Culture

2025.04.13

まさかのオウンゴール! 鱗形屋を超えた日が、蔦重伝説の始まりだった! 大河ドラマ「べらぼう」を100倍楽しむAtoZ【V】

吉原に生まれ、自力で江戸の〝メディア王〟となった男・蔦屋重三郎(つたやじゅうざぶろう)の仕事からプライベートまでを、AからZで始まる26の項目で解説するシリーズ【大河ドラマ「べらぼう」を100倍楽しむAtoZ】。今回は「Ⅴ=VS 鱗形屋!」をご紹介します! Zまで毎日更新中! 明日もお楽しみに。

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蔦重AtoZ
Ⅴ=VS鱗形屋 ライバルをぶっ潰せ!


『吉原細見』を独占的に手がけていた鱗形屋(うろこがたや)は、蔦重が最初に出版にかかわった版元。しかしその実態は、いいようにこき使われているような状態でした。

▼鱗形屋についてはこちら
蔦屋重三郎の師匠でライバル!?江戸の出版業界をリードした鱗形屋孫兵衛とは

これが鱗形屋版の『吉原細見』

『元文五年吉原細見』 版元/鱗形屋孫兵衛 元文5(1740)年 国立国会図書館デジタルコレクション https://dl.ndl.go.jp/pid/2541139 (参照 2025-03-23)

安永4(1775)年には、恋川春町(こいかわはるまち)作の『金々先生栄花夢(きんきんせんせいえいがのゆめ)』が黄表紙として最初のヒット作となり、鱗形屋は江戸の出版界をリードする勢いでした。

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鱗形屋発、黄表紙ブームの火付け役!

『金々先生栄花夢』 作・画/恋川春町 版元/鱗形屋孫兵衛 安永4(1775)年 国立国会図書館デジタルコレクション https://dl.ndl.go.jp/pid/2537596 (参照 2025-03-23)

しかし、よい時代も長くは続かず、『金々先生栄花夢』を発売した年に、鱗形屋の手代が大坂の版元の本を重版(無許可コピー)していたことが明るみに出て、鱗形屋は処罰を受けます。

蔦重が版元としてやっていくためには、追い越さなければならない大きな壁であった鱗形屋は、オウンゴールによって形成が逆転してしまったのです。

大河ドラマ「べらぼう」では時系列が若干異なりますが、鱗形屋はそのまま廃業へまっしぐら。それに反して蔦重は、『吉原細見』の出版権を獲得し、改良版がヒットしてから、とんとん拍子で発展していきます。鱗形屋を超えたことで、蔦重の快進撃が始まったのです。

これがライバル、鱗形屋の店頭

繁盛店の鱗形屋から『吉原細見』の出版権を勝ち得て、蔦重の快進撃がスタート。『三升増鱗祖(みますうろこのはじめ)』 恋川春町 黄表紙 昭和2(1927)年版 国立国会図書館デジタルコレクション
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和樂web編集部


構成/山本 毅 ※本記事は雑誌『和樂(2025年2・3月号)』の転載です。 参考文献/『歴史人 別冊』2023年12月号増刊(ABCアーク)、『蔦屋重三郎と江戸文化を創った13人 歌麿にも写楽にも仕掛人がいた!』車浮代著(PHP研究所)、『これ1冊でわかる! 蔦屋重三郎と江戸文化』伊藤賀一著(Gakken)
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