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2024.10.10

米は最高の〝アルデンテ〟で楽しむ。「つろく」【京都〝最新〟うまい店・和食編2】

京都で、大人が居心地のいい店とは、頑張りすぎず、くだけすぎない、そしてもちろん、味もとびっきり! それは、ずばり「今から常連になりたい店」!! 地元の人たちは、ここと決めた店を通して、季節の巡りを感じ、京を味わいます。自分の好みを知ってもらえれば、店主もおすすめがしやすい。心を通わせたやりとりが何よりも贅沢で、うまいものに近づける最短の道のようです。 とことん客目線に立ったもてなしを考えた店主たちがいる新しい店を中心に、「10年先も通い続けたい」「常連になりたい」、一緒に年を重ねていきたい主人と店を厳選しました。

「京都〝最新〟うまい店」シリーズ一覧はこちら

左/鮎の出汁で炊いたごはんに、焼いた身、茗荷 、大葉、山椒を混ぜ込む「鮎ごはん」。鮎のほろ苦さと山椒の香りが絶妙に合う。土鍋ごはんの注文は2人前から。落ち鮎の時期まで続く。右/関西圏では「あこう」の名で呼ばれるキジハタ。夏の高級魚だが、脂がのる秋もまたよし。出汁は鮪まぐろ節ぶしと真昆布で淡味に仕上げる。

若き店主が日々向き合う〝日本料理の真髄〟「つろく」

2020年にオープンした上田健登(けんと)さんの店「つろく」は、割烹「游美(ゆうび)」と同じ敷地内にあり、姉妹店。上田さんの修業先は東京の名割烹「京味(きょうあじ)」。和食の本場、京都に身を置くことを志し、当時25歳でこの店の主に。

こざっぱりとして、奥行きのある料理は、もはや枯淡の域? 30品ほど並ぶ品書きには、割烹の華「お椀」と同列で「白ごはん」や「ごはんのお供」が並ぶ柔軟さもあり、「ご自身で定食を組んでもらっても」の言葉にワクワク。若さゆえの大胆さと、昔ながらの割烹のよさをとり入れた構成にときめきます。

目下、上田さんが心を注ぐのは「見えないところに手をかけて、素材そのものを味わう料理」。たとえば鯛の造りはオスとメスの身の味が異なることを知った上で、メスの上品なうまみに合わせて白醬油を出汁で割った特製醬油を添えてみる。オスの場合は、こっくりした身のうまみを活かす。「いい鯛を仕入れることだけで満足しちゃダメです。僕はそこから料理がしたいんです」。

となれば、「万願寺とじゃこ」の定番も上田さんの手にかかると砂糖に頼らず、塩味に。それだけで洗練された酒肴(しゅこう)に変わるのが驚き! 

京料理や和食の〝お決まり〟と格闘しながら、斜め上をいくおいしさを生む。店主の進化が楽しみです。

「本日のお造り」より、明石産の鯛。メスかオスで醬油を替える。メスの身は繊維がやわらかく、特製出汁醬油が淡いうまみを引き立てる。塩とわさび、すだちも絶品!

「米は煮えばなと炊き上がりの間がいちばんおいしい。その瞬間をお出しできるのがカウンターのよさです」―――上田健登さん

左/ごはんが食べ物の中でいちばん好きということで、炊きたてのごはんのうまさには自信がある。右/粒のたった〝アルデンテ〟のおいしさを追求した結果、米は佐賀県産ヒノヒカリに。

器、酒器共に上田さんのセレクト。日本酒ほか酒の種類も多数、酒肴も粒ぞろい。予算はしっかり食べてひとり20,000円前後。

カウンターはゆるやかにカーブし、どことなく北欧風。「つろく」とは古い京言葉で、釣り合いを図るという意味。

つろく DATA

住所:京都府京都市中京区松屋町51 
電話:075-275-3926
営業時間:17時~22時(L.O.)
休み:日曜
店内:カウンター14席 ※要予約
Instagram:@tsuroku_kyoto

撮影/長谷川 潤 構成/藤田 優
※本記事は雑誌『和樂(2023年10・11月号)』の転載です(価格や年齢、年数などは2024年9月現在)。
※掲載価格はすべて税込で、価格や営業時間などは変更される場合があります。お出かけの前にご確認ください。

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和樂web編集部

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