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蔦重AtoZ
Ⅴ=VS鱗形屋 ライバルをぶっ潰せ!
『吉原細見』を独占的に手がけていた鱗形屋(うろこがたや)は、蔦重が最初に出版にかかわった版元。しかしその実態は、いいようにこき使われているような状態でした。
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蔦屋重三郎の師匠でライバル!?江戸の出版業界をリードした鱗形屋孫兵衛とは
これが鱗形屋版の『吉原細見』
安永4(1775)年には、恋川春町(こいかわはるまち)作の『金々先生栄花夢(きんきんせんせいえいがのゆめ)』が黄表紙として最初のヒット作となり、鱗形屋は江戸の出版界をリードする勢いでした。
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鱗形屋発、黄表紙ブームの火付け役!
しかし、よい時代も長くは続かず、『金々先生栄花夢』を発売した年に、鱗形屋の手代が大坂の版元の本を重版(無許可コピー)していたことが明るみに出て、鱗形屋は処罰を受けます。
蔦重が版元としてやっていくためには、追い越さなければならない大きな壁であった鱗形屋は、オウンゴールによって形成が逆転してしまったのです。
大河ドラマ「べらぼう」では時系列が若干異なりますが、鱗形屋はそのまま廃業へまっしぐら。それに反して蔦重は、『吉原細見』の出版権を獲得し、改良版がヒットしてから、とんとん拍子で発展していきます。鱗形屋を超えたことで、蔦重の快進撃が始まったのです。