Travel
2021.11.26

LINEスタンプもGETだぜ!2022年大河ドラマ『鎌倉殿の13人』市の担当者に直撃インタビュー!

この記事を書いた人
この記事に合いの手する人

この記事に合いの手する人

2022年大河ドラマ『鎌倉殿の13人』放送まで2か月を切りました。皆様いかがお過ごしでしょうか。私は大河直前、突然の供給に溺れるオタクと化しています。

だって……! 鎌倉時代の新書って、ここ数十年、1年に1度出るか出ないかだったんですよ!? それがここ数か月で何冊出ました!? コワイ!! 大河コワイ! 出版業界の本気コワイ!! 小学館からも出るんですか!? ヒイ!

カーッ! 鎌倉オタクさんうらやましい!(平安オタクより)

まぁそんな日々を過ごしている私ですが、鎌倉殿関連の取材記事、私が書かなくて誰が書く!? 怯えてる場合じゃないぞ! と思い、鎌倉殿のお膝元である鎌倉市の大河ドラマ担当者、石川雅之(いしかわ まさゆき)さんにお話をうかがって来ました!

鎌倉と言えば、小町通り、鶴岡八幡宮、大仏さん!

鎌倉の課題は「オーバーツーリズム」

石川雅之さん(以下略):鎌倉は京都にならぶ古都であり、首都圏からも近いとあって常に人であふれています。新型コロナ蔓延(まんえん)前は、年間で2000万人が訪れる観光地。このコロナ禍で外国人観光客は減ったとはいえ、750万人が訪れていました。

それに加え、鎌倉市では17万人の住人がいます。観光客が多すぎると、電車やバスなどの公共交通機関や、道路の渋滞なので生活にも支障が出てきます。そこに大河ドラマでますます観光客が増えるため、もともとの「オーバーツーリズム」に拍車がかかる懸念から、いかに観光客の流れを分散するかが課題となっています。

――たしかに、休日の江ノ電は平日の山手線並みですし、小町通り・鶴岡八幡宮・大仏さん周辺は歩道も車道も混んでいるし、国道134号線の渋滞は有名ですね……。

はい。まずその事を考えていかなければいけない状況です。

都内在住の私もよく訪れていましたが、できるだけ空いていそうな日を狙っていました!

『鎌倉殿の13人』というタイトルなのだから、ゆかりの地に分散させよう

NHK大河ドラマは昭和38(1963)年に始まり、『鎌倉殿の13人』で61作目です。その61作目にして初めてタイトルに地名が入っています。

――えー!? あ、本当ですね!『功名が辻』は別に地名ではないですしね!

『青天を衝け』はどこから青天を衝いているのか分からないし、『麒麟がくる』もどこに麒麟がくるのか分からない。けれど『鎌倉殿の13人』は確実に鎌倉にいるじゃないですか。

――大河ファンがピンポイントに鎌倉目掛けて押し寄せますね。

いままで鎌倉が舞台となる大河は5作ありましたが、今回初めて鎌倉とタイトルがつく。だから鎌倉市で初めて「大河ドラマ担当」という部署を作ったんです。そして、『鎌倉殿の13人』というテーマに沿って、鶴岡八幡宮と大仏だけでなく、北条義時を中心に、鎌倉市内に点在する13人のゆかりの地をアピールしていこうということになりました。

鎌倉市観光案内図 ~鎌倉殿・13人の重臣ゆかりの地版~ 鎌倉市のサイトからPDFをDLできます

――おお! すごい! 

そう、できれば鎌倉市街地だけでなく、大船からモノレールに乗って、江の島から江ノ電で腰越に寄って頂きたい。

――腰越は義経の所縁ですからね。菅田将暉さんの活躍に期待ですね!

それから義時の墓も……。今は何もない場所ですけどARで当時の義時法華堂の伽藍(がらん)を再現する計画を立てているんですよ。

――なんとー!! あの原っぱが、ついにエンターテインメントに!!

この原っぱ

他にも13人ゆかりの地として冊子にまとめてあります。ぜひ冊子を片手に、鎌倉のいろいろな所を歩いて、より深い鎌倉の魅力を味わってほしいですね。

鎌倉殿を支えた13人の重臣ガイドブック 鎌倉市のサイトからPDFをDLできます
超有名な観光地だけでなく、たくさんの見どころがあるのですね。

鎌倉殿にちなんだグッズはありますか?

――味わう、といえばやはり飲食店やグッズですけれど、鎌倉市で何か作ることはありますか?

鎌倉市観光協会では、「鎌倉殿を支えた13人の重臣」として、13人の合議制の人物をキャラクター化し、カレンダーを作ったり、LINEスタンプにしたりしています。

義時くん(鎌倉市観光協会公式) 鎌倉市観光協会
なんとLINEスタンプが!? 秒速でゲット!!

「鎌倉歴史文化交流館」や「鎌倉国宝館」、「鎌倉市図書館」もYouTubeで解説動画を配信したり、SNSを利用したり、さまざまな方法で北条義時をアピールしています。

――私もチェックしています! YouTubeのヨシトキくんはシュールで可愛いし、鎌倉市図書館さんは、さすがTwitter慣れしてて楽しいです!
YouTube「かまくらミューズちゃんねる」
鎌倉市図書館 公式Twitter

それから市内各店でそれぞれ、頼朝や北条政子、義時のオリジナルグッズを作っているみたいですね。

――そういう店舗情報を集めたパンフやサイトもあれば、観光客目線では便利かもですね!

