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2024.04.17

見目麗しい、極上の「言い訳寿司」。職人の技がさえわたる名店・5「本二鶴」【あっぱれ! 大阪寿司!! part7】

関西でも圧倒的に江戸前寿司の店が多くなった昨今でも、長く続く大阪寿司の名店には唯一無二の看板商品があり、支持されている理由があります。味にうるさい大阪人が愛するのは、5軒の名店の大阪寿司です。今回は「本二鶴(ほんにかく)」をご紹介します。

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浪速の食文化を引き継ぐ、見目麗しい押し寿司
本二鶴の「巾着寿司」

巾着寿司2個入2,000円(2023年12月現在。税込、箱代含む)。寿司飯の上に塩ゆでの海老、焼き穴子、グリンピースが来るように配し、丸い型で押して薄焼玉子で包む。大人の握り拳ほどの大きさ。1個から注文可、予約した上で、来店を。

法善寺横丁にあった一品料理と寿司を出す料亭が始まり。大阪ミナミといえば古くから娯楽の集結地であり、味にうるさい人が集まる街です。明治10(1877)年にこの店を開業した初代も、芸事に通じていた人物であり、客の心をつかむもてなし上手だったとか。

その代表作がこの「巾着(きんちゃく)寿司」です。押し型は四角という常識を超えた丸い形。寿司飯を薄焼玉子でひだをつけながら丸く包むというシャレた寿司は、評判を呼んで寿司専門店に転向するまでになりました。6代目・伊藤宗嗣さんによれば「親父(先代)の時代は、24時の閉店後も注文が入る。型を押すのは親父ひとりなので、できあがりを待つためにお客様は飲み屋を2軒、3軒とハシゴしたそうです」。〝家族に珍しいお寿司の土産があるから、深夜帰宅を許してね〟ということで常連客からは「言い訳寿司」とも呼ばれていたとか。

夜持ち帰って翌日に食べることを想定して、米はあらかじめ水分を多めに炊き上げられます。押して圧をかけられた寿司飯の水分を、中具のもみ海苔と椎茸煮が時間をかけて吸い込み、口に入るころにはいい具合に寿司飯が締まるという算段です。乾物から戻した椎茸はミンチ状になるまで刻み、煮詰めて煮汁を飛ばすなどの水気の配分が絶妙で、口の中に入れたときの寿司飯と具、玉子焼の一体感が素晴しい。熟れるほどにおいしさも増すお寿司なので、くれぐれも買ってすぐに食べないように!

店舗情報

本二鶴(ほんにかく)
住所:大阪府大阪市中央区宗右衛門町5-25
電話:06-6211-4576
営業時間:15時~24時
休み:日曜・祝日休
※髙島屋大阪店「味百選」で1個から購入可(数量限定販売)

撮影/石井宏明 構成/藤田 優
※本記事は雑誌『和樂(2021年12・1月号)』の転載です。

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和樂web編集部

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