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若き店主が日々向き合う〝日本料理の真髄〟「つろく」
2020年にオープンした上田健登(けんと)さんの店「つろく」は、割烹「游美(ゆうび)」と同じ敷地内にあり、姉妹店。上田さんの修業先は東京の名割烹「京味(きょうあじ)」。和食の本場、京都に身を置くことを志し、当時25歳でこの店の主に。
こざっぱりとして、奥行きのある料理は、もはや枯淡の域? 30品ほど並ぶ品書きには、割烹の華「お椀」と同列で「白ごはん」や「ごはんのお供」が並ぶ柔軟さもあり、「ご自身で定食を組んでもらっても」の言葉にワクワク。若さゆえの大胆さと、昔ながらの割烹のよさをとり入れた構成にときめきます。
目下、上田さんが心を注ぐのは「見えないところに手をかけて、素材そのものを味わう料理」。たとえば鯛の造りはオスとメスの身の味が異なることを知った上で、メスの上品なうまみに合わせて白醬油を出汁で割った特製醬油を添えてみる。オスの場合は、こっくりした身のうまみを活かす。「いい鯛を仕入れることだけで満足しちゃダメです。僕はそこから料理がしたいんです」。
となれば、「万願寺とじゃこ」の定番も上田さんの手にかかると砂糖に頼らず、塩味に。それだけで洗練された酒肴(しゅこう)に変わるのが驚き!
京料理や和食の〝お決まり〟と格闘しながら、斜め上をいくおいしさを生む。店主の進化が楽しみです。
「米は煮えばなと炊き上がりの間がいちばんおいしい。その瞬間をお出しできるのがカウンターのよさです」―――上田健登さん
つろく DATA
住所:京都府京都市中京区松屋町51
電話:075-275-3926
営業時間:17時~22時(L.O.)
休み:日曜
店内:カウンター14席 ※要予約
Instagram:@tsuroku_kyoto
撮影/長谷川 潤 構成/藤田 優
※本記事は雑誌『和樂(2023年10・11月号)』の転載です(価格や年齢、年数などは2024年9月現在)。
※掲載価格はすべて税込で、価格や営業時間などは変更される場合があります。お出かけの前にご確認ください。