっすぐで気持ちのよい記事です。


能面に込められた意味とは。女性能面師・黒蕨安孝さんに特徴を聞く

この記事を書いたのは黒田直美(くろだなおみ)さん
日本各地を飛び回って取材した記事や、資料をいくつも読み込んだ記事など、上質な記事を多数書いてくださっています。
黒田直美さんの記事一覧はこちら。

アイキャッチ画像:石川豊雅『風流十二月七月』メトロポリタン美術館より

担当:編集部A