他市他県との連携はどうしている?

――『鎌倉殿の13人』ゆかりの地といえば、鎌倉市内だけでなく、関東や関西にもありますが、他市や他県との連携ってどうやって取ってますか?

各地の観光協会からお話は来ますが、鎌倉市の観光課自体が人手不足でなかなか手が回らないんですよ。だから、広域の連携は神奈川県の国際文化観光局観光課で行っていますので、そちらをご案内しています。各地の御家人ゆかりの地のデジタルマップ作成の計画もあるのだとか。

――おお! そんな計画が……! そちらにも話を聞きに行きたいですね!

鎌倉市が大河ドラマに期待すること

――最後に、大河ドラマ『鎌倉殿の13人』に期待することはなんですか?

個人的には「源実朝の再評価」ですね。今までのイメージだと和歌にうつつをぬかしていて、北条氏の傀儡(かいらい)となっているとされていますが、近年はきちんと政治のこと、鎌倉幕府のことを考えていた政治家であるという評価が高まっています。時代考証の先生もそのような新しい実朝像をお持ちの方なので、きっと大河ドラマで世間からのイメージが変わるだろうなと期待しています。

――やるときゃやる、カッコイイ実朝様、楽しみですね!!(思わず様づけしてしまい、石川さんに若干引かれる)

は、はい。それから鎌倉市としては、やはり大河ドラマによって観光客がゆかりの地をめぐって、分散につながるのではないかという期待ですね。

鎌倉というと、やはり「源頼朝」がイメージしやすいですが、源氏将軍が実権を握っていた期間よりも、執権北条氏の治世のほうが長いわけです。市内のゆかりの地も、北条氏関連の方が多い。大河ドラマで北条氏に注目が集まり、定番の観光地だけではない「知られざる鎌倉」を知ってもらえるという期待もあります。

――鎌倉といえば、お洒落で賑やかなスポットが雑誌などではよく取り上げられますが、けっこう「質実剛健」な静かで渋カッコイイ場所も多いですものね。

「分散」の観光スタイルは、新型コロナ蔓延以前からの課題でしたが、分散によって密を避けることもできる。大河の後も新型コロナ収束後も、5年先10年先を見据えた新しい観光スタイルの確立になればと考えています。

たとえば夕飯は鎌倉駅周辺より、大船駅周辺の方がお店も多いし、遅くまで開いていますし……。

――たしかに! 終電も大船の方が遅いですしね!

逆に鎌倉には朝早く来てもらって、朝食を取ってから「静かな鎌倉」を散策していただくというスタイルも推奨したいです。

――ああ! いいですね! 神社やお寺の儀式って、朝早くやることも多いですし。

朝の座禅会とか、気持ちがいいと思いますよ。

――大河ドラマから始まる、新しい鎌倉観光スタイル、たのしみですね!

おしゃれなお店も多くて大好きな鎌倉♡ 新しい観光スタイルも楽しんでいきたいです!

取材先

鎌倉市市民防災部大河ドラマ担当
公式サイト:https://www.trip-kamakura.com/site/2022kamakuradono/

▼源実朝の書籍はこちら
源実朝 「東国の王権」を夢見た将軍 (講談社選書メチエ)

NHK大河ドラマ 鎌倉殿の13人 (JTBのムック)

「鎌倉殿の13人」13人って誰のこと? 人物一覧

「鎌倉殿」とは鎌倉幕府将軍のこと。「鎌倉殿の十三人」は、鎌倉幕府の二代将軍・源頼家を支えた十三人の御家人の物語です。和樂webによる各人物の解説記事はこちら!

1. 伊豆の若武者「北条義時」(小栗旬)
2. 義時の父「北条時政」(坂東彌十郎)
3. 御家人筆頭「梶原景時」(中村獅童)
4. 頼朝の側近「比企能員」(佐藤二朗)
5. 頼朝の従者「安達盛長」(野添義弘)
6. 鎌倉幕府 軍事長官「和田義盛」(横田栄司)
7. 鎌倉幕府 行政長官「大江広元」(栗原英雄)
8. 鎌倉幕府 司法長官「三善康信」(小林隆)
9. 三浦党の惣領「三浦義澄」(佐藤B作)
10. 朝廷・坂東の事情通「中原親能」(川島潤哉)
11. 頼朝の親戚「二階堂行政」(野仲イサオ)
12. 文武両道「足立遠元」(大野泰広)
13. 下野国の名門武士「八田知家」(市原隼人)

書いた人

神奈川県横浜市出身。地元の歴史をなんとなく調べていたら、知らぬ間にドップリと沼に漬かっていた。一見ニッチに見えても魅力的な鎌倉の歴史と文化を広めたい。

この記事に合いの手する人

大学で源氏物語を専攻していた。が、この話をしても「へーそうなんだ」以上の会話が生まれたことはないので、わざわざ誰かに話すことはない。学生時代は茶道や華道、歌舞伎などの日本文化を楽しんでいたものの、子育てに追われる今残ったのは小さな茶箱のみ。旅行によく出かけ、好きな場所は海辺のリゾート地。