ポーラ美術館 ~5月31日
「SPRING わきあがる鼓動」
私が担当します
ポーラ美術館 学芸部課長 今井敬子さん

古を訪ねながら新しい刺激を求める、箱根という土地ならではの展覧会です(今井さん)
神奈川県箱根町(はこねまち)のモダンな建築――それが2002年に開業したポーラ美術館です。「箱根の自然と美術の共生」というコンセプトのもと、若手作家の支援や美術を通じた国際交流も積極的に行っています。
「今や世界に誇る観光地になった箱根をテーマのひとつに取り入れた展覧会を企画しました。箱根という土地の普遍的な魅力と、アートがもつ力の共通するところに思いを深めていったら〝スプリング〟というワードが出てきたんです」
スプリングは、春や温泉、バネのように跳ね上がる力を意味します。
「箱根の自然とアートで豊かな気持ちになって、そこから活力を得て、また社会や家庭で活躍していただきたいと企画したのが本展です。江戸時代から多くの旅人が箱根の自然を楽しみ、温泉で心身を癒やしてきましたが、当館にはそれだけではなく新しい刺激を求めてお越しくださる方が多いように感じています。古(いにしえ)の箱根の魅力を訪ねながら、先鋭的なアートにも触れていただけたらと思います」
この「SPRING わきあがる鼓動」展では、箱根をテーマにした作品、現代作家の新作やインスタレーション、そして西洋絵画のコレクションと、3つのテーマを設けています。
意外なことに、箱根に焦点を当てた展覧会は初なのだとか。
また、ポーラ美術館が誇る西洋絵画のコレクションから、モネやゴッホらによる名作をたっぷり展示します。
「今回は箱根町にご協力いただき、箱根町指定の文化財など貴重な絵画や浮世絵史料もご紹介します。箱根とアートから、湧き上がる鼓動を感じてください」
Curator’s Eye
1年にたった1日だけの奇跡の景色です
\凹凸のある屛風だとどう見える!?/

「1年のうち1日だけ観光船が運休になる元日の静かな芦ノ湖と、夕焼けを背にした富士山を捉えた奇跡的なカットです。展覧会では、この美しいパノラマの景色を6曲1双に仕立てた屛風作品を展示します。ぜひ立体作品としての屛風をご覧ください。包み込まれるような臨場感を味わうことができます」
Curator’s Eye
空想の旅だからこそ自由に描けたのです
\行ってないから描けた!?/

「ルソーの代表作にジャングルを描いたものが挙げられますが、実は生涯に一度もそのような地に行ったという記録はありません。ほとんど旅をすることなくフランスにとどまっていましたが、ジャングルを描いたためブラジルに行ったと噂になったりも。リアルな旅の記憶ではなく、空想や創造の翼をはばたかせて描いたところが、彼の作品の魅力なのです」
Curator’s Eye
睡蓮制作の迷いを払拭するきっかけに
\ブレイクスルーのきっかけに!/

「一大観光地であるベネチアはさまざまな画家が描いていましたし、モネは新しい体験はできないだろうと避けていた土地だったようです。しかし睡蓮の連作を描き続けるうちに迷いや壁にぶち当たるような思いがあって、ベネチア行きを敢行するんです。そこで土地の魔力のようなものに魅せられ、眩しい光のなかにシンフォニックな色彩を見出した、そんな転機となった作品です」
Curator’s Eye
展覧会のエピローグは鹿がお見送りします
\箱根にも野生の鹿がいるんです/

「展示の最後に彫刻家の名和晃平(なわこうへい)さんの作品を、2頭の鹿が向かい合うような形で展示します。画像でご紹介しているこの1体は当館が新収蔵したもの。剝製と大小さまざまなクリスタルボールによる作品ですが、自然物と人工物、現代と未来など、異なるものが対峙する緊張感のようなものを感じていただけたらと思います」
箱根銘菓とのコラボをお土産に!

創業して75年の和菓子店『ちもと』(https://www.yumochi.com/page3)とのコラボ商品は、箱根銘菓にも数えられる「湯もち」と、かわいらしい鈴形のこし餡最中「八里(はちり)」の詰め合わせ(1,900円)。箱根を描いた浮世絵師・豊原国周(とよはらくにちか)の作品をパッケージにあしらった、曜日・数量限定商品。
ポーラ美術館DATA(和樂提携美術館)
住所:神奈川県足柄下郡箱根町仙石原小塚山1285
電話:0460-84-2111
開館時間:9:00~17:00 ※入館は閉館の30分前まで。
休館日/会期中無休
公式サイト:https://www.polamuseum.or.jp/
入館料:(一般)2,200円
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※本記事は雑誌『和樂(2026年2・3月号)』の転載です。

